※これは2月18日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は2025年最初のG1、冬のダート王決定戦フェブラリーSの展望をお届けいたします。
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とはいえ何だか今年のフェブラリーSは、本当に見たい有力馬の姿もなければ、乗る騎手の数まで不足気味という散々なありさま。
以前からもろもろ課題を抱えていたG1ではありましたが、とうとうそれが明るみに出てフェブラリーSもここまで墜ちたかという感は否めません。
というか、JRAがこのダート戦線の盛り上げに本気じゃない点が一番のダメポイントでしょうね。
そして馬券的に見ても今年はあまり荒れそうにない、というのが私の見立てなんですが…
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気を取り直して、今年のフェブラリーSの目玉は、絶対王者レモンポップ引退後の新勢力から誰が一歩抜け出すか、これに尽きるでしょう。
昨年はレモンポップが遠征で不在の中、ベテランのペプチドナイルが見事に勝利。
ただJRAのスピードダートにおけるレモンポップの天下が相当長かったので、当時2番手グループに甘んじていた馬たちでは今も現状維持がやっとで、新王者はもっと新しい勢力から誕生するのではないか、私はそう思っています。
ではまずJRAのフェブラリーSを制するために必要なファクターを、いくつか挙げてみましょう。
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これはレモンポップの血統表です。
スピード面から見た彼の血統的強みは2つあって、ひとつは優先祖先が米系のDanzigだったこと、もうひとつは彼が母の真のMAX活性産駒=母から得られたスピードが最大だったことです。
フェブラリーSはとにかくスピード重視の舞台であり、距離延長の心配をするくらいなら前半のスピードについて行けない心配をした方がいいくらい。
このレモンポップでさえ、勝つ前は前年の武蔵野Sで2着に負けたことを指摘する方が大勢いましたが、私は当時、母の真のMAX活性から得たスピードを追い越せる馬がこの中に果たして何頭いるだろうか、と考えたときに、やはり軸はレモンポップ以外にないなと結論づけました。
よって中央のダートG1を勝つ適性というのは、一にスピード、二に米系のダート適性であると言えます。
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さらに今年は先行馬がまあまあ揃って、テンのペースが緩むことはまず考えられません。
逃げ馬が多い年でも、一完歩目が早くない馬や、地方でしかハナを切れない馬なら除外してもいいのですが、今年の逃げ候補はきっちりテンが速いし、しかもそのまま最後まで粘れる力を持っている。
各馬、意外に簡単にはハナを譲らないかもしれません。
この中ではアンモシエラが昨年船橋のマリーンCで計測した初速11.6というのが最速ですから、今回も彼女がペースメーカーではないかと予測しますが、東京のマイルは芝スタートで、ときに滑ったりつまづいたりするため、ハナ争いは予断を許さない状況です。
よって初速はいちおう誰が行っても12.0〜12.2というややハイな流れを予想しておきます。
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さあそんな速い流れと軽いダートに適した形といえば、これは米系ダート適性の優先祖先です。
みなさんダートを走る馬の優先祖先はみなダート系かと思いきや、必ずしもそうではないんです。
むしろ条件によっては、たとえば乾燥が進んだ中山とか、あるいは白砂を敷いた地方競馬などは、芝適性馬の方が活躍できる場合もあります。
しかしこの府中のスピードマイルコースだけは、できればバリバリのダート適性の形を持つ馬を挙げておきたい。
昨年のフェブラリーSを制したペプチドナイルをはじめ、茶色で示したダートの優先祖先を持つ馬を上位にとりたいところです。
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そして、すごく簡単なポイントなのに見逃されがちなのが、毎年勝ち馬の前走ローテはすべてJRAの中央場所を経由しているという事実です。
これは勝ち馬に限定されますが、どんなに大波乱になった年の勝ち馬も、ここ15年間、前走はすべてJRAのレースを経由しています。
16年前、09年の勝ち馬サクセスブロッケンは川崎記念を経由していましたが、元は府中のヒヤシンスSを勝っていた馬でした。
今年はこの条件だけで選択しても、勝ち馬候補からあっさり除外されてしまう馬がけっこういますので、単勝系の馬券を狙う方は要注意です。
とくにここ数年は、地方と中央のダートをしっかり走り分ける陣営も出てきて、無理にフェブラリーSをローテに組み込まないケースが見られます。
またそれほど地方と中央のダートは異質で性格の異なるモノに変わりつつあるということでしょう。ダートなら何でも走れる時代は終わりましたね。
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最後に毎年指摘しているデータが、世代間のレベル格差です。
これはフェブラリーSを4歳時に勝つような馬を出した世代は、その後毎年好走馬を送り込むレベルの高い世代だということです。
