※これは2月11日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は、大井競馬場のダートの砂厚が再び調整された件を取り上げながら、現在の南関で求められる最新のダート適性とはどんなものか、その辺りを探っていきましょう。
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ご存じのように大井競馬場は一昨年の秋、ダートコース本馬場に白砂を導入し、またその砂厚も8センチから一気に10センチまで増やしたことで、以前とはかなり異なる馬場適性に変わったと過去の動画でご紹介しました。
そのあとも自分は開催ダイジェストなどを見ながら、ダートコースの時計面に着目してきたのですが、なんと昨年の暮れ近くになって、TCKはダートの砂厚を再び9センチまで減らしてきました。
これについて公式発表では「排水性の向上と馬の負担軽減の両立を図った」とあるので、厚さ10センチだと排水性にやや問題があったということでしょうか。
それとも馬の負担増という点から「パワー偏重であまりにもスタミナ切れを起こす馬が多かった」のでしょうか、その辺は定かではありませんが…とにかく昨年12月の開催から馬場の砂厚は9センチに戻されています。
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1回目に砂厚が10センチへ増量された後、24年3月の動画で私はこんなモデルを提示しながら、今後大井競馬場は芝適性の形が強い馬の時代になるだろうと予測しました。
ふかふかの砂の上では、ダート系に代表されるような左の、立ち気味の繋ぎと小さな蹄では、砂にめり込む時間が長くてパワーロスしてしまうだろうと。
いっぽう右のような芝適性の馬であれば、繋ぎはやや寝た感じで蹄も大きい。砂に脚がめり込むことなく、表面近くをスムーズに走れることがメリットとなるのではないか…これはあくまで私の予測ですけどね。
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で、その血統傾向は今回の2回目の馬場改修を経ても、白砂本来の特徴を考えればあまり変わらないと思ったのですが、しかし実際砂厚が9センチに戻ると、再び勝ちタイムなどに若干の変化を感じたのも事実。
その辺をうやむやにせず、ここでもう1回きちんと今の大井競馬場の馬場状態をつかんでおこうと思います。
まずは
(1)改修前と、1回目の改修後、そして2回目の改修後、この3つの段階で時計面は正確にどう推移していたのか
そのあと、
(2)大井コース とくに良馬場の好走馬の血統適性を詳しく見る
そしてこれが最も大切なのですが、
(3)今後これでコース改修が落ち着くのなら、これから私たちが、大井の馬場に向きそうで、大井で活躍できそうな馬をどう探すべきなのか、その血統的ヒント
この辺りを探っていきます。
(5)(5秒ジングル)
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まずは一昨年からの時計面の推移をみます。
今回基礎データとしたのは、一番下のC3クラス(三)〜(八)組辺りの距離千六百M、良馬場の競走。
中でも勝ち馬ではなく3着馬のタイムを集めてその推移を見ました。
データの集め方は色々考えられますが、なぜ今回3着馬にしたかというと、勝ち馬はときに大差勝ちのタイムを含む可能性がある、さりとて勝負にならない馬では後で血統を見る価値が無くなる。その辺のバランスをとったものです。
個々の馬が持つスピードの影響をできるだけ除外したかったということもあります。
改修前の2023年1月から今年の1月まで、C3クラスの良馬場のマイル戦は全部で21レースあり、その平均3着タイムは
改修前 1.44.7
第1次白砂 1.46.7
第2次白砂 1.46.1
となります。
つまり第1次の改修によって、大井はマイル戦で時計二つほど遅くなった。
続く第2次の改修で、大井はマイル戦で時計半分ほど速い方へ戻った。
こんな印象なんです。
ただし第2次改修後のサンプルはまだ乾燥した時期のタイムばかりですし、これから春以降もっと砂がこなれて水分を含む良馬場もあることを加味すれば、いま本当はマイル戦で時計ひとつくらいは速く戻ったのかもしれません。
ただ改修以前の時計レベルには当然及んでいない、マイルで言うとまだ+1秒くらい改修の効果は残っていますよという感じでしょうか。
