試金石検証の第2回目 東京サラブレッドクラブ
正直シルクさんには元より、4歳世代に評価上位のサリオスやオーソリティがいたからこそ強気になれた?検証テストだが、実際にはここからが本当の試練といえる。
ただし頭数がまずまず揃って、OP馬と未勝利馬が混在するクラブって、実はそうあるわけではない。会員さんにとっては全部の馬が出世してほしいだろうけど、今の私にとってはその格差こそが正に求めるデータとなる。
ということで今回東京サラブレッドクラブさんにご登場願い、古馬4・5歳馬を分析してみた。ただ東サラさんも引退馬までは詳細に追えないので、現役の全33頭だけが調査対象となる。
シルクさんともまた少し違う印象に
上の表は東サラ5歳世代の全頭一覧表である。小さい図で本当に申し訳ないが、4歳世代も合わせた一覧表PDFは、ドルメロBOOKSで後日無料公開する。
さて今回の東サラ検証回ではその前提条件として
古馬では月のサイクルが表の割合が圧倒的に高い
という現象が起きている。月のサイクルがほとんど表なのだから、月の評価が悪くなるわけがない。とくに5歳世代の「表」率は驚異的で、いわゆる「当たり年」だった可能性も否めない。
その点4歳世代に目を向けると、月のサイクルの「表」率はいいとこ5割そこそこで、配合イベントも含めた「月の評価」で見るから75%の馬が標準以上と評価されている。だから4歳世代のほうが「月の評価」で見ることに意義があった訳だ。
この5歳世代で月のサイクル「表」率が異様に高い現象は、当たり年以外にも理由があると思う。つまり
5歳になっても現役でいられる
↓
上のクラスに出世している
頭打ちを防げている
↓
スピードなりスタミナなりが優れている
↓
月のサイクルが高評価
という論法なのだが……もしかしたらシルクさんでも5歳馬の月のサイクル「表」率は意外と高いかもしれない。競走生活を長く送ることはほぼ基礎体力に因るものかと思いきや、そうだ、出世しても頭打ちになったらそこでおしまいなんだという一番基本的なことを忘れていた気がする。
ともかく月のサイクル自体も無駄にならずに良かった、良かった。
自然サイクルの馬ってどのくらいいるんだろう
すでに熱心な読者さんがご自分のクラブで「未来の募集希望馬」たち(20年産駒ですね)をお調べになっている。
ところがそのご報告によると、クラブや生産者で違いはあれど、そもそも自然サイクル馬がそんなに見当たらない、というのである。年によっては空胎後より希少な存在であるらしく、私も「それではせっかくの月の評価が使えずじまいか……」と残念に思っていた。
しかしこうして人気2クラブの検証を追えた時点で、自然サイクル馬の割合を見てみると、
シルクHC4歳馬 10頭/41頭=24%
東サラ4・5歳馬 8頭/33頭=24%
となり、やはりどこのクラブにもどの世代にも一定数、同じくらいの割合で自然派が存在していることがわかった。ただしここには準・自然の「初回発情」馬を含んでいないので、自然に準じた馬まで入れるともっと数字はアップするし、逆に未勝利馬を含んでいないので、数字はもっとダウンするかもしれない。
今年の募集ではとくに社台系の馬たちをよ〜くシャッフルしてもらい、皆さんが自然サイクル馬に平等に、たくさん出会えることを祈っている。
出資額、基礎体力、クロスまで見ると出資候補は絞れる?
東サラさんのデータには、基礎体力、クロスに加えて、一口出資額も掲載してみた。これを眺めたとき実際にどの馬に魅力があるか、出資する気になるかを自分でも確かめてみたかったからだ。
シルクさん4歳勢ではラウダシオンとオーソリティがお値段的にもやっぱり魅力的に映ったが、東サラさん5歳勢では絞り込みがなかなか難しい。A評価でもクロスが多重だったり、基礎体力がない馬を除くともう高額馬しか残らないし、ディープやハーツの子をほしいとも思わないしねぇ……。
そこで「S」評価の馬に目をやると、1頭はディープ産駒のレッドベルディエスで、もう1頭はノドに疾患のあった地方馬レッドスプリンガーだから、いやはや本当に選考って難しい。ちなみにスプリンガーは近況を見ると、ノドの手術もうまくいってここからが彼の花開く時期だと思うので、案外下級条件から大化けするかもしれない。楽しみに見ておこう。
募集時にはここにどっさりと未勝利候補が加わるのだから、そりゃもうあなた一週間は悩むに決まっている。やっぱり出資は一筋縄ではいかないのだ。今度の検証であらためて身にしみた。
来週はノルマンディーOCさんを軸に3回目の検証を
ということで今週の検証記事はここまで。来週はノルマンディーOCさんを本線に、余裕があったらウインさんも交えながら検証を重ね、私が一覧表を見たときどの馬に魅力を感じるか、という視点を忘れずに、より使いやすい月の評価に仕上げていきたい。
追記 2021.2.5 みなさまに大切なお知らせ
2月5日の夕刻、BOOTHの事務局から連絡があり「販売品が利用規約に反する」として、現在ショップ自体が非公開になっています。BOOTH側では「売らせないし、その理由も教えない」との姿勢ですので、ここはきっぱり諦めて他の媒体に移ります。開店当初からその心配はありましたし、ごねても仕方ありません。
いちおう移籍候補として「BASE」を考えていますが、もし今度も同じことの繰り返しになるようでしたら、次はこのブログ上での販売も考えます。
よって今回の一覧表については、来週にもここで全部公開します。文字が小さくて申し訳ありませんが、各自拡大するなどしてお使いいただけたらと思います。YouTube上でもまたお知らせ動画作ります。
お手数おかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
ドルメロ
改めて調べると空胎後の産駒は7頭でした!
