関東馬の分析を終えて「関東がこの豊作ぶりなら関西には相当いい馬がいるはず」と思いましたが、予感はやはり当たっていたようです。
今回は社台RH1歳関西馬のディープインパクト産駒だけをご紹介します。
どのクラブさんもそうですが、17年度産にはディープの最後のひと花がちゃんと残されているようですね。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
社台サラブレッドC1歳馬 関西ディープインパクト産駒 判定結果
【スピードサイクルOK判定の馬】
41 カンビーナの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 Woodman(1983)
【基礎体力】 63(平均は50)
【適 性】 芝の中距離
角居勝彦厩舎 予定
カタログでは全段すごい褒めようです。
「放牧地を駆ける姿は時に神秘的と思えるほどで…」って、書いていて恥ずかしくなるくらいのベタ褒め状態。
まあ、いいデキなんですわ、これが(結局いいんかい!)。
2歳にはセレクトセール2億4千万円で取引されたトーセンカンビーナもいて、新馬はあのカテドラルの2着でした。
その兄も含めてこれまでのきょうだいのサイクルをまとめると、
母 カンビーナ 08.2.27生 き○ぐ×
2.13〜4.13が良いサイクル
初仔 カンカンガール 14.1.26生 ぐ○ →BAD
2番仔 カーロバンビーナ 15.1.30生 き○ →OK
3番仔 トーセンカンビーナ 16.2.7生 ぐ○ →BAD
本馬 カンビーナの17 17.2.10生 き○ →OK
奇数歳にサイクル内、偶数歳にサイクル外というリズムに合致しているのは本馬と2番仔のカーロだけ。
2頭は血統構成もだいたい同じ(全きょうだいだからではなく、ディープの活性値が両方とも優性であったという意味)でしたが、カーロは体が小さくて素質を活かすところまでいきませんでした。
スピードはあっても活かす形(馬体)を持っていなかった典型的な例ですね。
ところが2頭の優先祖先はそのディープではなく、MAX活性の母父・ホークウイング〜Woodmanなんです。
ホークウイングとWoodmanはミスプロ系の中でも芝に特化した系統で、少し距離に限界はあるものの、その分スピードを活かした産駒が出やすいです。
本馬も芝の二千あたりが鬼のように強いと思われますが、いかにも背中に余裕がある感触から同世代のダービーまでは十分距離が保つでしょう。
42 ベストロケーションの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 サンデーサイレンス
【基礎体力】 66(平均は50)
【適 性】 芝のマイル
音無秀孝厩舎 予定
残口あり
3つ上に全きょうだいのベストアクター(牡4・鹿戸雄一厩舎・芦毛)がいますが、兄はディープ劣性期の産駒で、優先祖先は母父クロフネの方へ流れていきます。
本馬の種付け時、ディープがさらに3つ歳をとりクロフネとの歳回りがいっしょ(8年サイクルで7歳と15歳)になりましたが、母ベストロケーションは7月!に種付けされた遅生まれなので、まだこれでも約3か月ほどクロフネの活性値の方が高い計算になります。
これが逆なら本馬はよりディープに近い形を取りますが、クロフネの方がタッチの差で活性優位なので、ディープの父・サンデーが優先となります。(流星に右後肢大きな白はサンデー。ディープは反対の左後肢に大きな白多し)
よって距離的には限界が見えやすいと思いますが、その分十分なスピードを活かしたマイラーに育ちやすいでしょう。
またカンビーナの17よりもNorthern Dancerクロスの濃度が薄い(とくにダイナアクトレスはもう少しでノーカウントにできるほど)ので、精神的にはこちらの方が安定感があります。
46 プラスヴァンドームの17(牝・青鹿毛)
【優先祖先】 ミスプロ〜Gold Digger(1962)
【基礎体力】 34(平均は50)
【適 性】 芝orダートのマイル
中内田充正厩舎 予定
残口あり
残口はありますが、ちょっと決断が難しい馬の1頭です。
母父のDr Fong(1995)がMAX活性で、本馬の優先祖先はここをたどりますが、古い系統に出生不明な箇所があるのと、Dr Fongの母父Miswaki(1978)がMAX活性とゼロ活性の間で揺れる位置にあり、正確な判断が難しくなっています。
いちおう本馬の兄・Style Vendome(2010・父Anabaa)という馬が、仏2000ギニー勝ち等マイル以下で活躍し種牡馬入りしていますので、MiswakiはMAX活性でいいのではないかと思われます。
その前提でいくと優先祖先は、ミスプロまたはその母Gold Diggerあたりに落ち着きます。
カタログには欧州系で芝のマイル以上とありますが、私は米系でマイル以下のダート馬という可能性もあると思います。
いずれにしてもスピード馬であることは間違いないです。
これに対していかんともしがたいのが基礎体力の低さ。
3代母Domino Queenが2代母Mediaevalにゼロ活性を与えてしまい、ファミリー全体に影を落としています。
今の母がいくら頑張っても産駒は平均以上の体力にはなりません。
(兄Style Vendomeも計算上は37)
私も青鹿毛の馬は一番好きなのですが、出資するにはちょっと怖すぎて敬遠してしまうと思います。
繁殖として頑張って欲しいです。
【スピードサイクルぎりOK判定の馬】
44 プリンセスオブシルマーの17(牝・ぎりOK6日・残口あり)
2歳の全兄・ダノンラスター(堀宣行厩舎)はぎりBAD、本馬はぎりOKという悩ましいファミリーです。
ファミリー全体に判定の難易度もやや難といった感じで、もう少し産駒の様子を見たいですね。
【スピードサイクルぎりBAD判定の馬】
47 リリーオブザヴァレーの17(牝・ぎりBAD2日)
母は母父Galileo(1998)&母母Pennegale(1998)のダブルMAX活性馬(そりゃG1を勝つはずだわ)で、産駒も当然距離延びて真価を発揮します。
初仔で全兄のバンキッシュラン(ディープ劣性期)は、サイクルこそ怪しかったものの、きっちりG2青葉賞を勝っています。
本馬はディープが優性期になり、優先祖先はこれもMAX活性のSadler’s Wellsに変わりましたので、切れこそ望めませんが、藤原厩舎で鍛えられればオークスが楽しみな1頭です。
【スピードサイクルBAD判定の馬】
43 アルーリングライフの17
なお45番は欠番です。
次回は社台RH1歳馬関西キンカメ編をお送りします。
OK馬が多くてなかなか先に進みませんけど、会員さんにはうれしい悲鳴でしょうかね。