▼スプリングS2019 葉牡丹賞レコード勝ちのシークレットランはSSもNTもゼロ活性の不思議な血統馬

ゼロ活性の実践極意をとくとお教えしよう

今回取り上げるシークレットラン(牡3・父ダンカーク・田村康仁厩舎)は、5代血統表を普通に眺めたのではその価値が全くわからないと思うが、実に奇妙な配合内容の持ち主だ。

もし4代前からこの馬を意図して作り上げたとすれば、その生産者はまさにフェデリコ・テシオ並みの彗眼をお持ちのはずだが、日本ではそんなことがある訳もなく…ちょっと残念である。

 

さて皆さんはこの2016年生まれのはずのシークレットランの姿形が、1994年にはもうあらかた決まってしまっていたと言ったら、驚かれるだろうか。

以下、それを詳しく解説する。

 

2頭の巨星それぞれがゼロ活性では種付けした意味がない?

まずはいつもの通り、4代前から父系を探ってみる。

▼シークレットラン(牡3・2016.2.5生)

父 ダンカーク(2006)
母父 キングカメハメハ(2001)
3代父 サンデーサイレンス(1985)
4代父 ノーザンテースト(1971)

 

父ダンカークは9歳時の種付けなので、繁殖サイクルとしてはミニマム期にあたる。

よってこういう年の産駒はすべて母似であるのと同時に、母系内の一番強い父系活性を5代いっぱいさかのぼる作業が必要となる。

 

いきなり脱線失礼。

私がクラブ馬を見る際によく「父ミニマム期の産駒はつまらない」という理由がこれで、父に似ていないばかりか、母系の古い種牡馬が何世代にもわたって呼び出されることで、優先祖先の決定過程がいまひとつ判然としないのがイヤなのだ。

ファンとしては、ディープの仔を買うならディープに似ていた方が楽しいし、また応援のしがいもあろうというもの。

だから私がもし実際にクラブ馬へ出資するときは、OK判定の馬の中でも「父似」の産駒を優先すると思う。

 

もとい、父ダンカークはミニマム期であるとわかった。
同様に代々種牡馬の活性値を見ておくと

・母父 キングカメハメハ 活性値5(優性)

・3代父 サンデーサイレンス(1986.3.25生)
2代母エルフィンフェザーの種付け時(1994年7月頃)はゼロ活性

・4代父 ノーザンテースト(1971.3.15生)
3代母ダイナカールの種付け時(1979年6月頃)はゼロ活性

 

おわかりだろうか。
カールファターレの誕生までには、きら星のごとき時代を象徴する大種牡馬が3代続けて付けられているのに、そのうちの2頭があろうことか遺伝的要素なしのゼロ活性時の種付けなのだ。

 

私も立場上、名牝ダイナカールノーザンテーストのゼロ活性産駒であることは以前から知っていたが、その子孫にもう1代ゼロ活性をつないでいる牝馬がいたことは今回初めて知った。

今につながる産駒でいうと重賞2勝のブレスジャーニー(牡5・父バトルプラン)の母母もまたエルフィンフェザーであることから、どうもその影響力は小さくないようだ。

 

よってシークレットランの優先祖先は、

父 ダンカーク 活性値1(ミニマム)
母父 キングカメハメハ 活性値5

以上から5−1=4(世代)だけ、キンカメの優性祖先(キングマンボは劣性期)をさかのぼったPilot Bird(1983)という牝馬が優先祖先となる。

キンカメの中ではBlakeney(1966)という英国ダービー馬がMAX活性で最も活性が高く、キンカメの父似産駒が距離を難なくこなすのはこのBlakeneyの影響によるものだ。

シークレットランはそこまでたどり着かなかったが、Pilot Birdも英10ハロンのリステッド勝ち馬であり、葉牡丹賞の高パフォーマンスを裏付けるものとなる。

 

またシークレットランの姿形が1994年のエルフィンフェザー種付け時にあらかた決まってしまった、というカラクリは、このダブルゼロ活性によって、次の父馬(キンカメ)が必ず優先祖先決定に関与することになるからなのだが…まあちょっとこれはタイトル詐欺かな。フフフ。

 

ゼロ活性の意味と活用法について

ちなみに前述のブレスジャーニー

父 バトルプラン 活性値8(MAX)
母父 タニノギムレット 活性値5
3代父、4代父ともにゼロ活性

よってブレスジャーニーは父似の産駒で、
8−5=3(世代)バトルプランをさかのぼったUnbridled(1987)が優先となる。

 

ただ父バトルプランに関してはあと2週間でゼロ活性というときに種付けされているので、ほんの少しゼロ活性の可能性も残されている。

そのときの優先は母父タニノギムレットを5代さかのぼった英国ダービー馬Robertoの母・Bramalea(1959)あたりになるが、こういうときはだいたいその前のRobertoと考えてもいい。

 

さてせっかくの大種牡馬との交配年がゼロ活性年であった場合、遺伝的要素を受けられなかったことは「配合そのものがムダ」だったと結論づけられるものなのだろうか。

私見ではあるが、私はそう思わない。

 

かつて漫画「美味しんぼ」初戦の卵料理対決の中で、海原雄山が「ニワトリの初卵」にこだわったことを山岡士郎が「そんなの、迷信だよ!」と反論するシーンがあった。

しかし雄山はこう言った。

「なるほど、私もそんなところだろうと思う。しかし初卵を手に入れようと注意深く見守られてきた中で育ったニワトリの卵は、たとえ初卵であろうがなかろうが、うまいに決まっている!

 

ゼロ活性年のサンデーもノーザンも、細心の注意を払ってケアされていた社台のスーパー種牡馬であり、たとえそれがゼロ活性だろうがMAX活性だろうが、父馬の健康状態がいつも最高に保たれていることの方が重要というわけだ。

 

ブレスジャーニーもシークレットランも、将来種牡馬入りすることがあるのなら、自身の血統表の下半分は考慮しなくてよい「使い勝手のいい」種牡馬になる可能性が高い。(Northern DancerやHail to Reasonなどのクロスも同様に消滅)

ブレスジャーニーはバトルプランの後継として、シークレットランはキンカメの後継として(ダンカークではない)、立派に役目を果たすことだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です