動画の準備段階で痛恨のデータ消失……
「阪神JFまで動画はお休みする」と書いた矢先、ある方から「JCだけでも動画見たい」というリクエストがあり、そういうことなら作ってみるかと準備していた日曜日のこと。
私の重賞動画の作り方は、まず過去データを集め、事実に基づいた面白そうな語りポイントをいくつか集めたら、それを説明するためのパワポ作りをする。
だからパワポを作っているときはすでに、まるで紙芝居を読むように声に出して説明しながら、もう1枚作るかもう1行書くかなどの調整をしながら、意外と「空から降ってくるような」心持ちでスラスラと場面展開をしている。またそうでないと、不思議なもので動画がつまらなくなる。
今回もそうして土曜にJC2021のパワポが完成し、日曜にナレーションを書いて収録しようかと思っていたら、日曜の朝Macの画面からパワポの資料がなくなっていた。もちろん「最近使った資料」タブからいったんはパワポを呼び出せたのだが、プロパティを見るとなぜか「trash=ゴミ箱」にいるではないか。
「なんで捨てたんだ?オレ」と思いながら、ちょっと気になったところをそのまま修正してしまったのが運の尽き。順番としてはゴミ箱からパワポを救出した後に修正するのが正しくて、ゴミ箱から呼んだまま修正すると、このMac版パワポは「あなたにはアクセス権がない」とか言い出して、以後一切(名前を変えても)保存させてくれない。
そのうち、コピペも受け付けず、挿絵もバグり、そしてデータが消えた。
こういうちょっとしたところに落とし穴があるのがMac版のクソなところで、Windows派の方には何のことかサッパリわからないと思う。ああもっと早くMicrosoft365にしておけばよかった。それならいくらかデータも保存できただろうに。私は前にもこれで(東サラさんだったか)Excel資料をまるまる1枚なくして、泣く泣く作り直した。ブログにも書いたかもしれない。
その後は毎日バックアップを取るように心がけていたのに、クラブ募集シーズンも終わり、心が緩んでいたのだろう、またやってしまった。ゴミ箱に入れた記憶は当然、ない。
さすがにもう日曜の夕方に一からパワポを作り直す気はなく、今回は動画は諦めた。その代わりと言ってはなんだが、泣いていても仕方がないので、残った資料データで、今回JC2021動画で私が言いたかったことだけはブログに残しておこうと思う。
ラップで見る最近のジャパンカップ
まず近年のJCをラップの面から見ると、こんな表現ができる。
最初の1Fを12.8で入り、2F目を10.8で加速した後は、絶対に中だるみせず、最後まで持続型で走り通す先行馬が勝つ
これは良馬場での表現なので、重馬場換算だと+0.5秒くらいに考えるといいだろう。ともかく近年は12ハロンを緩まず、究極の持続型で通す勝ち馬が圧倒的に多い。
ただし昨年のJCだけは趣が違い、直線の最後から2F目つまり11ハロン目に13.2という最遅ラップを刻む「消耗型」に属する。
もちろんこれにはキセキの大逃げが関与しているのだが、3強はそれを目標にやや早めに追い出し、苦しさのあまり左右によれながらも3強それぞれの意地を守った迫力の一戦になったわけだ。
その代わり体力的代償も大きく、現役を続行したコントレイルとデアリングタクトのその後は決して順風とはいかなかった。私はあの一戦を「サンデー系優先祖先馬たちの頂点の輝き」と称したが、歴史的ピークの後にはやはり穏やかな下降線が待っているのである。
JCは毎年そんなG1レースきっての厳しめのレース展開だから、スピード一辺倒の馬で押しきれるものでもない。つまり過去には「月のサイクルが裏と思われる」勝ち馬もけっこういる。
中でも裏と確実視されるのが、14年エピファネイアと17年シュヴァルグランだろう。
前日の芝レースでタイムを占う
