いよいよクラブ募集虎の巻として機能するかの試金石
今まで「動画を見て出資した馬が初勝利を挙げてくれた」などの嬉しいコメントをいただくことはあったが、基本的にはここまで過去解説の検証、振り返りはしてこなかった。
それはこのドルメロ理論が未だ道半ばであり、今日もさまざまなファクターを一生懸命消化している最中で、どこで話を輪切りにしようとも最終結論を出すのは早計と思っているからだ。もっと端的に言ってしまえば、未熟なのでまだあちこち間違っているのだ。
それでも読者さんの温かい声に支えられながら、ドルメロ理論は今年も少しずつ面白い方向へと進化している。またそこには研究に応えてくれるだけの理論の奥深さがあるようだ。
今回、月のサイクルと種付けイベントとの合体で生まれた「月の評価(仮)」の検証として、シルクHCさんの4歳馬を例にとり、その対応表をいつもの一覧にまとめてみた。大きな表なのでここではその一部分だけご紹介するが、後日に全表PDFをドルメロBOOKSに無料公開するので、興味のある方はぜひダウンロードしてご覧いただきたい。BOOTHショップから撤退しましたので、後日ブログにて掲載しました。
今回シルクさんにご登場いただいたのは、古株のブログ読者さんにシルクの会員さんがあまりいないこと、現在未勝利からOPまで募集馬が幅広いクラスに分布していることなどがその理由だ。よって月の評価によってどの程度上級馬を割り出すことができるか、シルクHCは格好のサンプルになる。
OP馬と1勝馬の差ってなんだろう?
今回の調査サンプル数は計41頭。上の図は五十音順に並んだ8番から19番の馬をピックアップして切り出した。図が小さくて申し訳ないが、OP馬が多数いるゾーンだ。
なおシルクさんには「過去の退厩馬を検索する」機能もあったが、「4歳」とソートすると「4歳で引退した過去の馬」が多数出てきてしまうので使えず、残念ながら3歳時未勝利引退馬は追えていない。あくまでも現役馬だけが対象になる。
まず検証を終えた今、全体の印象として感じることを挙げていこう。
①「月の評価」は上級クラス馬の選別にある程度実力を発揮している
②空胎後の複数種付けをどのくらいに評価するかが難しい
③月のサイクル「だけが」表の馬の割合は約6割で、「空胎後」「自然①」等による復活組は4割
④今のところ「月の評価」のウェイトは全体評価の6割以上を占める
①〜④各論のまとめ
まず①についてだが、上級まで上がれる馬の選別には、「月の評価」が予想以上に使えそうなことがわかった。というか「これならけっこう簡単になったんじゃね?」説まであるかもしれない。
しかし忘れてはならないのは今回のサンプルに未勝利馬が含まれていないことで、当然ながら未勝利馬の中にも「月の評価」がバツグンに良い馬がいるはずなのだ。(いなかったらそれはそれですんごいことだけど)そういう玉石混交の中からサリオスなり、オーソリティなりをきちんと引っ張ってこれるかという、会員さんの決断、人間としての心の揺れみたいなものは依然試されるかもしれない。
次に②だが、これは前回のブログでいただいた「空胎後の複数種付けはどこまで許容しますかね」というご質問へのお答えになる。結果、さじ加減がすごく難しい(汗)。
今回私は月のサイクルが表だろうが空胎後だろうが、シーズン中の3回種付けは途中から?自動的に「E」評価とした。もちろんそれで1つや2つ勝つ馬は存在するが、私のほしい馬はそれじゃない気がして。これはご意見があれば「D評価」くらいには上げてもいいが、まあ好かんよねw 結論「E」でいいんじゃないかという気がしている。
③今回一番気になっていたのがこれ。新基準が月のサイクルをどのくらい凌駕してくるか、復活組の割合はいかほどか、であった。
私がまだクラブ馬評価を始めたばっかりの頃、試算で月のサイクルが表の馬の勝ち上がり率を調べたことがある(キャロットさんだったかも)が、やはり6割ちょっとだったことを覚えている。なにせあの当時の6割以上だからすごく手応えがあったが、当時も今もあんまり変わらないんだなと、なぜかガッカリしている自分がいるw
ただ面白いことに今回「月の評価」で全現役馬を見ても、標準以上の評価にあたる「S〜C」馬とそれ以下の馬との割合はやっぱり6対4になっていた。しかしこれがOP馬となると、全8頭中7頭までが「B」以上の評価だった。このことから
ひとつ勝ち上がるだけなら裏でも「D」評価でもイケるが、OPまで目指すのならやはり「B」以上の評価馬を狙った方がいい
と言えそうだ。なおOP馬で唯一「D評価」だったギルデッドミラーは、月のサイクルが裏判定なので低評価だったが、この母タイタンクイーン産駒には例の○億円産駒デビューが控えているので、そのうち裏表判定が覆るかもしれない。ちょっと難しい牝系だ。
④そしてこれもご質問へのお答えになるが、この感じなら「月の評価」を評価値全体の6割を占める主力として考え、その次に基礎体力、クロス、お好みで優先祖先、馬体……などと付け加えていけばいい気がしている。
確かにこの一覧表をどう使うかは購入者さんそれぞれにお任せすれば楽しいだろう。ただ今回は2つの難しいファクターをひとつにまとめ、しかも簡単なABC評価に表せたことが大きい。だからどちらかというと「月の評価」は、クラブ初心者さん向けにガッカリさせない好印象ファクターに仕上がったと言えそうだ。一見マニアックに陥りそうだったが、結果的にこれはこれで私のチャンネル方針とも合致している。
さらに玄人さんは、この月の評価境界すれすれに存在したアーモンドアイのような超大物を狙うのも楽しいはず。お互いの健闘を祈ろう。
でもシルク1世代だけで検証は大丈夫?
さてシルクHC4歳馬ではまあまあの手応えを感じたものの、これが即他クラブにも応用できるなどという甘い考えはサラサラない。
昨晩床につきながら「他にも調べやすいクラブ、なかったかな……」などと考え、実はシルクHCに加えて、すでに東サラさんの現役4、5歳馬全33頭でも同じ検証を行ってある。これについても次回以降のブログで発表し、全体PDF表はドルメロBOOKSにて無料公開する。
そしてできればもう1クラブ、ノルマンディーOCさんかウインRCさんでも検証してみたいと思っている。本当はサンデーRさんとか社台さんでもやってみたいが、そっちは十分な情報がない。その点この両クラブとも現役馬の情報が一般人にも手に入り、とくにノルマンディーさんには他にも検証したい理由がちゃんとある。
これでまたいったん動画制作期間に入るので本格的な検証はしばらくお預けになるが、次回動画はいよいよNorthern Dancer系、サドラーズウェルズ系の発展についてお話しする中級編解説回を予定しているので、そちらもどうぞお楽しみに。