※これは1月28日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は2025クラブ会員さん向けデータの第2弾、今年の1歳世代がMAX活性期を迎える父10頭を解説していきます。
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だいぶおなじみとなりましたが、あらためまして種牡馬のMAX活性とは「父の形が子孫に一番強く遺伝する時期」ということです。スピードには関係がありません。
これ以上強い遺伝力は他にありませんので、この世代の産駒はおおかた父親に似ます。よって父にとっては、自分の持つ形が現代競馬に通用するものかどうか、厳しい審判が下る世代でもあります。
ひとつ注意したいのは、種牡馬のMAX活性が終了すると、そのすぐ直後から逆にゼロ活性状態になってしまうということです。ゼロとは文字通りゼロのこと、父の形を全く遺伝しない状態に下がってしまうというのです。
ただそれを逆用して、ゼロの父はクロスを消す効果が望めるメリットもあります。そのどちらがいいとか悪いとかいう話ではなく、配合にどう活用するかということです。
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ここであらためて父馬のMAX活性期の計算法と、ゼロ活性の開始時期を示しておきます。
たとえば今年の1歳がMAX活性期を迎える父グローリーヴェイズを例にとると、母に種付けされた日は14年の3月18日ですから、そこから1年後の15年3月18日が基準日、すなわちここが8年サイクルのスタート日になります。
父の誕生日は基準になりませんので、外国産の父の種付け日→MAX活性期は、実質私の推測ということになります。
そこから8年後の23年3月18日が1回目のMAX活性スタート、そこからの4週間がMAXの中でもとくに活性が高くなる「下降準備期間=真のMAX活性期」であり、翌日4月16日からはストーンとゼロ活性に落ちてしまうとされます。
よってグローリーヴェイズの場合、23年の4月半ばまでに種付けされた産駒こそが真のMAX活性産駒であり、4月末に種付けされた産駒は、MAXではなくゼロ活性ではないかと見るわけです。もっともこの境界日付近はあまり熱心に触らないほうがいいでしょう。
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さて今年すでに前の新種牡馬解説動画でご紹介した父の中にも、いきなりMAX活性を迎える父がいましたよね。確認しておくと…このうち一番注意が必要なのはステルヴィオでしょう。
23年の3月12日ころからもうゼロが始まっていますので、1歳世代の大半がゼロ産駒ではないかと推測されます。後の3頭はほとんどがMAX活性の種付けで、父似の産駒が多いと思われます。
ゼロとMAXでは天地ほどの違いがありますから、今後はジャパンスタッドブック https://www.jairs.jp/ などで種付け日をよく調べてください。
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そして、これから新たにご紹介するMAX活性期の父は全部で10頭です。
血統登録数の多い順に紹介しますが、とくに順位が付いているわけではありません。
また私が重視する登録率、主な産駒名も随時掲載しています。
それでは今年の1歳世代がMAX活性期の父、さっそくみていきましょう。
(6)(5秒ジングル)
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まずMAXの1頭目は、ルヴァンスレーヴ。
登録数は114頭、 登録率は61.6%です。
ルヴァンスレーヴのMAX活性境界は、23年3月11日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
種付け数も多かったですし、デビュー前はずいぶん期待した父なのですが、やはり配合上サンデークロスを生じる産駒が多すぎる。ジリッとした脚しか使えず、飛び抜けた能力の持ち主は期待できない。これでは今後、産駒数がグッと減ってしまうでしょうね。
そうなると馬産地ではさらにサンデーフリーの繁殖を用意してくれる熱意が薄れてきて、産駒はクロスの深い沼にはまりそう。その最後の救世主となり得るのが、この世代しかも3月以降のゼロ活性種付けの産駒たちです。
ここまであまりの低空飛行ぶりにずっとタッチしてこなかった会員さんも、大部分を占めるこのゼロ世代だけは、騙されたと思って勇気を出してお宝を探してみてください。見返りは思いのほか大きいはずです。
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2頭目は、ルーラーシップ。
登録数は92頭、 登録率は60.9%です。
ルーラーシップのMAX活性境界は、23年7月5日あたりの種付け分までですから、この世代ほぼ全頭がMAX活性だとみていいでしょう。
順調に2度目のMAX期を迎えたルーラーシップ。一時期やや頭数を減らしていましたが、この年は再び150頭以上に種付けをし、繁殖レベルもかなりのもの。
サンデーフリーで配合が簡単ですし、気性難に目をつむれば、丈夫で挫折にもめげず芝で長く走ってくれる活躍馬が多いので、最後の大物を探すならこの世代でしょう。
ほんと、彼とエピファネイアの存在に助けられた社台の繁殖牝馬はかなり多いと思います。
できればもう一度、後継候補をつかみとるつもりで、検討したい父ですね。
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3頭目は、ダノンスマッシュ。
登録数は88頭、 登録率は68.8%です。
ダノンスマッシュのMAX活性境界は、23年4月23日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
MAXとゼロの割合がちょうど半々くらいに見えるので、さまざまなタイプの産駒が出そうです。中でもケイアイFはだいぶ熱心に付けているので、ロードTOさんの成績の行方を左右するのは間違いないでしょう。
クラブ以外ではやはりダノンの牝馬に多く付いているので、カナロアの後継として周囲の期待は相当大きいはず。月のサイクルに気をつけながら、まずは父に似た産駒を探すのが王道となるでしょうか。
登録率が高く、健康面で問題が少ない父であることも強調しておきたいです。
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4頭目は、タワーオブロンドン。
登録数は76頭、 登録率は57.1%です。
タワーオブロンドンのMAX活性境界は、23年4月6日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
