2歳重賞5連勝中の地方女王がクイーンCに電撃参戦!
昨年のエーデルワイス賞、東京2歳優駿牝馬などを勝ち、NAR2歳最優秀牝馬に選出された(地)アークヴィグラス(牝3・父サウスヴィグラス・大井)。
デビューから大差勝ちはなくとも常に力を発揮し、印象としてはゴール前僅差の勝負をモノにしてきた叩き上げ根性娘といった感じ。
新馬勝ち後の2戦目、3戦目はともに体を減らして体勢が整わなかったのか、今となっては不可解な連敗を喫しているが、体を戻してからは破竹の重賞5連勝。
暮れの大井では馬体を過去最高の443キロまで増やし、今が成長期にあることを物語る。
それを受けての今回、クイーンCで中央参戦。しかも初芝コース。
果たしてこのチャレンジは吉と出るか、凶と出るか。
アークヴィグラスのスピードサイクル
Fanciful Miss 54.4.21 4.5〜6.5
フアンシミン 67.4.21 き(×) 4.5〜6.5
フアンシーダイナ 78.2.2 き× 1.16〜3.16 5.16〜7.16
ダイナフエアリー 83.4.30 き(×) 4.14〜6.14
サマーベイブ 97.4.23 ぐ○ 4.7〜6.7
キセキノショウリ 11.3.17 ぐ○ 3.3〜5.3
アークヴィグラス(初仔) 16.5.18 き× →OK
牝系は、このところダート路線の大物を連続輩出中のフアンシミン系。
先日の東海Sチュウワウィザード編でもご紹介したが、とにかく活力のある牝系で、アークヴィグラスは母キセキノショウリの初仔にあたる。
他にも若きダート王・ルヴァンスレーヴがわりと近い近親だし、17年のクラブ馬としても何頭かOK判定の馬がいるので、フアンシミン系はこれからも注目していい系統だ。
母キセキノショウリは地方川崎で1勝を挙げたのみ。
これからも産駒デビューは地方になるだろうが、来年あたり1回目のMAX活性期を迎えるので、産駒のデキが気になるところだ。
アークヴィグラスの優先祖先は芝馬?
▼アークヴィグラス
父 サウスヴィグラス 活性値3(劣性期)
母 キセキノショウリ
母父 フジキセキ 活性値2
2代父 トニービン 活性値5
3代父 ノーザンテースト 活性値1
本馬アークヴィグラスは栗毛ではあるが、娘は父サウスヴィグラス(栗毛)が劣性期中の産駒なので、これは父の形質を継いだものではない。
代々の父の中では、2代父トニービンの活性値が最高なので、優先はトニービンに向かう途中を、5−3=2(世代)さかのぼったサマーベイブ(1997)が第一候補となる。
なおトニービンの系統は母系が栗毛血統なので、いくらでも栗毛因子が継承されており、子がどんな毛色に出ても特に不思議はない。
優先候補のサマーベイブは、折り返しの新馬と赤松賞を連勝した牝馬で、春にはスイートピーSでも2着し、オークスに駒を進めた。
サマーベイブ自体はトニービンの父・カンパラ(1976)の影響が強く、サマーベイブがとくに府中で大暴れしたところにも、その名残が見て取れる。
よって本馬アークヴィグラスにも、2代母同様、府中芝の適性があったとしても不思議ではない(今後、距離延長の不安もあまりない)。
実際、2歳優駿時などの映像を見るに、前肢が軽やかに持ち上がるストライドはいっかいのダート馬で終わるものとも思えず、チャンスがあれば芝で走らせてみたいと陣営が考えるのも納得がいく。
アークヴィグラスの基礎体力は中の中止まり
1.0+1.25+1.25+1.0=4.5 → 56
各世代でまんべんなく体力を継承し、普通に地方で走る分には文句のないレベル。
これがレースのたびに中央と地方を行ったり来たりするとか、牝馬重賞シリーズのために連戦を強いられるとかだと、単なる早熟で終わってしまう心配もある。
アークヴィグラスのクロス影響
5代までの血統表上には、わずかにNorthern Dancerの5×5がある。
このうち母系のダイナフエアリーを経由するNorthern Dancerは
0.25×0.75=0.1875
であり、ほとんど無視できるレベル。
これは人気の牝系でもあるので、覚えておくと役に立つかもしれない。
いっぽう父方のNorthern Dancerは
1.25×0.75=0.9375
なので弱い影響はあるが、クロスする母系が0.1875ならそんなに悪い結果にはならないだろうというのが、当欄の見解だ。
またアーク自身の代々の父活性値が
父 サウスヴィグラス 活性値3
母父 フジキセキ 活性値2
2代父 トニービン 活性値5
3代父 ノーザンテースト 活性値1
とすべて異なるのも、頭脳の明晰さを保つ上で非常に良い点だ。
今日の結論
▼地方2歳女王・アークヴィグラスがクイーンCで芝を(普通に)こなす確率は、意外と高くて60%
府中という舞台設定もいい。
あとは中央との実力差がどの程度かで、着順が決まると思われる。