昨日6月3日は、ふたつの嬉しいことがありました。
ひとつは、2歳馬診断で★4つを獲得したグランアレグリアが、衝撃のデビュー戦を飾ったこと。
そしてもうひとつは、冬からずっとおし続けてきたモズアスコットが、連闘をものともせず安田記念を勝ったこと。
血統を見てきて、心からよかったと思う瞬間でもあります。
モズアスコットについては、ここ3走でレコード近くで2回走り、連闘もしているので、今後どこかで反動があることは間違いありません。
けれど実際問題として競走馬が一生かけてもなかなか獲れないタイトル、それが競馬のG1レースですから、まずは素直に健闘をたたえたいと思います。
さあ、サンデーRの2歳馬診断も今回で最後となります。
兄より適性距離は短縮傾向もその分スピードに磨き
▼ウミラージの16 番号150
牝2・吉村圭司厩舎予定
父 ディープインパクト
母父 Monsun
2月26日生まれ 黒鹿毛
2つ上の兄は洋芝の二六でもドンとこいのスタミナ長距離型でしたが、この妹はもう少し短いところで活躍しそうです。
【診断結果】
・優先祖先 父 ディープインパクト
・馬場、距離適性 芝の中距離
・基礎体力値 56(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 良好
・総合 ★★★(満点は5つ)
全兄ウムブルフ(牡5・堀厩舎)は、まだディープが劣性期にあったときの産駒で、母系のドイツ血統(モンズーン)がそのまま出た形ですが、この馬は優先祖先がディープに変わったので、兄とはかなり適性距離に違いが出そうです。
とはいっても、母ウミラージは独重賞で入着級レベルのスピード能力。
娘がいきなり軽い芝のマイル戦で通用する保証はなく、芝の中距離あたりが主戦場になるでしょう(ここはカタログ通り)。
兄とは繁殖リズム上「裏表」の関係になりますが、母の良い発情期は3月16日から5月16日で、奇数年種付けの兄はこの期間から外れ、偶数年種付けの妹はこの期間に入っていますので、「WinWin」の良い関係です。
しかも妹は発情の初期にあたり、うまくいけば相当スピード面での上積みが見込めます。
残念ながらNorthern Dancer、しかも父母どちらもLyphard経由の同クロスがあるので、気性面では十分なケアが必要です。
配合自体は、4代種牡馬の系統が順にハンプトン系、Northern Dancer系、ブランドフォード系、そしてサンデーですから、父のディープにも似た「異系をうまく取り込む」健康志向ともいえます。
現場で血統的にスピード面で心配があったのか、出資額がディープ牝馬としてはリーズナブルです。
ちょっと穴っぽい1頭ではあるものの、指名も十分考えられます。
残り2頭についても一言ずつ
149番のオーサムフェザーの16は、今年の青葉賞3着で惜しくもダービー出走がかなわなかったスーパーフェザーの全妹。
よって兄とは「裏表」の関係になり、スピード面では慎重な検討が必要だが、母系3代の発情期が裏表両方に散らばっており(どこかで早生まれなどがあったらしい)、大丈夫と太鼓判を押すまでに至らない。
もちろん「裏」だという危険性も十分ありうる。
そしてディープ牝馬編最後となる、151番シーズアタイガーの16。
血統的に見てたいへん変わった馬であり、この馬が今後どう走ってくるかで兄弟の評価も分かれる興味深い例。
とにかく父のディープ以外に代々付けられた種牡馬の活性が著しく低く、優先祖先はディープの祖先を数世代にわたってさかのぼる作業が必要になる。
しかもサンデーはHaloの17歳時の産駒で、その先の遺伝的影響がゼロ。
よってサンデーの直系ではなく、母系をズンズンさかのぼるという未だかつてない経験だ。
ちなみに弟2017は父がダイワメジャーに代わったので、今度は優先祖先ノーザンテーストをズンズンさかのぼることになる。
こういう馬はとにかく1年は様子を見ておきたい。
またあまりに遠い祖先が対象になると、スピード以外の面で長所が出る(気性が安定、丈夫など)ケースがままあるので、残念ながら今回は除外した。
さてこれでサンデーRのディープ産駒2016はすべて見ることができたので、次回はキャロットクラブの好素材ディープ産駒2016たちを見ていくことにしよう。
(残念ながらG1レーシングには今年の該当馬がなく割愛します)