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では次に、そのC3クラス3着馬たちの血統構成を見てみましょう。
文字が小さいので塗り分けた色で見てほしいのですが、大まかな傾向で言うと3着馬たちの形、優先祖先は緑の芝適性の方が断然多くなっています。
さらにひとつ面白いことに気がついたのですが、2年間で良馬場のC3クラスのレースがこれしかないにもかかわらず、図ったかのようにこの良馬場条件で好走し続ける、良馬場専用の馬が1頭いたんですよね。
それがこのピンクで示したルグランブルーという馬です。
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このルグランブルーは社台ファームで生産されたセレクトセール出身馬ですが、実は優先祖先が父のイスラボニータなんです。
イスラボニータは距離を問わず、現役生活最後まで芝でのスピードを維持していた馬。
父似の産駒はアメリカでも珍しいくらい芝適性一辺倒だったコジーンの影響を強く受けます。
だから昔ならイスラボニータの形が大井のダートにピッタリという話はにわかには信じがたい。
事実私も過去にセール馬をお勧めする際、オーナーさんにそう言われたことがある。
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ところが地方リーディングでいうと 不思議なことに最近この芝父イスラボニータの順位が少しずつ、しかも確実に上昇しているんです。
生産頭数は毎年横ばいだし活躍馬が出たわけでもないのに、何かの力で成績全体が少〜しずつ底上げされている感触がある。その原動力が各地の白砂導入にあるのかどうか…
他にもキンシャサとかスクリーンヒーローとか今回3着馬の優先祖先になった芝馬はたくさんいるけど、これらはどちらかといえばサンデー系の影響が強い馬たちで、そういう父は白砂の恩恵とまではいかないらしい。
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だから白砂の根本的な性質に合致するのは、どうも芝適性の形が強い馬らしいと。
けどちょっと待てよと。
大井競馬場だって雨も降れば雷も鳴る。大レースが行われる季節の大井はむしろ良馬場でないことの方が多いくらいで、結局はそんな稍重や重馬場での適性も見て両方を比較しなきゃ、そういう意見があるのもわかります。
そこで次のコーナーでは比較のために、大井競馬場の重馬場ではどんな優先祖先の馬が活躍しているのかを調べてみましょう。
(11)(5秒ジングル)
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大井競馬場での重馬場適性を見るのと同時に、3歳ダートクラシック競走で好走できる血統背景も知りたいので、例として昨年の羽田盃、東京ダービー、そして秋のジャパンダートクラシック。
この3日間の様子を見ていこうと思います。
まずは春のクラシックから。
昨年の羽田盃は一日雨で、重から始まった不良馬場。
そして東京ダービーの日は、2日前の雨が残った稍重馬場で行われました。
この両日の好走馬たちの優先祖先として特徴的なのは、良馬場の日とは違って根っからの芝適性馬がやや減っていること。
そして同じような顔ぶれが繰り返し出現していることですね。
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さらに秋のジャパンダートクラシック当日。
この開催は稍重から始まって5日目。乾いたばかりのやや軽い「良」という感じです。
それでも良まで乾けば、こうして条件戦で芝適性馬がまた復活してきますし、何よりダートクラシックの結果が春とは逆転している。
フォーエバーヤングは別格としても、東京ダービー馬ラムジェットにミッキーファイトやサンライズジパングといった芝適性馬が先着している。
ラムジェットは本来はもっと軽い中央のダートがいいんだろうね。
地方だと適性にややハンデを背負う気がする。
種馬としては相当面白いけどなあ。
おっと独り言が出た。各馬の実力による比較はさておき、良馬場だとやっぱり優先祖先の適性は完全に芝方向へと逆転している。
こういう芝ダート行ったり来たりの動きこそが、今の大井のダートを象徴しているのかもしれません。
これらをまとめますと、
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今の大井のダートコース、馬場が乾けば乾くほど、誰もが知るレベルの芝馬を優先祖先に持つ芝適性馬が有利となる。
