社台の関西1歳馬はディープも良かったですが、それに負けていないのがキンカメの仔たちです。
今回はキンカメの関西馬ばかり5頭をご紹介しますが、うち4頭がOK判定馬でしかもすべて満口、残りの1頭はBAD判定で未だ募集中という何とも厳しくハッキリした結果となっています。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
社台サラブレッドC1歳馬 関西キングカメハメハ産駒 判定結果
【スピードサイクルOK判定の馬】
48 マルセリーナの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 キンカメ
【基礎体力】 59(平均は50)
【適 性】 芝の中距離
松田国英厩舎 予定
牡馬にしてはシュッとした体型で、白いところがないのはキンカメ系特有の形ですが、にしても少し線が細いのは否めません。
というのは本馬は母マルセリーナ9歳時のMAX活性継承が「可能な」馬だったにもかかわらず、計算上は残念ながら1週間以上MAX期を経過してしまったゼロ活性馬であると見られるからです。
それでいて基礎体力が59ということは、本来なら84という強大な体力を得ていたことになり、返す返すも残念でなりません。
マルセリーナという牝馬はこれからしばらく劣性期を迎えます。
3代前のDistant Relative(1986・ムーランドロンシャン賞勝ちなど)というマイラーの活性が高いのですが、父ディープの活性値もまあまあ高めなので、世間で言われるほどマイラー色は強くありません。
それよりディープ牝馬特有の「花婿候補が限られる」問題の方が深刻で、マルセリーナの初年度産駒がノヴェリストですからね。
いきおい仕方なく次のお相手もキンカメやモーリスになりますが、しょせん配合自体は同じサンデー牝馬のハープスターらと同様で面白みに欠け、1度コケたら皆コケたになりかねません。
トップブリーダーの世界では、そろそろ血の使い回し、マンネリ化が激しくなってきていることを知っておく必要がありそうです。
49 プランタンビジューの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 キンカメ
【基礎体力】 66(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
西園正都厩舎 予定
母父ダイワメジャーがMAX活性で、48番のマルセリーナの仔と比較しても馬体の丸み具合がまるで違います。
ただ父キンカメの活性値もMAXに近かったため、最後の最後でメジャーに引っ張られずにキンカメ産駒らしいたたずまい。
これに対してひとつ上の姉・プランタンヴェール(牝2・林厩舎)は父ワークフォースのゼロ活性馬のようで、ダイワメジャーに引っ張られ、500キロを超すアマゾネスとして走っています。
本馬は気性が勝ってしまえば叔母のカレンチャン同様スプリンターとして開花するんでしょうが、距離は十分保つ素地があります。
基礎牝馬のフオルカー(1948)の別系統からは遠くレッツゴーターキン(1987・父ターゴワイス・天皇賞秋など)も出るなど、リズムさえつなげば70年経った今でも活躍馬が出るという証を我々に見せてくれています。
どちらかといえば、一発屋系であることは否めませんが…。
50 レクレドールの17(牝・青鹿毛)
【優先祖先】 Pilot Bird(牝・1983)
【基礎体力】 47〜(平均は50)
【適 性】 芝の中距離
池江泰寿厩舎 予定
3代母のダイナサッシュはもちろんサッカーボーイ(1985・父デイクタス)の母であり、2代母ゴールデンサッシュの母でもあります。
しかしゴールデンの方にはMAX活性とゼロ活性のどちらを継承したのか、微妙な種付け日になっています。
いちおう産駒にステイゴールドが出ている背景からすれば、ぎりMAX活性と判断する向きもあるでしょうが、本馬に関しては基礎体力47〜という表記にしておきます。
優先祖先であるPilot Birdは、芝10ハロンのリステッド競走を勝った英国牝馬で、カタログにあるような過度なダート適性の心配はありませんが、母のように末脚が切れる馬かと言えば、そうでもないでしょうね。
ちなみに先頃引退した兄のベルーフ(父ハービンジャー)は、Shareef Dancer(1980・愛ダービー等)に続くバリバリの欧州系だったのでああいう走りでしたが、案外この仔も似た雰囲気があるかもしれません。
52 タッチザピークの17(牝・黒鹿毛)
【優先祖先】 キンカメ
【基礎体力】 59(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜中距離
高野友和厩舎 予定
母タッチザピークはあまり仔出しの良い繁殖ではありませんが、無事に成長すれば走ってくれる仔が多く、クラブ馬の母としては及第点です。
自身は千二から千四でスピードを活かしたクチですが、血統背景からはもっとスタミナもあるはず(スペシャルウィークの活性が強い)という判断ができます。
それを活かしきれないのは、他に気性的な問題(Northern Dancerのクロスは確かに強かった)があるのかもしれません。
かくいう本馬も薄め(薄いというのは5×5が3×3より薄いという意味ではなく、あくまで毎年の活性値を比較した上で)とはいえミスプロの3×3というクロス持ちで、気性面には微妙に影を落としそう。
したがって本馬は中距離も走れる血統ながら、折り合い面でマイラーに徹しなければならないという事情がありそうです。
しかしミスプロはすごい種牡馬です。
2代母タッチフォーゴールドを種付けした歳が26歳!ですから。
競走馬としてはどうかも、繁殖としてこうして立派に影響力を与えていますからね。
【スピードサイクルBAD判定の馬】
51 マンハッタンセレブの17(募集中)
さて次回は関西ハーツクライ〜編をお送りします。