▼2025夏の三大セール総括 残念ながら買えなかった仔たちの行方 9.8

※これは9月8日YouTube動画の台本原稿です。

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こんにちは、大変ごぶさたしておりました、ドルメロチャンネルです。

さて久しぶりとなる今回は、今年夏の三大セールの結果を総括するため、私がお勧めしたけれど落札できなかった馬たちの行く先と簡単な血統分析をお送りしていきます。

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今年は気温的にも史上最高に暑い夏と言われましたが、サラブレッドのセールでもそれはそれは熱い闘いが繰り広げられました。

ドルメロはセレクト、セレクション、そしてサマーと、三大セールすべてに推奨馬を出しながら参戦したわけですが、その結果サマーセールで2頭を落札していただきました。

別々のオーナーさんにより1頭ずつ計2頭の落札でしたが、これはご予算的にも事前の血統狙い筋から言ってもかなりよい結果だったと思います。

セールは文字通り他の陣営との競り合いですから、ただ張り合えば落とせるというものではありません。

またサマーセールに至っては都合6日間という長期戦であり、上場の順番で戦略とその後の運命が大きく変わります。こちらとしてもどこで押してどこで引くのか、素早い決断力が必要です。

実際サマーで1頭落札した後に出てきた別の候補馬を、オーナーさんが「余裕があればこっちも買ったかもしれないな」とおっしゃっていました。セールとは、運命の歯車とは、まさにそういうものなのです。

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さてここで、セールの前にドルメロがどうやって候補馬をピックアップしているのか、簡単にお話ししましょう。まず重視するのは「オーナーさんからのオーダー」です。これは当然ですよね。

でもこれは好みを重視するというよりも、この後ドルメロがどんな調査をするかオーナーさんは全てご存じなので、少しでもその負担を軽くするため、調査対象が少なくなるよう協力してくださるというのが正しい実情です。

そのオーダーに沿った馬たちを、ドルメロ独自の選択項目(だいたい7、8項目)でふるい落としにかけます。

いつもクラブデータでお目にかけるあの項目とは多少違って、とくに母馬のデータを多めにしています。また今年のサマーからは、新たに活性値比較も採用しましたよね。

この基準をクリアした馬を集めておいて、そこから調査を1頭ずつ開始します。すでにこの時点でサマーセール全体が1400頭上場といっても、候補は約6、70頭まで絞られます。

さらにできればセールで過剰人気する事態は避けたいので、近親、牝系、種牡馬など、だれでもわかる人気要素やブランドが少ない馬、そういう馬が選べればもう最高ですね。
またそういう中から選ぶから、皆さんわざわざドルメロに依頼してくださる訳です。

ちなみに過去これまでドルメロが推奨し、勝ち上がった馬たちの種牡馬といえば、例えばバゴが2頭、それからパイロ、ディスクリートキャット、ハービンジャーなどですかね。
この秋もう1頭別のバゴの子が勝ってくれるかも。

そうか、バゴとの相性が相当良かったって今頃気づきましたわw 配合ではバゴを推すことはなかったけどなあ…

ええと話を戻して、早速次のコーナーでは今年ドルメロ陣営がセールで落札できなかった推奨馬たちを何頭かご紹介します。
有名オーナーの所有馬、クラブ馬を中心に解説しますので参考になれば幸いです。

なお落札した馬たちは、来年無事に走り出したらご紹介するかもしれません。

(4)(5秒ジングル)

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まずはセレクトセールの推奨馬から。
1歳セールの48番 エスメラルディーナの24 父クリソベリル。
落札は藤田晋オーナー、落札額は1億円ジャストです。

正直セレクトセールでの戦略はまた別のものがあって、中でも「いかに人気やブランド性を排除できるか」これに尽きると思います。良いものをいかに飾りを省いた形で見いだせるか、と言ってもいいですね。

セール当時までクリソベリル初年度産駒の出だしは良くありませんでしたし、また本馬はバツグンによい牝系出身というわけでもない。牡馬ではあるけれどこれならワンチャンあるかも、とみてゴーサイン出しましたが、見事に失敗、目論見が外れました。1億円にもなる子を勧めちゃいけないです。

