ここから1ハロンずつ距離延長の試練が訪れる
結局2歳の頃は一度も検証することがなかった(おいおい)朝日杯FS勝ち馬のアドマイヤマーズ(牡・父ダイワメジャー・友道厩舎)。
こういう「いつか馬脚を現すはず、いつか…」と思っている早期デビュー馬が、案外クラシックでもしぶとい勝負をするのはよくあること。
おそらく春の大目標は皐月賞かもしれないが、結果さえ伴えば、オーナーの意向もあろうから(マイルカップは嫌いそうで)ダービーまで見通しを立てておかなければならない。
とはいえ、そこはいまだマイル以上距離未経験の身。
血統表を詳しく見ることで、彼の本質的な適距離について迫ってみたい。
アドマイヤマーズのスピードサイクル
Renee Martin 1972
Salve 82.5.4 4.18〜6.18
Salvinaxia 93.5.9 き○ 4.23〜6.23
Via Milano 01.1.18 ぐ× 1.1〜3.1
ヴィアメディチ 07.4.27 ぐ(×) 4.11〜6.11
アドマイヤマーズ 16.3.16 き○(ぎりBAD5日)
近親にそれほど活躍馬がいるわけでもなく、わずかにフランスやイタリアでポツポツ走っている程度。
また母ヴィアメディチが予定日から相当遅く生まれた馬と推察できるので、本馬をブラックタイプから目を付けるのは至難の業。
ただセール上場時の本馬の馬体写真はすばらしく、パンと張った胴体にシュッと脚が地面に突き刺さり、トモはモリモリ。
かといって、ダイワメジャーの仔にありがちな窮屈さはみじんも感じさせず、これでセレクトセール5,000万円台はお買い得。
サイクルの超初期に配合されたスピード重視型の馬で、おまけに母からはMAX活性を受けており、基礎体力も★69と十分重賞ウィナー級(G1勝っちゃったけど)だ。
距離適性は優先祖先を見るのが一番
▼アドマイヤマーズ
父 ダイワメジャー 活性値6
母 ヴィアメディチ
母父 Medicean 活性値1
2代父 Singspiel 活性値8 MAX
3代父 Linamix 活性値5
JCでも来日した2代父SingspielがMAX活性で、本馬のように父親でかなり高活性値を稼いでおかないと、母の産駒は全部Singspiel優先に引っ張られる。
しかしAマーズは父ダイワメジャーの活性値が6だったため、優先は8−6=2(世代)で、Singspielまでは行かず、2代母Via Milano止まりとなっている。
ここが大変微妙なところで、もしSingspielまで優先が届いていたら、彼には距離の心配は全くなかったはずなのに、2代母Via Milanoが優先になったため、おのずと距離不安が出てくる。
Via Milanoが入着した重賞&リステッドを挙げてみると、
レゼルヴォワール賞 マイル
カルヴァドス賞 1400
カブール賞 1200
ラカマルゴ賞 マイル
であるし、またVia Milano自身の優先はSingspielの父の父、Sadler’s Wellsであることから、サドラー自身も現役時はマイル〜10ハロンが主戦場だったので、本質的に2400は(たとえ軽い芝の日本であっても)やや長いといわざるを得ない。
ま、千八くらいなら全然問題ないけれど、ね。
欧州系が優先の馬は府中向き
もうひとつ、距離とはまた別の問題で、
▼欧州系が優先の馬は広いコース向き、米系が優先の馬は小回りトラックコース向き
といわれる。
今回のコースである府中競馬場は、欧州系が優先のアドマイヤマーズにとってほぼベストの条件。
デビューした中京コースも、タフさが要求されるという面ではデイリー杯の京都コースより向いているだろう。
反対にホープフルSや弥生賞、皐月賞の舞台である中山の二千(千八も同様)などは、Aマーズが最も気をつけなければならない条件。
先行してひと脚使えるいかにもマーズ向きの条件に見えるが、コーナーごとにスピードのオンオフを利かせる必要がある点からは、意外と大きな落とし穴が待ち構えている。
きょうの結論
▼アドマイヤマーズは府中なら千八も問題なし。だが皐月賞では思わぬもろさを見せる可能性がある
マイルカップならタダ同然で奪取していきそうだけどね。