誤った情報すみませんでした!
今度はキャロット3歳馬を調べてみました。
53頭中(空胎後、初仔除く)
自然サイクル① 4頭
自然サイクル② 2頭
今回も3日前後を対象としましたが、4日まで入れるとなると5頭程プラスという結果になりました。
全て含めると73頭(死産は調べられないので除く)になるので、20頭くらいが初仔と空胎後ということになりました。
空胎後も意外に多くて半分の10頭くらいは空胎後でした。(流産が結構多い)
ただ自然サイクルだからといって走っている馬ばかりではないので、月のサイクルや他のファクターもやはり大事なんでしょうね。
自然サイクル①でサイクルも表なのにどうしてこの馬が走らないんだ?と疑問に思ってしまうような馬もいて、生き物の難しさ、競馬の難しさを改めて感じました。
ちなみにこの馬、全兄は走っていてサイクルも一緒なのですが、父似と母似で分かれています。
この違いは結構大きな気もしますが‥
わにさん、有意義な情報をいつもありがとうございます。
どうしてこの馬が走らない!と思うのは私も一緒ですね。
東サラさんの記事のように、セン馬になったりノドの手術を受けたりと、知りようもない不具合が隠れているかもしれませんし。
つくづく馬って生き物だなと思います。
調査ご苦労さまでした。ゆっくりなさってください。
Madama Lydiaさん
はじめまして、コメント失礼致します。
いつもブログと動画を楽しみに拝見させて頂いております。
今回の記事をきっかけに春菜賞の出走馬を眺めていますと出産後、同日に種付けをしているスマイルアモーレに出会いました。
直接レスに関係ないですが、こんな馬にも出会えたのも自然サイクル馬の記事があったからです。
私も個人的に興味深いことなので、引き続き勉強させて頂きます。
今後ともよろしくお願い致します。
いもじさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
私たちもそういうちょっとした細かい気づきや違和感から、いくつかの仮説を立ててきました。
古い理論のすべてが真実を語っているわけではなく、さりとて捨て置けばいいものでもない。
だからこそ、調べてみたくなります。
ぜひ今後も気がついたことがあれば、遠慮なくここでつぶやいてください。
ご返信頂きありがとうございます!
今後もブログに動画に楽しませて頂きます。
くれぐれも体調にはお気を付けください。
今回の検証の結果としてやはり月のサイクル表は絶対的な条件だと改めて感じました。
それに加えて自然サイクル、空胎後が一番確実のような気はします。
せっかくなので今年はそういう馬に出資したいですし、やはり個人的には7、8割方「月の評価表」に重きを置いて選びたいです。
それにしても東サラでは自然サイクル馬結構いましたね。
私の調べでは、キャロットクラブ(あけ2歳馬)53頭中(初仔、空胎後除く)、
自然サイクル①が4頭
自然サイクル②が4頭
それぞれ7.5%という結果でした。
30日、51日を軸に3日前後と厳しく見た影響もあるかもしれませんが、やっぱり少ないという印象でしたね。
自然サイクル①の4頭中、月のサイクルが表になる確率は半分なので(あくまでも確率的に)、さらに少なくなるということですし、やはりレアだと思っています。
もちろんこれが多いのか少ないのかクラブにも世代にもよるのではっきりとは分かりませんし、調査も疲れるのでまた暇がある時に調べてみます。
面倒ですし本当に疲れますね(笑)
毎回お疲れ様です!
わにさんこそ、お疲れさまでした。
貴重なデータ、参考にさせていただきます。
この調査、避けては通れない道とはいえ、本当に疲れるんですよねw
とにかく皆さんの参考になれば幸いです。
月のサイクルを調べるんですから、私も表馬に出資したいです。当然ですよね。
YouTube動画凄いわかりやすい解説で参考になりました。
早くもご感想いただき、ありがとうございました。
中級編解説は私の描く「馬物語」でもありますから、真偽はともかく、楽しんでご覧いただけたら幸いです。