注意したいのは、これらの直系産駒を探すのではなくあくまで血統表上の優先祖先…一番影響力が強い祖先を計算で調べた上で、その馬を大井に持ってこようよということ。
ドングリの背比べである下級条件なら、なおさらこの馬場適性が有利に働くはずです。
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反対に大井で大レースが行われる時期の重馬場。
この季節の重賞を狙うなら、そしてクラシック制覇まで夢を馳せるなら、これら「芝ダートの兼用適性」祖先を持つ馬がいいだろうと。
たとえばユキチャンの白毛牝系、ドレフォン、アグネスデジタルなどは、日本だと芝でもダートでも走れ、かつ子孫も芝ダート両方こなす傾向にあります。
これにアメリカでの芝ダート兼用適性も含めて、優先祖先をこのような視点で見ることができれば、ライバルより一歩先んじた血統戦略が可能になるでしょう。
(16)(5秒ジングル)
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今回の動画は、以前いただいた現場からのお声に応える形で製作を始めたものです。
私がお世話になっている某オーナーさんと、ある南関の調教師さんが、昨年のJDC後にこんな総括をされたんだとか。
地方競馬はもう生粋のダート馬が出世する時代じゃない。
以前の地方リーディング種牡馬では、上に行くほど勝負にならない。
今は一見ダートっぽくない馬たちが地方にドンドン入ってきて、かつ実際にそれが走るからレベルが一気に上がった気がする。
こんな南関の現状、未来を生き抜く血統戦略を、ドルメロだったらどう考えるか知りたいと。
今回の調査では、私にも昨年1回目の改修後に出した動画との共通点、再確認できた部分がありました。
で、せっかくここまで動画をご覧いただいたので、データのまとめも兼ねて、計算しなくても皆さんにわかりやすい具体的な大井競馬の血統新戦略、そのキーホースを何頭か提示しておきます。
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まず1頭目のキーホースは、ゴールドアリュールです。
大井の重馬場で好走する馬の優先祖先として、このゴールドアリュールの名前が何度も、別々の馬の血統から、繰り返し出てきました。
しかも条件戦からトップホースまで、クラスを問わずに活躍できる強みもある。
自らは日本ダービー5着、ホープフルS4着など、芝でも十分走った上で、その後は場所を問わずに各地のダート競馬を渡り歩きながら無双しており、この適性の広さこそ今の大井ダートに繋がる特質と思われます。
この種牡馬ゴールドアリュールの形をきちんと継いでいる後継候補といえば、たとえばゴールドドリームが挙げられます。
ゴールドアリュール以前の遺伝経路はご覧のように母父のNureyevの影響が強く、その先はNorthernDancerですから、世界中の芝でもダートでもイケる兼用適性に繋がります。
時期的には来年の産駒あたりから再び父の形が出始めますので、チャンス到来です。
人気面では落ち着きつつあるようですが、コツコツとサンデークロスのない馬を探せば地方クラシック戦線を賑わす馬にも十分出会えるはずです。
もう1頭ゴールドアリュールの形が母父から出る種牡馬として、今年クラブデビュー世代の父として紹介したオメガパフュームがいます。
ただこちらは今年の1歳がもうMAX活性期にいますので、探すなら今年の1歳世代限定です。
その後は劣性ですからね。
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2頭目のキーホースは、クロフネです。
彼は言わずと知れた芝とダートの両方でG1を勝った、元祖二刀流の怪物です。
現在クロフネに関しては直系の後継種牡馬がほとんどいませんし、種牡馬の母父としても規模的にはもう機能しないと思います。
よって狙うのは、父が劣性で、母系に入った強い活性値を持つクロフネの存在です。
たとえば一例としてこのシラユキヒメ等、白毛族にはたくさんのクロフネ牝馬が存在し、一大牝系を築いています。この中から有名どころではなくても、未出走、未勝利の母などに着目して、今後リーズナブルな産駒を長期で狙っていく作戦は有効かと思います。
現在の地方競馬でクロフネは、母の父として絶大な力を持っています。
それは現役時の適性の広さも理由のひとつでしょうし、また父のフレンチデピュティ同様、配合に入って繋ぎの役割を粛々とこなす対応力を持ち合わせていたから。
