暦も2月に入り、立春もすぐそこ、今年は春が早そうな気配ではあるが、となれば一口馬主クラブの募集に向けて、そろそろ少しずつでも準備を進めていきたいところ。
YouTubeチャンネルでも春までは精力的にクラブ特集(種牡馬、繁殖牝馬紹介)をお送りする予定だが、実は先頃、今年の募集馬検討に向けて余念がないブログ読者さんから、ある疑問をいただいたので以下にお答えしていこう。
シンハライト一族と10日間ルールについて
…疑問というのは10日間ルールについてなのですが、例えばシンハリーズは「き○ぐ×」のサイクルだけど、シンハライトで「10日間ルール」に抵触してシンハライトから後ろの子孫は「き×ぐ○」になったということですよね。
シンハライトが産まれた時のように出産してから10日後くらいの種付けであれば裏判定の方が逆にOK判定にひっくり返るということですか?
それとは逆に種付け日が良いサイクル内で本当は表判定になるんだけど、実は出産してから10日後の種付けだとするとその産駒は裏判定になってしまうということでしょうか?
10日間ルールに抵触するとサイクルがひっくり返るのは理解しましたが、その抵触した産駒の裏判定、表判定がよく分からなくて質問させていただきました。(原文ママ)
まずテクニカルなワードについて説明
ブログ中の検討のみにとどめている理論はまだたくさんあるのだが、ご質問の内容はいわゆるサラブレッドの「質=スピード」に関する判定についての問いとなる。
テシオ理論、しかもテシオ氏から中島氏現役当時の古い生産現場では、簡単に申せば、繁殖牝馬には良いサイクルと悪いサイクルが存在し、その良いサイクル内で、できるだけ早期に、1回の種付けで受胎されれば、良い馬が出来るとされていた。
ブログではこの良い馬のことを「表判定」、サイクル外の馬のことを「裏判定」と呼び、大物指名を志すなら表判定の馬を探すべきではないかと、私以外の読者さんも日夜研究されているわけだ。
また例えば2000年生まれの母から生まれる産駒には、母と生まれ年が偶数年間隔離れる馬(08年、10年、12年生…)と奇数年間隔離れる馬(09年、11年、13年生…)の2通りがある。
前述の善悪繁殖サイクルは2年で元通りに戻るので、奇数年間隔の年が良いサイクルにあたることを「き○ぐ×」、偶数年間隔の年が良いサイクルにあたることを「ぐ○き×」などと仮に呼んでいる。
最後に「10日間ルール」というのは、牝馬が出産した後約10日で最初に訪れる「初回発情」で受胎したケースを指す。
中島氏によると、さきほどの「き○ぐ×」なり「ぐ○き×」なりの繁殖サイクルは、この「初回発情」がサイクルのどの位置で行われたかにより、生まれた産駒のサイクルが継続するか、逆転したかの目安になるという。
さらにこれ以外に繁殖サイクルを逆転させる手段については、テキスト中にも記述はないし、10日間ルール以外で普通に受胎した産駒は、当然母のサイクルをそのまま継承する。
普通は、たとえ母とは逆サイクルで種付けされても、仔は逆サイクルを持たない(超重要)。
ここからが本題
Q1 シンハライトが産まれた時のように出産してから10日後くらいの種付けであれば、裏判定の方が逆にOK判定にひっくり返るということですか?
A1 いいえ、すべてではなく、シンハライトのように種付け日自体が逆サイクルに存在したときに限ります
さらにお気づきかもしれないが、牡馬は自らのサイクルを変える手立てを持たない。あくまで母のサイクル依存ということになる。牝馬だけが自ら(というか生産者の手によって)変える権利を持つ。
Q2 逆に種付け日が良いサイクル内で本当は表判定になるんだけど、実は出産してから10日後の種付けだとするとその産駒は裏判定になってしまうということでしょうか?
A2 いいえ、種付け日が本当に表なら表判定です
10日間ルール自体に、サイクルを変える力はない。あくまでイベント、きっかけにすぎない。
サイクルの逆転は「10日間ルール」イベントのみで起こるわけではない。やはりその日付がいつなのかが重要だ。
初回発情日が母までと同じく「き○ぐ×」であったら、生まれたシンハライトも「き○ぐ×」のままだったと考える。だが実際には「き×ぐ○」の日付だったのでサイクル逆転が起きて、シンハライトのこども以降の産駒は基本「き×ぐ○」が狙い年になる。
いかがだろうか。ご質問のお答えになっているだろうか。
ところがね、わにさん。
この理論でいくと、シンハライトはファミリー内の裏判定馬になるから、自らがG1馬になるのはおかしくね?という疑問が出てきませんか?(実はこの記事を書いた後、すごくガッカリした記憶があります。わにさんもこれがスッキリしないんじゃないかな…)
シンハライトの子どもがき×ぐ○なら、再びG1馬が出ても文句は言えない。しかし母自身はその時点で「裏判定」に属していたのに、G1馬になった。いったいどういうことなのか。
これについては他の理論との兼ね合いもあるので、後日また私の思うところを記したいと思う。それまでにみなさんのお考えがあれば、ぜひ伺っておきたいところだ。
ヒントは、ワールドエースとワールドプレミア兄弟の関係性あたりに…。
そういえばシンハライトもMax活性を持ってましたね。
ということはやっぱりMax活性?