毎年4歳馬の中にも人気になる馬はある程度いるのですが、実際には4歳でフェブラリーSを勝つということは相当難しいことで、たいてい人気になって凡走するケースが多いです。
ダート界は高齢になってもなかなか実力が落ちませんし、むしろフェブラリーSは適性さえ合うならば、昨年のペプチドナイルのように高齢馬の一発を狙うべき舞台でもあります。
それを踏まえて今年はどうかというと、22年の4歳世代がここ3年好走馬を送り込んでいます。
彼らは今年は明けて7歳になるわけで、ペプチドナイル、ウィリアムバローズら7歳世代の走りには注目ですし、もしこれら7歳世代の激走がなければ、あとはやはり新しい5歳世代の新興勢力を狙うことも考えられるでしょう。
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さあここまでデータをいくつか見てきたのでそろそろ推奨馬を決めたいのですが、実は今年推したい馬の1頭は、以前私がJRAーVANのPOG候補として選んだ馬になります。
それが母カラズマッチポイントの20、すなわちエンペラーワケアです。
ですが当時もうすぐベスト10まで行きながら、なぜあと一歩、将来の重賞勝ち馬を推せなかったのか。
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それはやはりこの血統表を見れば見るほど、手が出なくなったからでしょうね。
当時私はロードカナロア産駒にもまだ不信感があったし、そこへきてミスプロはともかくStorm Catのクロスもわずかに生きている。
母系は代々かなり丈夫な体質を遺伝しているけれど、ならいっそのことどこかで1回母のゼロ活性でも挟んで、Storm Catクロスを消してほしかったくらいなんですよね。
日本では多重クロスを受けるととたんに脚質が渋くなって、スパッと切れなくなるしね。
ただそれも芝ではなく、ダート競馬ならまた話は別。
実際月のサイクルが表のエンペラーワケアが繰り出すスピードは、ダートのG1レベルでも上位のものがあります。
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これは今年の人気上位2強コスタノヴァとエンペラーワケアの成績を、あくまで参考としてEQ指数で表したものです。
実は2頭ともここまで、8Fよりは7F以下のレースでスピードを見せつけてきた馬たちです。
とくにこの2頭の直接対決となった昨年5月の府中・けやき欅Sは大変な高レベル戦で、2頭で3着馬を5馬身ちぎってしまったのも納得の数値。
それは昨年のペプチドナイルの指数と比較しても圧倒的な速さですから、これで1F距離が延びたからといって後ろから差される姿などそう考えられるものではありません。
さらにエンペラーワケアの方は、斤量を背負ってなおこの指数を出せるのが強みで、秋の武蔵野Sは一見指数的には大したことがありませんが、これは途中で大きな中だるみペースになったから。
むしろこういう緩いペースでも掛からずポジションを守れたのは、距離と折り合い面に不安がない証拠。
これなら本格化した後に千八でも十分こなせる馬だと思います。
そしてこの2頭ともがそれぞれ大事な前哨戦、根岸Sの勝ち馬なのですが…
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ここまで根岸Sと本番のフェブラリーSを連勝で制した馬たちの指数と比べても、コスタノヴァ、エンペラーワケアの根岸S指数は全く遜色ないレベル。
むしろ既存の勢力でこの2頭のスピードについて行ける馬がどれほどいるか怪しいくらい。
コスタノヴァがちゃんと出走してくればもう馬券的妙味は少なくて、残った3着の椅子を皆で争うだけになるかもしれません。
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そのかわりといってはなんですが、その3着に滑り込みそうな馬たちはたくさんいすぎて予想も難しいくらい。
フェブラリーSが俗に言うリピーター重賞というのであれば、経験馬という意味でペプチドナイルとガイアフォース。
とくにガイアフォースの前走は中京千八の大外というノーカウントに近い枠順だったので、今一度得意のコースで一発を狙いたい。
そして何と言っても重賞の3着馬といえばこの馬の指定席でしょという、ドゥラエレーデ。
で最後に前走まさかのカラ馬で暴走ゴールインの、タガノビューティー。
タガノビューティーはとにかく休み明けが全くダメな馬なので、あれを斤量なしの最高のリハーサルだったと考えれば、ひと叩きした今回ひょっとしたら有終の美を飾れるのではないか。
まあ難しすぎて、あれこれ考えない方がいいね。
3番手にはお好きな馬を買ってください。
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フェブラリーS2025 解説動画いかがだったでしょうか。
地盤沈下が心配されるダートG1、フェブラリーS。
カリブソングやナリタハヤブサ… 昔のハンデ戦時代を知るオジサンとしては、もう名前を根岸SとしてG2のハンデ戦に戻したらいいのではと思ったり、あるいは時期を5月のかしわ記念のあとに持ってくればまだ関係性ができるかも、と思ったり。
JRAがフェブラリーSを大切にしないから、いつの間にかどことも連結できない単独レースに成り下がっってますよね。
あ、そうか、わかったぞ! いっそサウジカップかドバイワールドカップのトライアルとして現地でやればいいんだわ。私が理事長ならね。
ふふふ、今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。