こういうの、2匹目のドジョウっていうんですかね
昨年のファルコンSではダート戦勝ち上がりで初芝だった(外)ミスターメロディ(牡4・父スキャットダディ)を基礎体力1位から推して大的中。
Mメロディは次走NHKマイルCでもあわやの走りを見せてくれ、直線半ばではギベオンとの連複馬券を全部取ったかに思えたが、最後は距離適性の差が出て4着と涙を呑んだ(ハアハア)。
これに味をしめたわけではないのだが、今年もファルコンSでは初物を食べてみたい気がして、ダート戦で連勝中のジャパンスウェプト(牡3・父スウェプトオーヴァーボード・古賀慎明厩舎)を取り上げる。
隠れた経歴の持ち主ジャパンスウェプト
血統を調べる前に目に入ったのが、ジャパンスウェプト購買までの経歴。
いつもお世話になっている「JBISサーチ」によると、ジャパンSは2018年度千葉サラブレッドセール2歳トレーニングセールで、なんと5400万円の価格で落札された評判馬だったのだ。
当時の記事をひもとくと、なんでもジャパンSは公開調教で1F10秒7の最速タイムを叩き出し、そのスピードと小柄ながらまとまった馬体の良さで破格の値段が付いたらしい。
ちなみにセールの最高価格馬は父ダイワメジャーの牡馬と父オルフェーヴルの牝馬だったし、彼より安いロードカナロア産駒もいたほどで、父スウェプト産駒としては異例中の異例の高評価だったことは間違いない。
だからデビューから2戦続けての1番人気&連勝もうなずけるし、何よりその勝ちっぷりがまたスゴい。
前走など鞍上の戸崎が絶体絶命かという後方からサッと指示を出すとひゅーっと足を繰り出し(誰かがワープしたみたいと言ってた)、内をすくって(これもデビュー2戦目の若駒ができる芸当じゃない)きっちりゴール前で差し切り。
誰もが次は芝で…と走らせてみたくなるのもわかる気がする。
さあジャパンスウェプトの血統を見てみよう
前置きがすごく長くなったが、さっそくいつもの通りジャパンスウェプトの血統表を解説する。
▼ジャパンスウェプト(牡3・2016.3.6生 芦毛)
父 スウェプトオーヴァーボード(1997) 活性値2
母父 フジキセキ(1992) 活性値2
3代父 クリミナルタイプ(1985) MAX活性8(orゼロ活性)
4代父 Lyphard(1969) 活性値5
3代父のクリミナルタイプについては、2代母レディータイクーンの素性からいちおうMAX活性として話を進める。
実際の誕生日と種付け日の関係からはぎりゼロ活性の間柄になるが、それもわずか1週間の猶予であること、またレディータイクーンの毛色と競走成績から、彼女は父クリミナルタイプ優先と考えられる点を考慮した。
クリミナルタイプがゼロ活性だった場合については、のちほど少しふれる。
なおジャパンスウェプトは芦毛であるが、これは父の芦毛から来た形質ではない。
もっとも芦毛は鹿毛の祖先などからも発現するそうなので、祖先の特定にはあまり使えない(栗毛ほど厳密ではないらしい)。
父スウェプトと3代父クリミナルタイプの活性差は6(世代)。
よって彼の優先祖先は3代父クリミナルタイプをさかのぼった先、Blue Grouse(1949)というキャリア100戦!のアマゾネス牝馬となる。
Blue Grouse自身の適性は古くて定かではないが、彼女までさかのぼる途中にKlepto(1970)という牝馬がいて、これは米G2重賞の勝ち馬&6Fから8Fで走った快速娘なので、ジャパンスウェプトの適性もこんなところだろうと思われる。
今の競走条件にぴったりハマるわけですな。
ジャパンスウェプトは基礎体力もかなり優秀
適性とは関係ないが、ジャパンスウェプトは高い基礎体力も備えている。
3代母はアイリッシュダンスの母で、ハーツクライの祖母。
近親にはノンコノユメなどもいる。
母 ドルチェメンテ(2011) 1.0
2代母 レディータイクーン(1994) ★2.0(MAX)
3代母 ビユーパーダンス(1983) 0.5
4代母 My Bupers(1967) 1.75
1.0+2.0+0.5+1.75=5.25 → ★66
母ドルチェメンテは母母レディータイクーンのMAX活性産駒で、しかもこのジャパンスウェプトが初仔となる。
初仔は基礎体力にプラスアルファの恩恵を与える反面、牡馬にとっては血統的コンプレックス(多くなりすぎた父系産駒の呪縛)が濃くなるデメリットもある。
よって強い相手とぶつけるタイミングや、その負け方に気をつけないと、対戦相手を気にして走らなくなったり、傍系種牡馬産駒に足元をすくわれることがある。
いずれにしろ母ドルチェメンテのMAX活性期はこれからだし、産駒の動向に注目してみたい。(ドルチェメンテの17はタイムパラドックス産駒の牡馬でいちおうOK判定)
結論とクリミナルタイプゼロ活性時の考察
もし3代父クリミナルタイプがゼロ活性なら、
父 スウェプトオーヴァーボード 活性値2
母父 フジキセキ 活性値2
3代父 クリミナルタイプ ゼロ活性
4代父 Lyphard 活性値5
一番強い活性は4代父のLyphardということになり、優先は5−2=3(世代)母系をさかのぼった3代母ビユーパーダンスということになる。
ビユーパーダンスの優先はもちろんLyphardなので、これなら芝適性は大いに期待できるが、前述したレディータイクーンの形質からこちらはあくまで「Bプラン」という結論になる。
ちなみにビユーパーダンスの娘であるアイリッシュダンスも
父 トニービン 活性値6
母父 Lyphard 活性値5
3代父 Bupers 活性値5
4代父 Revoked 活性値7
から、母似&母ビユーパーダンス優先の産駒で、マイル〜中距離まで幅広くこなした欧州系(府中、新潟バッチリ)の芝馬だった。
これと比べると、ジャパンスウェプトの実際のフットワークはそこまで芝適性があるとは言えないような気も…。
【 結論 】
ジャパンスウェプトの優先祖先は米国ダート系(クリミナルタイプ系)であり、タフに走る反面、芝適性は微妙
としておく。
ただし、芝の千四という条件は案外ダート馬が強いことも付け加えておこう(どっちなんじゃい!)。