第5回 穴でデキがいいと評判のヘニーヒューズ産駒はいか〜すかぁ?
今週予告では競馬コンシェルジュ関連の推薦馬を取り上げようと思ったのだが、すでに予習の段階で「これはちょっとマズい=走る馬ほとんどいねえ」ということがわかった(クラブ馬は未検討)ので、あえなく方向転換。
唯一、栗山求氏が挙げているガラアフェアーの17(父クロフネ)はいい馬で、これはマイル向きのスピード馬として十分推薦に値する。
でどうしようかと思案しながら夜、寝床でパラパラ「王道」にも目を通したのだが、今年牧場関係者ではヘニーヒューズを推している人がやたら多くて「穴ならこれじゃね?」という気がしてきたので、今回は「穴&ダート馬」候補としてヘニーヒューズ産駒にスポットを当てる。
ヘニーヒューズはうまくいけば2歳戦からバシバシ走ってくれるはずで、大物を指名できたら保険代わりにこっちも1頭入れておくと面白いと思う。
赤本&王道 主要ヘニーヒューズ産駒一覧
アートスタジオの17 →OK(母ぎりBAD) ★41
オールザットジャズの17 →OK(※母ゼロ活性?) 50
カールファターレの17 →OK 50
カワカミプリンセスの17 →ぎりOK6日 56
ケイアイガーベラの17 →OK 34
スペシャルディナーの17 →ぎりBAD2日 56
セイウンクノイチの17 →?
トウカイミステリーの17 →?
ファーストチェアの17 →?
ファシネートダイアの17 →?
プラントパラダイスの17 →OK (★)53
ホーマンピクシーの17 →ぎりOK1日 ★59
マザイの17 →OK 66
マダムチェロキーの17 →?
ミラクルレジェンドの17 →?
(以下王道から)
アドマイヤインディの17 →ぎりOK5日 44
サンレガーロの17 →?
ダイワビリーヴの17 →?
ナリタジューンの17 →ぎりOK10日 59
ブロンコーネの17 →?
ミラクルモーメントの17 →?
このうち一番評判がいいのはカールファターレの17らしいが、ま、そんなに丈夫というわけでもないし、★もないし、それなら自分が一番面白いと思うプラントパラダイスの17(牡・栗毛・鈴木孝志厩舎)を紹介しておく。
プラントパラダイスの17 解説
▼プラントパラダイスの17の繁殖サイクル
Flaring Top 1947
Flaming Page 59.4.24 4.8〜6.8
Fleur 64.4.1 き○ 3.15〜5.15
The Minstrel 74.3.11 ぐ○
Pilgrim 79.5.11 き×
Midsummer Magic 80.4.18 ぐ× 4.2〜6.2
プレイリースカイ 89.2.2 き× 1.16〜3.16
ブランドシャトル 95.2.15 ぐ○ 1.29〜3.29
プラントパラダイス 00.3.23 き× 3.6〜5.6
ワイズリー 08.2.17 ぐ○ →OK
バリス 11.3.29 き○ →ぎりBAD5日
プラントパラダイスの17 17.4.28 き×
6代母のFlaming Pageはニジンスキー&ミンスキー兄弟の母として有名で、5代母FleurからもThe Minstrel(1974・英、愛ダービー、キングジョージ勝ち)などが出ている欧州の名門牝系。
赤本解説の須田氏によれば、母プラントパラダイスの産駒は2勝以上か未勝利という両極端な成績ということで、サイクルを調べると確かに走った2頭の兄たちは良いサイクル上にいることがわかる。
▼プラントパラダイスの17の優先祖先
父 ヘニーヒューズ 活性値5
母父 パラダイスクリーク 活性値2
3代父 Theatrical 活性値4
4代父 Gone West 活性値4
母内に目立って強い系統はなく、優先祖先は父ヘニーヒューズそのものになる。
▼プラントパラダイスの17の基礎体力
Midsummer Magic 2.0
プレイリースカイ 1.25
ブランドシャトル 1.0
プラントパラダイス ゼロorMAX?
1.0+1.25+2.0=4.25 → 53
実は母プラントパラダイス(00年3月23日生)はゼロ活性とMAX活性両方の可能性があり、これがMAX活性だとかなりの大物という見立てまで出てくる。
それがなくても4代母Midsummer Magicが3代母プレイリースカイにほぼMAXといえる体力を与えているので、ゆうに平均値はクリアしている。
そうそう、今回からMAX活性期の判定を少し厳しくして、
▼母の8歳、16歳誕生日を過ぎていないMAX活性は、体力値はMAXでよいが★は与えない
というルールにした。
つまりこれは母が満8、16歳になってからの2か月間(これが本来のMAX活性期)をもっと重要視しようという意味で、今回のプラントパラダイスの17についても、4代母はMAX活性期1月前の受精と見なすので体力値は2.0だが、★はなし、という判定になる。
反対に母プラントパラダイス自体のMAX活性が本当であれば、8歳と約2か月経過なので★付きの2.0ということでよい。
★の価値を従来より上げるため、しばらくはこう表記する。
これは赤本基礎体力編に出てきたバラダセールの17(★★64)に関して、従来の計算方法ではちょいマズい気がしていたための措置でもある。
詳しくは赤本特集のまとめ編で解説したいと思う。
▼プラントパラダイスの17の残存クロス
本馬には牝馬・ツリーオブノレッジ(1977)という珍しいクロスがあるが、その父Sassafras(1967)の活性値が0.25と低く、また母系内だけの話なので、ここでは割愛する。
▼Northern Dancer
父系 2.0×1.25×0.25×0.25×1.25=0.195…
母系 1.5×1.5=2.25
1.75×1.0×1.0=1.75
0.5
ヘニーヒューズという種牡馬が現代でもNorthern Dancerの呪縛をあまり受けずに活躍馬を出せるのは、自身のNorthern Dancer活性がとても低いところからスタートしているからだ。
ヘニーヒューズがもつNorthern Dancer活性は素の数値(つまり中性期)で0.156…しかない。
よって自身の活性値が3より低い劣性期でありさえすれば、Northern Dancer活性値はクロスとしての効力を失うレベル(<0.125)まで薄まる。
さすがにアジアエクスプレス(2011)やモーニン(2012)といったG1級の産駒は自身の活性値が強くないと出るものではないが、アジアエクスプレスにはNorthern Dancerクロスそのものがないし、モーニンの母系も0.4375と最小限に抑えられている。(2頭はNorthern Dancerを気にしなくてすむ種牡馬として面白い存在)
今年のNZトロフィー勝ち馬・ワイドファラオも母系のNorthern Dancerは0.25どまりでこの条件を満たしているし、17年の北海道2歳優駿勝ち馬・ドンフォルティスも5代までにはNorthern Dancerクロスがない。
これはいいヘニーヒューズ産駒を探す際の最重要ポイントだと思う。
その意味では本馬プラントパラダイスの17はちょっと母系のNorthern Dancerが強すぎで、何かしらの弊害は覚悟しておかなければならない。
さて次回は他にも牧場関係者が穴として推す「珍しげな馬」たちを何頭かピックアップしたいと思う。