※これは2月10日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は世界の新種牡馬シリーズ2026春編の第2回目として、アメリカ・スペンドスリフトファームの繋養馬たちをご紹介していきます。
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前回クールモアグループの新種牡馬をご紹介したあと、そういえば米国には他にもすごいところがあったなと思い出したのが、このスペンドスリフトファームです。
スペンドスリフトはアメリカ・ケンタッキー州レキシントンにある生産牧場で、とくに現在は種牡馬の繋養を主な産業にしているのですが、実は昨年の北米リーディングにおいて、北米総合、新種牡馬、セカンドクロップ、サードクロップのリーディング全部門を総なめにするという快挙を成し遂げました。
これは3年目の種牡馬成績まできちんと集計され始めた1994年以降では初めての快挙で、まさに今アメリカの種牡馬を見るならここを忘れてはならないという一大生産拠点、それがスペンドスリフトファームなのです。
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前回のクールモア特集でもBCを最後に引退した新種牡馬の血統を分析しましたが、むしろ日本で走らせる堅実なダート馬を探すなら本命の父はこのスペンドスリフトにいるのではないか、私はそう思います。
仕上がり早で長短距離の融通が利く上に、日本人にはまだ少〜し馴染みの薄いダート種牡馬。
しかしどの父も近い将来、長期政権Into Mischiefの後がまを虎視眈々と狙う逸材であり、ここでいち早く手をつけたもん勝ちの様相。
クラブの会員さん、現地セールに出かける関係者の皆さんにとっても、知っておいて何の損もないお得な血統情報が満載です。
あ、言い忘れましたけど、そのInto Mischiefもまたこのスペンドスリフトの繋養馬ですからね。
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というわけで今回の動画では、エースInto Mischief以外のスペンドスリフトの主力種牡馬3頭、オマハビーチ、ヴェコマ、ヤウポンと、産駒デビュー前の種牡馬3頭、グレイテストオナー、アラビアンライオン、ナショナルトレジャーを、私の独断と偏見で選び解説していきます。
それではオマハビーチの解説からスタートです。
(5)(5秒ジングル)
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まずは昨年の北米サードクロップリーディングとなった、オマハビーチです。
現役時は10戦5勝、アーカンソーダービーや、マリブSといったG1を制し、BCダートマイルでも2着に入った一流マイラーです。
2歳時は芝のレースからデビューし初勝利までに5戦を要しましたが、ダート転向後は快進撃を続け、ケンタッキーダービーの前売りでも1番人気に推された逸材。以後3歳時はほぼ取りこぼしのないまま引退しましたので、やはり仕上がり自体は早かったのだと思います。
近親に現在日本のダーレーで供用されているウィルテイクチャージがおり、またこの2頭とも母似で祖母〜デヒアの形を継いでいることから、この2頭は遺伝的にも似た意味を持つ馬たちであると言えます。
ということは今年日本で2歳デビューを迎えるウィルテイクチャージ産駒の成績がどうなのか、その辺りがオマハビーチ産駒導入のヒントになりそうですね。見ての通りスピードの種が多いので、日本で成功させるにはやや配合内容を選ぶ種牡馬ではないかと思っています。
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続いては昨年の北米セカンドクロップリーディングとなった、ヴェコマです。
現役時は8戦6勝も、大舞台では輝くことができず、G1勝ちはメトロポリタンHのひとつのみ。
ケンタッキーダービーは12着大敗、そして翌年のBCスプリントは取消と、いまひとつ実力を出し切れないままの引退となりました。
このCandy Ride直系はアメリカなら大爆発、大人気間違いなしの系統で、芝でもダートでも走る万能の適性を誇りますが、なぜか日本競馬とはまだ相性が良くない。
確かに昨今の日本でも直系の父Gun Runnerを通じて産駒がやってくるようになり、OP馬を輩出し、さらに種牡馬としてはマスタリーが導入され、数の上でも反撃の下地が固まりつつあるので、ひょっとしたら産駒の日本適性うんぬんはこれからが本番かも、とは思いますが、今はまだCandy Ride直系を信頼できるには至っていません。
日本における初の大物はきっと芝馬かもと思っているんですが、さてどんな配合パターンで驚かせてくれるのか、今のところは様子見しておきます。
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そして3頭目が、昨年の北米新種牡馬リーディングとなった、ヤウポンです。
現役時は8戦6勝でしたが、デビュー自体はかなり遅くて、なんと3歳の6月に3番人気で初勝利。
そこから怒濤の4連勝で秋のBCスプリントに1番人気で出走したものの、8着に大敗。翌年ドバイのゴールデンシャヒーンも8着と大舞台には縁がなく、G1勝ちは引退レースとなったフォアゴーSひとつのみという結果でした。
ところが引退後いざ産駒がデビューしてみるとこれが勝つわ勝つわで、昨年出走した2歳馬82頭中30頭が勝ち上がり、うちブラックタイプ競走勝ち馬が8頭という新記録を打ち立て、一躍フレッシュリーディングの座に駆け上がった新星です。
