▼テシオ理論の威力がより発揮されるテリトリーはどこなのか(ご質問より)

YouTube動画内のコメントにお答えして

YouTube「ドルメロの魔術師チャンネル」では、素人制作の拙い動画をいつもご覧いただき、ありがとうございます。

相変わらず声も枯れ枯れ、パワポの手作り原稿とiPadの画面キャプチャで突っ走っていますが、理論基礎編のカラフル画面から最近はいよいよ「シンプルイズベスト」で白い画面に落ち着きまして、あくまで中身重視でお伝えできればと思っています。

私はYouTuberではないので、チャンネル登録&高評価ボタンについては自然に任せていますが、それでも毎回これほど多くの方にご視聴いただいていることにはただ驚きと感謝に堪えません。

それにつれて最近は積極的にコメントをくださる方が増え、その真剣そのものな内容にも身が引き締まります。こうして一度世間にテシオ理論を引っ張り出してきて本当によかったと思います。

たいへんお待たせしましたが、今回はその質問のうちのひとつに、私なりの答えを出してみることにします。

馬券シミュレーションの結果に偏りがある?

質問
(原文一部割愛&修正)…実は、私も「基礎体力」が重要ファクターと思っています。…(中略)…

…今回、ドルメロさんの動画に出会い、勉強させてもらいまして、テシオ理論の内容をプログラム化しました。

先々週から実践に使用していますが、回収率は100%を超えています。ありがとうございます。

シミュレーションも同時に行って約1000レース程度実施しました。今後も継続する予定です。

ただひとつだけ問題があります。それは芝とダートの短距離では、かなり的中率が落ちる事です。

これは、もともとの自作のプログラムでも同じように芳しくありあません。反対に、長距離ではかなりの精度があります。

これはテシオ理論プログラムのほうが、自作のプログラムより勝っているようです。

短距離についてのなにか所見がありましたら、教えて頂けますか。

すでに3歩先を行かれているようでとても追いつけない!

むむむ、気になったらすぐに行動!というフットワークの軽さがうらやましい。多分これはまだお若い方なんでしょう。

この質問を目にした瞬間、さび付いた私の頭にもまずひとつの答えが浮かんできました。

先に申し上げておくと、短距離でも馬券が取れるようなアジャスト法については残念ながら所見を持ち合わせませんが、長距離の成績が良いことはテシオ理論にとってほぼ「自然の摂理」のような気がします。
つまりなるべくしてそうなっています。

というのは、フェデリコ・テシオ翁その人自身が「クラシック指向」の生産家であるからです。

初回のチャンネル紹介動画でもお話ししたように、テシオ氏は最初それまで生産界の常識だったクラシック×クラシック配合から始めてつまずき、それをバネに自らの理論を構築します。

しかしだからといって自分の持ち駒にスプリンターの繁殖牝馬がいたわけでもなく、また種牡馬もほぼステイヤーで埋め尽くされ、競馬界のピラミッドも凱旋門賞を頂点としたクラシックディスタンス全盛(いまも欧州はそうかな?)の時代です。

そんな境遇でスピード馬を作れたところで稼ぐレースがない、名誉も得られない、生産活動として全然成り立たないですから、テシオ氏としてもよりスピードのあるクラシック馬を作る方向で努力をされていたはずです。

実はこのスピード指向に関してはテシオ氏が追い求めて止まなかったものがある(テキストには「異常な執着」と記されている)のですが、それは動画の中級編のどこかで解説することとして、テシオ氏亡き後、ドルメロの牧場は細々とステイヤーを輩出する零細牧場に成り果て、ついには閉鎖されます。
まだ中島氏がこの世にいた頃です。

ドルメロの現場がこのクラシック優遇配合から完全には脱していなかった証左でもあります。

ですからテシオ理論の見方で(基礎体力重視で)競馬を眺めると、どうしても長距離にマッチしてくるのは、理論の性質上仕方のないことなのです。

しかし長距離がいい理由はそれだけじゃない気がする

以上は私自身の所見なのですが、基礎体力と競馬の関係については、他にもテキストに何か記述があった気がして、中級編の資料探しを兼ねて再びテキストをめくっていると…やっぱりありました。