初年度スタートから上々のすべり出しで、毎年産駒数を増やしている人気の父です。
もちろんダーレーの熱の入れようはハンパではなく、さまざまなタイプの母と合わせて父の可能性を引き出そうという意図がよく見てとれます。
提携クラブ以外だと皆さんの目にとまる産駒は少ないかもしれませんが、セール経由のクラブ馬は狙ってもいいと思います。
まだ距離面での融通が効きませんが、ビッグアーサー産駒のようにスプリント専門として堅実に走る産駒を探したいですね。
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5頭目は、フィレンツェファイア。
登録数は66頭、 登録率は71.0%です。
フィレンツェファイアのMAX活性境界は、23年5月15日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
日高アロースタッドの種牡馬ですけど、意外とさまざまな地域の繁殖を集めていますね。
社台はじめ毎年数を減らさず堅実に80頭以上種付けしているというのは、そういうしっかりしたプロ達の評価なんでしょう。受胎率が高いのも人気の一因かな?父も丈夫でしたしね。
種付け時期が早い社台系などではややMAXの方が多い感じですが、日高系にはゼロもたくさんいます。
距離面での融通は利きませんが、出資は今年のデビュー組を見てからにしようなんて思っていると、いい子を逃すかもしれませんよ。心の隅にとどめておきたい穴っぽい父です。
(12)(5秒ジングル)
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6頭目は、インディチャンプ。
登録数は66頭、 登録率は57.4%です。
インディチャンプのMAX活性境界は、23年4月19日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
セール界隈でもなかなか高評価の父。ノーザンはじめ名だたる牧場が相手に選ぶなど、デビューが待ち遠しい種牡馬です。
ゼロ境界は4月中頃ですから、さまざまなタイプの産駒に分かれるでしょう。
もっともこの父自身がステイゴールド系にしては珍しいくらいのスプリント力を持っていたので、馬産地はその姿に惹かれたのかもしれません。が、MAXの強い父似産駒は、気をつけないと形が欧州系のキンカメへさかのぼる仔もいそう。
スピードが乗らなかったり、出来不出来がハッキリ分かれるタイプかもしれません。
でも一流牧場に注目されるだけあって、輸入持ち込み牝馬との配合が多く、結果としてサンデークロスのない仔がけっこういそう。一発大物を狙うならそういう母の産駒になるでしょうか。
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7頭目は、ミスターメロディ。
登録数は65頭、 登録率は44.2%です。
ミスターメロディのMAX活性境界は、23年5月27日あたりの種付け分まで、よって大部分の子が父のMAX活性期だと思われます。
ですから父の形が色濃く出るのはわかるのですが、それよりも登録率の異様な低さが気になる。これは初年度からずっとそう。人気バツグンの父だったのですが、さずがに来年の1歳からは数がグッと減ってきます。
ごく普通に勝ち上がれる率は持っているので、あとはなるべくアウトブリードの配合で、健康に留意した子を狙うのがいいでしょう。
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8頭目は、ダノンプレミアム。
登録数は59頭、 登録率は59.6%です。
ダノンプレミアムのMAX活性境界は、23年5月14日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
これもケイアイF激推しの種牡馬で、ダノンスマッシュともどもロードTOの今後の浮沈を担う存在でしょう。
どちらもやや欧州系の形が強いので、そんなに軽々走ってくる産駒だとは思いませんが、ポツンと大物を出すポテンシャルは秘めています。
思ったよりサンデークロスなしの子もいますし、また高齢の母にあてて活力を取り戻そうという配合も見られる。ここから産駒数は減少傾向ですので、父を評価するならこの世代が勝負になるでしょう。
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9頭目は、フィエールマン。
登録数は53頭、 登録率は61.6%です。
フィエールマンのMAX活性境界は、23年3月14日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
初年度はちょっと線の細さが否めず、仕上がり具合も今ひとつ…ここまではやや苦戦中ですが、真の評価はこの世代を見てからでも遅くないかな。
何よりゼロ活性の時期が長いので、馬体の形が前世代とは一変する可能性を秘めている。
相変わらずノーザンFの援護射撃も多いし、この世代がダメならその時はもうあきらめようという、そのくらいの勝負世代。きっと1頭くらいはいると思うんだよね、大物が。
またクラブ系じゃないけど、テソーロ軍団のリョウケンFがこの父を多数種付けしている。
フィエールマンにそんなに賭けて大丈夫か、という気はするけどw欧州系の繁殖を中心に面白い配合を狙っているので、ひょっとしたら一発あるのはテソーロかな。
とにかくゼロ産駒の形の変化に注目したい世代です。
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そして最後10頭目は、ヘンリーバローズ。
登録数は30頭、 登録率は61.2%です。
ヘンリーバローズのMAX活性境界は、23年3月25日あたりの種付け分まで、そこから後がゼロ活性です。
実はもう少し登録数の多い種牡馬も他にいたんだけど、配合上の面白みという点で最後にこのヘンリーバローズを紹介する気になった。
この小規模感で中央の勝ち馬も出して、しかも実際兄シルバーステートと何ら変わりない血統構成の持ち主が、産駒誕生後で種付け料50万。こういうのを可能性と言いたい。
でもっと夢を語れば、欧州系だから地方のダート三冠路線にも適性はある。ゼロ活性の範囲も広い。大手牧場もコツコツ付け続けている。あるかもね、ゴールデンバローズの再来が!
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2025年1歳世代がMAX活性期の父10頭 解説いかがだったでしょうか。
毎年注意喚起していますが、外国産の父に関しては、種付け日がドルメロの推測計算になること、
またゼロ活性境界日近くの産駒は決して無理をせず、お取り扱いに十分ご注意ください。
今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。