このように1つの記事にして答えていただきましてありがとうございます!
恐縮です!
「種付け日が本当に表なら表判定」
なるほど。これについてはおかげさまで理解することができスッキリしました。
それでも新たな疑問が…
「10日間ルール以外で普通に受胎した産駒は、当然母のサイクルをそのまま継承する。」
「普通は、たとえ母とは逆サイクルで種付けされても、仔は逆サイクルを持たない」
「サイクルの逆転は「10日間ルール」イベントのみで起こるわけではない。やはりその日付がいつなのかが重要だ。」
上の2つ文章と下の文章。
私の理解力が足りないだけなのですが、なんだか矛盾しているような気がしてしまって…
例えばシンハライトが10日間ルール以外で普通に産まれてきたけど、母とは逆の裏判定だった。
この場合、シンハライト以降はそのまま母のサイクル(き○ぐ×)を継ぐのか、それとも逆サイクル(ぐ○き×)になるきっかけとなるのかがちょっと分からなくて。
申し訳ありません。
ご教示の程お願いいたします。
それからシンハライトの裏判定の件ですが、めちゃくちゃ疑問に思います!
テシオ理論に触れてからというもののサイクルの精度の高さが頭に刷り込まれているせいか、GⅠ馬であるシンハライトはずっと表判定だと思っていました。
シンハリーズ自体が「ぐ○き×」だと。
それが逆となると混乱しかないです(笑)
ワールドエースとワールドプレミアの兄弟に関係といわれても正直全く…(^_^;)
とりあえずマンデラが「ぐ○き×」なので、ワールドプレミアの方が表判定でワールドエースの方が裏判定でしょうか?
でもスピード自体はワールドエースの方がありそうですが。
体力はどちらも十分。
でもそれは関係ないですよね…
いや、ワールドエースのMax活性が関係してるとか?
でもそれだとシンハライトと結びつかないですし…
ワールドエースの方はどちらかというと10日間ルールに近いですけど、それは関係ないですよね。
あとはスパイスに関係が?
シンハライトはスパイス馬とあったので。
このへんでお手上げです(泣)
あくまで一例として考えると…
初回発情10日間ルール以外で受胎した産駒、これはすべて母と同じサイクルです。
このときはまだ、裏か表かという話はおいといてください。
裏なのか、表なのかは私たち自身の評価なので、それはいったんおいておきましょう。
わにさんの言う
「例えばシンハライトが10日間ルール以外で普通に産まれてきたけど、母とは逆の裏判定だった」
というのは、2つの事象を含んでしまっています。
シンハライトが普通に生まれてきた→この時点で母とサイクルが一緒ということが確定します。
母とは逆の裏判定だった→これは私たちの評価を表します。
この2つは近いながらとても遠い2つの事象です。自然と人工くらい遠い関係性です。
ここは混同しない方がいいです。
そしてもしシンハライトが「普通に」生まれてきた場合、シンハライトの子どもたちは、母とも、祖母とも同じサイクルを持ったままです。
そこから私たちがそのサイクルを評価すればいいのであって、サイクル自体は競走成績にあまり依存しません。
ここから初めて「え、じゃあシンハライトが裏判定なの?」という議論に入りたいのです。
裏判定のG1馬なんて、混乱するだけなのかもしれませんが。
中島氏が「自ら意図的に裏のサイクルで配合した」ことはおそらく1度もないでしょう。
しかしあのクラスの配合師が「表だけで配合し続けても」重賞を獲るような馬はほんの一握りしか出ていないことを忘れてはなりません。
このへんはまたの機会にお話ししますね。
サイクルを見ること自体はすごく有意義なことですよ。
それは勘違いしてほしくありません。もちろん私も見ますしね。
毎回のことですが、テシオ理論は知ろうとすればするほど奥が深いものだと思い知らされます。
それだけに面白くて楽しいものですが。
今回も色々と教えていただきありがとうございました。