これも馬券と基礎体力との関係を直接述べたものではありませんが、日本競馬界の特徴のひとつに関係者だけがイレ込む大レース前の強い調教があります。

外国勢はローテは多少キツいかもしれませんが、普段必要以上の強い調教を課すことはありません。

さすがに日本でも今は調教に対して相当ソフトになりつつありますが、テキスト出版当時はまだまだレース前の一杯追いが主流の時代。
JCなどでは「日本馬はなぜあんなに強い調教をするのか不思議でならない」という外国人調教師たちの声が聞かれました。

中島氏もレース前、とくに競馬を使ってきている競走馬への強い調教は基本的に必要ないと記しています。そしてこれをやり過ぎると

▼とくに長距離のレースにおいてははっきりと馬の競走能力に影響が現れる(いわゆる走る前のガス欠)

と述べています。

つまり血統で(テシオ理論で)基礎体力を見ていく以上、数値の高低や余力の差が一番良く現れるレースこそが長距離戦であるということです。

そう考えれば古今東西、奇跡の復活とか激走とか長期休養明けのドラマがいくつもあったと思いますが、そのほとんどが芝の長距離戦だった気もします。

サクラスターオーの菊花賞(ふるっ)
トウカイテイオーの有馬記念
タケノベルベットのエリザベス女王杯
先日のチャレンジカップで惜しい2着だった16か月ぶりのトリオンフも大きな意味で言えば当てはまるのしょうか。

体にエネルギーをため込むことで乗り切るのが長距離戦。
人間のマラソンランナーも同様ですし、もしかしたらあのキタサンブラックもそのたぐいまれな基礎体力の高さ(72)でステイヤーとしての地位を確立していたのかもしれません。

そういえば数少ない私の馬券的中回2019も、日本ダービーや秋華賞など芝の中距離以上が多めでしょうか。


確かにスプリント戦は基礎体力不足の馬でもけっこう走ります。(先日のラピスラズリSを勝ったナックビーナスが好例。休み明けの鬼。ファインニードルもそんなに高い馬じゃなかった)

いかがだったでしょうか。
直接のお答えにはなっていませんけど、思うところを記しておきました。

中島氏の配合馬も芝の中距離以上で活躍した馬が多いです。ハワイアンイメージ、カツラノハイセイコ、カミノクレッセ、ウインザーノット…。また中島氏が取ったという大きな馬券も日本ダービー、菊花賞や春の天皇賞、目黒記念など長距離戦の話が多数出てきます。

これからもみなさんのご意見、ご質問お待ちしております。
YouTube動画内のコメントも大切なことはブログ上でお返事いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

▼テシオ理論の威力がより発揮されるテリトリーはどこなのか(ご質問より)」への5件のフィードバック

  1. さらに言うと古い活躍馬ほど基礎体力が高く、新しい活躍馬ほど基礎体力が低い傾向があったので、推察するに今の馬場が体力よりもスピード適正に向いて、スピード適正で基礎体力をカバーできるのかなと考えています。

  2. ちなみに賞金上位トップ160の平均基礎体力は芝馬が56でダート馬が60だったのでダートのほうがより顕著な気がします。

    1. ガロマルさん、こんばんは。
      もうそんなことまで調べちゃったんですか?

      やっぱりダートこそ、体力勝負なんですかね。
      明日の師走Sに出てくるメイショウスミトモは、元から基礎体力めっちゃ高くて3歳の菊花賞の頃から「どこでどう活かすんだろう」と見ていたら、キャリア50戦あたりで重賞を2つ勝ちましたからね。思わず「ここで勝つんかい!」と声が出ましたわ。

  3. いつも楽しく見させてもらってます。普段の御尽力には頭が下がります。量的遺伝は確かに重用なファクターですが25年私も見てきましたがG1の現代競馬ではそのレースの馬場状態にあった遺伝の強さの特質が特に重要だと思ってます。何故なら昔に比べて能力差が均衡してるからだと。最近馬場状態の変化が激しい様な気がしてます。特にG1ウィークでは!

    1. コメントありがとうございます。

      このブログを訪れるような方は、何かしら1本ご自身の競馬観をお持ちで、いつも感心します。
      それをサラッと披露してくれるので、ときにこちらのヒラメキにつながります。

      私は馬券をやらなくなって久しいので、生々しい現場の様子には疎いんですが、馬場状態と遺伝の強さの関係には考えが及びませんでした。
      どうですか、ちょっと解説ブログでも始めませんか?
      ブログをやると、そのうちYouTubeやりたくなりますよ、きっと。

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