近年はホーリックス&オグリキャップの世界レコード(当時)もかすむほどタイムの出るJCだが、裏馬の勝った14年と17年はともに2分23秒台の決着に落ち着いている。いや23秒台なら十分速いのだが、たとえばエピファネイアの勝った14年は前日まで稍重発表で、決してパンパンの状態ではなかった。
まあ秋の府中開催の最終週でパンパン自体が望みにくいのだが、そのあたり決着タイムのもの差しとなり得るのが、前日に行われる「2勝C」のレースタイムである。
決着タイム2分23秒台のJC前日レース結果
20年 OPキャピタルS 1.32.8
2勝C 千六 1.35.0
千四牝 1.22.9
17年 OPキャピタルS 1.32.6
2勝C 千四牝 1.22.3
14年当日 OPキャピタルS 1.33.6
前日稍重 2勝C特別 千六 1.35.7
3勝C特別 千四 1.22.6
(参考)18年レコードの年
OPキャピタルS 良 1.32.6
2勝C 千四牝 1.20.7
このように前日または当日の2勝Cの勝ちタイムが、まあまあ平均かやや遅いときは、JCの決着タイムも2分23〜24秒台止まりで、裏馬にもチャンスがある。しかし18年のように牝馬限定戦でもバカっ速い時計が出てしまう年は、残念ながらどんなに優秀でも裏馬の出番は望めそうもない。
2強の上下関係をはっきりさせておこう
今年のJCははっきり言って「シャフリヤールVS.コントレイル」の2強対決なのだろう。Netkeibaさんのオッズ予想でも、3番手以下を大きく引き離している。
さてこの2頭の上下関係だが、ポイントはふたつある。ひとつは基礎体力、そしてもうひとつは中間の調整過程である。
基礎体力に関しては、コントレイルも平均に毛が生えた程度(53)の馬ではあるが、実はシャフリヤールも(44)体質の強い馬ではない。
シャフリヤールの前走・神戸新聞杯は不良馬場での激走で、勝ち馬のステラヴェローチェ以下、次走は散々な結果(調教過程からして疑問符だった)に終わったし、事実シャフリヤールの中間の調整も難しかったと聞く。不良馬馬を走ったダメージは相当あったことになるが、菊花賞をパスしたことで、幸いにも少ないながら自身のガソリンタンクを満タンに戻す時間だけはあったことになる。
そして中間、1週前調教もCWで83.3ー11.7というごく普通のところを乗れているし、この馬は(レース勘はともかく)馬体は叩いて良くなる馬ではないので、これで十分。(これでも時計を出そうと思った方だというし、陣営はその辺をよくわかっている)
対してコントレイルは、天皇賞秋から中3週。これが引退戦ということもあり、ビシビシ乗れる強みもあってか、一週前はCWで6F・76.9という猛スパーを消化。いかにも順調に思えるが、私はこれを不安視する。今をときめく矢作師に意見してる場合かという声もあろうが、コントレイルの本質はそう変わるものではない。
どちらかというと、シャフリヤール同様、普通の調教過程の方がベターであることは間違いない。
そして3冠馬コントレイルといえども、一番光り輝く時期はすでに去っている可能性が高い。馬は生涯に3度ピークを迎えるとよく言うが、ダービー、菊花賞、そしてJCの走りを見るに、そのすべてを3歳時につぎ込んだ馬、それがコントレイルであるような気がする。
もちろん3歳勢の世代レベルの高さはいうまでもなく、もしJC本番が良馬場で行われれば、今はシャフリヤールに軍配が上がるのではないか、そう考えている。
第3の刺客はいないのか
ただし馬券の方は穴のドルメロ流だから、この2強の馬券を買って喜ぶようなことはしない。毎回第三の刺客探しに躍起になるのだが、まずは今年のJCが予想以上に時計のかかる馬場だったとき、生涯最高のデキで臨む1頭の裏馬をご紹介しよう。
それが、サンレイポケットである。
