ユキチャン以来白毛一族の第2波来たる、か?
本当に珍しいことがあるもので、同一G1に同一牝系から複数頭の出走というのは過去にもままあることなのだが、それがあの白毛一族から2頭となると、これはもう天文学的な確率の奇跡に近いと言えよう。
とにかく今年の秋G1は史上初の話題で持ちきりだが、さすがに阪神JFはこの時期の牝馬ということもあって波乱含み、伏兵陣も多士済々。以下に注目の馬たちをご紹介していこう。
まずは白毛一族2頭のサイクル的立ち位置を確認する
ウェイブウインド 91.1.28 ぐ○ 1.11〜3.11
シラユキヒメ 96.4.4(5.5付) き× 3.18〜5.18
ユキチャン 05.3.28(4.20付) き○ 3.11〜5.11
シロインジャー 13.2.24(3.19付)2付 ぐ○ 2.10〜4.10
メイケイエール 18.2.23(3.8付) き○
空
ユキチャンの19(シルク) 19.1.21(2.10付) ぐ×
マシュマロ 09.3.23(4.7付) 3.6〜5.6 き○
ハヤヤッコ 16.2.10(3.3付) き×
ブラマンジェ 10.3.22
マーブルケーキ 11.4.9(5.2付)き○ 3.23〜5.23
ブチコ 12.4.27(5.21付) ぐ× 4.11〜6.11
ソダシ 18.3.8(3.15付) ぐ×
空
シロニイ 14.2.13(3.1付) ぐ×
毛色の謎は深いものの、この白毛一族はサイクル自体はごく読みやすい。
みんな知ってるユキチャン、ブチコ、シロニイの方が表とみて良さそう。ハヤヤッコはこのぶんだと裏に入るが、サイクルの境界にすごく近いので、これはどうなっているかわからない面もある。
というかここに来てソダシやメイケイエールが出てきたからこそ、やはりこちらが表だと判断できたフシもある。しかし獲得したスピード量には、それぞれ明らかに違いがありそう。とくにソダシとメイケイエールは、種付け日もスゴく良いから芝を走れる原動力になったのかも。
2頭ともサイクルは良さそうとわかったが、では優先祖先はどうなのだろうか。
母の血が強すぎる白毛一族
実は優先祖先に関しては、活躍馬たちはいずれも母似の馬ばかりだ。
それは白毛一族の謎多き祖である牝馬・ウェイブウィンドが、父TopsiderのMAX活性産駒だから。よって完全にMAX活性年の父馬を付けないと、一族どの白毛チャンにも父の形が出てこない。すると自然に親戚一同そっくりタイプの馬が多くなる。(冠婚葬祭あるある)
Topsiderはアメリカではダートを走ったものの、一度英国で芝を走った経験がある。どういういきさつかは不明だが、米国の関係者に芝を走らせてみたいと思わせる何かがあったということか。
自身はTourbillon系ジェベルの形を継いでいる短距離馬だが、現代の血統表ではそれ以前5代目のNorthern Dancerしか有効祖先が届かないので、白毛一族はほぼTopsider〜Northern Dancer優先だと考えてもいいくらいだ。
そして優先Northern Dancer馬はいつも芝ダート兼用と扱っているとおり、やはり白毛一族の実績を見ても兼用適性が強い。
そうそう、Northern Dancer優先なんて今どき流行らないと思ったら大間違いで、たとえば2冠牝馬ミッキークイーン、たとえば地方からダート6連勝でOP入り、今週のカペラSの有力候補でもあるダンシングプリンス(ちゃんと調べたらDプリンスは父パドトロワのぎりMAX活性。父5.15付→息子6.3付。やっぱ父似かあ)など、今の世にもボチボチその形を継承している。
正確にはソダシがNorthern Dancer似で、メイケイエールは祖母ユキチャン似だが、父がそれぞれクロフネ(C/T)とミッキーアイル(C/C?)なので、2頭ではやはり少しメイケイエールがスピード寄りか。
ライバル勢も面白い配合持ち
エイシンヒテンは、今後も活性値の行く末を見守りたいエイシンヒカリ産駒。
もし本当にエイシンヒカリがディープのゼロ活性産駒なら、この配合はめでたくアウトブリードとして成立することになるし、また母父ダマスカス系、4代父Conquistador Cieloがミスプロのゼロ活性と相まって、20年産の全弟(父のMAX活性産駒)が期待の1頭になるだろう。
オパールムーン(父ヴィクトワールピサ)は世にも珍しいリアルシヤダイ優先。リアルシヤダイ自体は社台系の血統表にいくらでも出てくるが、高活性期の繁殖ってほとんど見かけない。
あまりに長距離向きでもうすでに淘汰されたのかもしれないが、本馬はそこからさらに母父マヤノトップガン(!)、父ヴィクトワールピサと付けながら、ファンタジーSでメイケイエールの2着するスピードがある(C型遺伝子忘れずにとっておいたんだろうな)ので、これは来年の春オークスまで乞うご期待。
JBISサイトにある1歳時?セリ時?の2枚の写真がまるで別馬のように筋肉が付いて成長しているので、比較すると面白い。
今年散々心配しながらディスってきた(ちゃうちゃう)モーリス産駒だけど、シゲルピンクルビーはよく見るとアウト扱い。
モーリスはサンデー系には弱いけど、カーネギー→メジロフランシスの連続ミニマム期付けにより、Northern Dancer系にはめっぽう耐性のある種牡馬だから、それがサドラーのクロスに変わろうが、どうってことはない(活性値3の劣性期だし)。
姉のピンクダイヤ同様High Chaparralの影響が強いので、うまく乗れば秋華賞でも距離が保つ。北海道セレクションセールで3千万超えとすごく高評価された馬。
最後にノースヒルズの連勝馬、ポールネイロン(父オルフェーヴル)。
父は劣性期で、母父のDansiliが高活性だが、Dansiliはデインヒルのミニマム期産駒なので、ネアルコの影は薄い。とはいえ珍しいことに優先自体がこのDansiliからステイヤーのKahyasiの方へ遡るので、形はどっぷり欧州系。広くてゆったりしたコースが合いそう。
本馬のひとつ上の兄がセン馬になっている。日本のセン馬は諸外国と違って少し気をつけるべき指標だろう。父がオルフェということもあるから、今後距離延びてきたときに悪いことを覚えなければいいのだが。
幸いレコードで走るスピードは享受できており、あとは折り合い次第。京都よりはどこかでペース緩む阪神のマイルが合うだろう。
やっぱり血統的にはコントレイルみたいに分かりやすいのがクラシックは走るんでしょうかね。特に牡馬は?
クラシック牡馬の配合に軽さが求められるのは、世界的な流れかもしれません。
やっぱりエイシンヒテン、気になるんですね。エイシンヒカリ、ホントにゼロMAXどっちなんだろう。
ルクシオンはノルマンディーさんの馬ですね。
父も母父も千二でどうこう言える馬じゃないと思うのですが、気性なのか、使える脚が一瞬なのか……千二までしか実績のない馬は今回割愛させてもらいました。