実はこのヤウポン、昨年私も目を付けてPOG指名馬の中に1頭入れてみました。
彼はなんといっても父のUncle Moがゼロ活性であることが大きく、父似なら形は昔から日本で好相性のアフリート系に遡るので、かなりの確信を持って指名しました。
産駒の距離適性はほぼスプリントでしょうが、血統的に軽い配合になるのは間違いないので繁殖の母父としても面白そう。距離長めの日本種牡馬と合わせてみたいですね。
(9)(5秒ジングル)
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さてここからは、産駒がまだデビュー前の種牡馬3頭をご紹介します。
まず1頭目は、今年の2歳が初年度となる、グレイテストオナーです。
現役時は10戦3勝、G2とG3を一つずつ勝っただけのどこにでもいる競走馬でしたが、彼の血統的特徴は何と言っても父タピットのゼロ活性産駒であること。
そして自身の形が日本でもおなじみのDeputy Minister系に由来すること、さらに4代母がBest in Showということはあのアーモンドアイと同牝系の出身である…なんだか日本との縁を感じずにはいられない種牡馬なんです。
しかも母のTiffany’s Honourは現在ノーザンファームに繋養中で、昨年はイクイノックスの子を無事出産しています。
だからもう1年早く母を輸入してみたら、お腹の中にいた持込のタピット産駒がこのグレイテストオナーだったということもあり得たわけで、もしそうだったら彼は中堅種牡馬として日本でも出番があったのではないか、そんな妄想が働いてしまいます。
なにしろ米国での種付け料がたったの7,500ドルなのに、血を濃くする要因がどこにもないのがいいし、父似産駒の形は明らかに日本向き。
ライバルと争わずゆっくりお宝を探すなら、こういう産駒の中にこそいるような気がします。
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2頭目は、今年の1歳世代が初年度となる、アラビアンライオンです。
現役時は9戦3勝、3歳時にWoody Stephensステークスという7FのG1を制しただけで、他に勲章らしきものはないのですが、実はこれが父Justify産駒の初G1勝ちだったということで、その後の父Justify躍進の足がかりとなった1頭です。
母のアンバウンドは何と日本の大樹ファームさんの持ち馬で、現役時代日本で3勝したほか、アメリカでも2戦走った記録があります。引退後米国で繁殖入りし現地でJustifyを受胎して本馬を産んだということですね。その辺の詳細はわかりませんが、この馬も日本に少し縁があるようです。
遺伝的に父Justifyの影響は少なく、父似産駒の形はフォーティナイナーの方へ流れていきます。
Storm Catの名前は6代目以降に消えてくれますので、近いA.P. Indyのクロスを避けながら、少しだけミスプロで味付けをした配合なんてニッチな産駒を探せば、日本でもうまく走ってくれるかもしれませんね。種付け料は15,000ドルとなっています。
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最後3頭目は、今年2026年に初年度の当歳が生まれてくるナショナルトレジャーです。
現役成績は15戦4勝ですが、3歳クラシックの王道を歩んだバリバリの一流馬で、春は見事にプリークネスSを制覇したのち、秋はBCダートマイルで2着、翌年には高額賞金でならすペガサスワールドカップを制するなど、ここの同期の中でも実績は抜けていて、種付け料も35,000ドルに設定されています。
むろんそういう父が期待通りにいい子を出すとは限りませんが、もし日本に連れてくるならこのナショナルトレジャー産駒は面白いかも。
父似産駒の形は父からも母系からも出るタイプで、とくに直系のQuality RoadはCity of LightからFiercenessへと優性で子孫に形を繋いでいますし、クールモアの動画でもお話ししたとおり、City of Lightの系統からは芝でもダートでもやれる産駒が出ているので、ナショナルトレジャーもむしろ浅い父似産駒の方が有望かもしれない。
スピードの種としてミスプロの他にSadler’s Wellsという隠し球を持っていて、米系の繁殖に限らず欧州の繁殖との配合も期待できる。
産駒の適性がかなり広そうで、セールに行って選びがいがある父ではないでしょうか。
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世界の新種牡馬シリーズ2026春編その2 スペンドスリフトファーム編 いかがだったでしょうか。
ここスペンドスリフトには、昨年で7年連続の北米リーディングとなったエースInto Mischiefもいるわけですが、成績面では完璧でも今年で21歳というその年齢が一番のリスク要因であり、やはり次世代のエースを探す用意は常にしておく必要があります。
毎年北米リーディングの二番手に君臨するNot This Timeが芝でも強い種牡馬であることを加味すれば、北米のダート界を席巻しそうな次のニュースターはもっと他にいる気がするのですが、果たしてそれは誰なのか、興味深く見守りたいところです。
またこの動画が、米国のセール出身馬やクラブ導入馬たちの参考になれば幸いです。
今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。