彼は父ジャングルポケットのMAX活性産駒。母のアドマイヤパンチは初回発情牝馬でサイクルが逆転しており、サンレイポケットは裏サイクルに当たるが、サイクル−3日でぎり自然①としてもいい馬だ。月の評価なら「B+」といったところ。
実はジャンポケ自身の優先祖先は母系のNZ系へと溯るため、正確にはジャンポケは祖父トニービンの後継ではない。ただし産駒の代にはそのNZ系の影響が5代前に下がってなくなるので、今度は自然とトニービンの血が出てくるという「二度手間」でトニービンの後継と言ってよい種牡馬だった。
サンレイポケットも深い父似産駒なので、優先祖先は4代前のKalamoun(仏芝)になる。時計のかかる馬場、広いコース、距離の12ハロン……今回のJCが彼の最大のチャンスになり得る。
しかし今週の府中は、月曜こそしっかり雨になるが、火曜日以降は雨も降らず、JC当日は絶好の競馬日和になる確率が高い。そんな表馬日和になったとき、心の片隅に留めておいてほしい1頭の穴馬がいる。
それが、外国馬Grand Gloryである。
なぜ「表」条件で外国馬を推すのか
外国馬はもうないだろ、もうないだろ、といわれて久しいが、今度こそちょっと待った! ひとことで言ってこのGrand Glory、「ラヴズオンリーユーとリスグラシューを足して2で割った牝馬」なのである。
まず血統構成が非常に面白い。父のOlympic Gloryはあまり聞かない名だが、直系は豪州デインヒル系ながら、形はAlzao〜Lyphardの影響が強い馬。そして母のMadonna Lilyがこの配合のキモで、母父父Doyounと祖母の父Machiavellianがともにゼロ活性で、残るLyphardが優先祖先系という、どこから切ってもネアルコ・ゼロなのにLyphardの香りしかしない「日本適性馬」、これがリスグラシュー。
そして基礎体力の28が驚きで、彼女はデビュー4戦目の仏オークスで3着する実力があったものの、真に本格化したのは今年5歳になってから。8月のジャンロマネ賞で、BCフィリー&メアターフ勝ちのアウダーリャを破ってG1初制覇(C・デムーロ騎乗)。続く牝馬限定G1の頂点のひとつ・オペラ賞でも僅差の2着(L・デットーリ騎乗)と、大事に使われながらまさに今、旬を迎えている。これがラヴズオンリーユー。
そしてこのJCがどうも引退レースとなる模様で、「牝馬の引退レースは買い」の格言通り、なぜこの日本を引退レースに選んだのかを含めて(このあと12月のアルカナ繁殖牝馬セールに出るらしい)、このオッズならもはや買いしかない。(セールでも買いしかないですよ!)
騎乗するC・デムーロはこの馬で2連勝中。日本のコースも熟知しているし、前走のオペラ賞はこちらが横綱相撲で正々堂々挑んでちょい負けしただけ。すっかり勝ちパターンにハマっていたので、あの末脚は日本でも脅威となる。
今でこそ10ハロン戦線の常連だが、過去には仏で12.5Fの経験もあるから距離的な不安もないし、日本では10ハロン欧州馬の方が何かとスピード負けしなくていい。
月のサイクルはもちろん表で、この「隠れ日本適性馬」を最後、第三の刺客に推す。
ふ〜、終わった。っていうか、やっぱこれだけの量をブログでまとめるっていうのは、大変なものがあるわ。競馬は動画で見せたが簡単かもね、というお話でした。今週はご期待に添えず、申し訳ないです。これからはちゃんとバックアップして、早めにMicrosoft365に移行します。
動画観れないのは残念ですが、こちらはこちらで好きなので私としては嬉しいです。
スタッドブック更新されていますよ。
レーツェルはシスキンでした。
私も昨年配合依頼された繁殖のその後を追ってみましたが、直接的というよりはけっこう間接的に役立てていただいたらしく、面白い配合がたくさんありました。
その辺の後日談、そして今年の……はまたYouTubeでゆっくりお届けしたいと思っています。