自分の形も優秀だったはずなのに、挟まれる2頭の種牡馬との相性がどちらも抜群だったため、繋ぎの役割に殉じた系統、それこそがフレンチデピュティ系でした。
こういう種牡馬、いつの時代も必ず必要になるんですよね。
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3頭目のキーホースは、Storm Catです。
米国クラシックの出走馬たちを分析すると、毎年必ずこのStorm Cat系の形を持つ馬が出ています。
それほどいまだに米国系の本筋の形として機能している系統ですし、近年でいうと世界最強のダート馬Flightline、そして日本の総大将フォーエバーヤングも強い影響を受けている1頭です。
よってStorm Catの形を狙うことはすなわち大井にとどまらず世界レベルの優駿の可能性を探る旅となりますが…リアルスティールによる父似の再現配合は来年以降もう少し時間がかかりますし、今となっては種付け料もなかなかのもの。
また母系の手が届く範囲にStorm Catがいる繁殖というのも、日本では少々探しづらい。
そこで注目したいのが
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この種牡馬ダノンレジェンドの存在です。
サンデーの血がなく、母マイグッドネスを経由してStorm Catの形を素直に採用できるダノンレジェンドは、昨年ついに249頭へ種付けを行うまでに人気種牡馬の地位を確立。
しかもその25年産駒からは高確率で父似の産駒が探せるとあって、クラブ、セールの両方で注目せざるを得ない。
実は以前から今回のオーナーさん、調教師さんにも「ダノンレジェンドどうなの?」「ダノンレジェンドいいんじゃない?」と言われていた事実を忘れたわけではないのですが…私としてはこの父似時期の到来をずっと待っていたこともあり、あまり評価してこなかった。
しかし劣性期の最中からこれだけ評価が高いとなれば、ダノンレジェンドはやっぱり本物かもしれない、この玉数の多い世代からならもっと大物がでてもいいはず…今はそう思っています。
もちろん半弟であるダノンキングリーも血統構成は同様ですが、弟はサンデークロス含みになる上、お値段もそれなり。さらに来年の1歳世代を最後に劣性期入りが待っているので、兄よりは慎重な評価が必要になるでしょう。
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最後4頭目のキーホースが、私の希望も入ったキンカメ直系種牡馬ジュンライトボルトです。
先日の種牡馬動画でもちょこっとお話ししたように、このキンカメ直系の形自体は今の大井にあっていると思われます。
しかしキンカメ系はそもそも産駒の当たり外れが大きくなる上に、これまでリーズナブルな種牡馬が少なくて手軽に試す機会がなかった。
ここへきてようやく第2世代というか、チュウワウィザード、ダノンスマッシュ、パンサラッサなど手軽なレパートリーが増えたおかげで、よしキンカメ系だーっ、わーっとまた人気が出てきた。
だからキンカメ直系後継の行く末は今のマス世代の評価が終わってからになるんだけど、中でもこのジュンライトボルトに初年度からこれだけ数が集まったのにはビックリしたし、ホント幸運としかいいようがない。
現役時代に芝ダート両方の適性を見せつつ、血統面では母父スペシャルウィークというサンデーフリーの軽さがあるし、遺伝子的にもカナロア系とは違って距離の融通が利くでしょ。
私の別のオーナーさんが今年も2年連続でジュンライトボルト配合するとおっしゃってましたけど、これはもう一種の幸運であって出現のタイミングがバッチリだった。
そりゃ皆さんに試してほしいですよ、こんな条件を満たす馬そうそういないしね。
26年産までにはきっと地方の大物を出してくれると思って、私は追いかけ続けます。
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TCK2025 大井競馬場のダート最前線 いかがだったでしょうか。
今回2回目の砂厚調整でもまた適性に変化があったように、馬場の改修は競馬そのものに大きな変化を与えるイベントです。
よって今後、南関競馬で求められるダート馬像はさらに変化、進化していくはずで、ひょっとしたらだんだん米国のダート事情に近づきつつあるのかも…なんて気もしています。
今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。