でも私はクリソベリル産駒に当初から何の心配も持ってなかった。日本では配合が少し難しいから、凡庸な配合は全部コケるかもしれないけど、その配合面さえクリアできればむしろ積極的に狙うべき1頭だろうと。祖父ゴールドアリュールの良さをアウトで素直に出せたら、きっと大物になる。

この仔が藤田さんに買われたと知って、私は「ああ、G1を取るかもしれないな」と直感しました。
それだけの器だろうと思います。

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続いてもセレクト109番 イルーシヴハピネスの24 父はリアルスティール。
落札はウエストヒルズさん 落札額は9600万円です。

なんとこれも億に届こうかという1頭。ダメですね、完全に予想を外しています。

でもフランケルの肌にリアルスティールで1億なんですから、普通に考えればこれはべらぼうに高いと思います。

重い重いRainbow Quest系の優先祖先にノーザンダンサーのクロスを乗せる欧州的な発想で、どちらかというとフランス競馬とか、凱旋門賞適性の高そうな馬に見えます。

そんな重厚な馬を日本でどうするんだと問われれば、私はこれこそ今の南関白砂ダートを攻略する馬だと思ったんです。エスメラルディーナの仔とはまた違った角度からダート三冠を狙うのであれば、こういう配合だろうと。

しかし実際はお手軽さを狙ったのに、1億ではリスクとリターンのバランスが取れません。
もし将来本当に本馬がフランスへ渡るようなことがあれば、その時にまた褒めてやってください。

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続いてはセレクトの当歳セッションから。
326番 ナパージュケイクの25 父はドレフォン。
落札は里見オーナー、落札額は4,300万円です。

今年は完全に当歳馬狙いに的を絞っていた里見オーナー。
スゴい勢いで当歳を落としまくっていましたが、そのメンツに加わったのが本馬です。

でも正直なところ、私も社台の育成手腕を信じるなら、真にセレクトで狙い目なのは当歳馬の方だと思います。1歳になったらこの値段では買えないなという馬が、まだリーズナブルなレベルで落ち着いていることがある。

この辺は馬体の成長と時間、ケガのリスクなどとの天秤なのでしょうが、今後もこの里見メソッドには注目したいところですね。

本馬の母ナパージュケイクは3代母リトルブレッシングのゼロ活性などで、サンデーやノーザンテーストのクロス弊害を逃れながら、なおかつサンデーの形を活かした繁殖。

正直社台系の生産馬でも、サンデーの形を活かした配合は年々少なくなっているので、見かけたら即買いでいいと思います。

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続いてもセレクトの当歳399番 ロシアンサモワールの25 父はアドマイヤマーズ。
落札は東京サラブレッドさん、落札額は4,600万円です。

実際問題、この辺の価格帯だと大きなライバルとして立ちはだかるのがクラブ系バイヤーです。

私も過去何頭かはクラブに奪われた苦い思い出がありますが、一方でその後の成長を克明に追えるという点からは、クラブ馬となるのも決して悪い道ではないですね。

母のロシアンサモワールは直近でミスプロ系を3代重ねた牝馬ですが、将来の基礎繁殖として日本に連れてくるなら、むしろこういう偏りのある牝馬の方が面白い配合を企画できます。

加えて過去同じミスプロ系でもゼロ活性の大樹、形、スピードと順に重ねた形跡があるので、本来は実の父に大樹かスピード役の種牡馬を持ってきたいところですが、その辺はこれから考えればいいこと。

父アドマイヤマーズの中にある唯一のスピードファクター、ミスプロを種として活かしながら、T/T型の父から遺伝する重さを打ち消せれば、姉たちよりもっと素直にスピードが期待できる候補かと思います。

(9)(5秒ジングル)

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続いてはセレクションセールから。
234番 プレアヴィヒアの24 父はタワーオブロンドン。
落札は吉澤ステーブルさん、落札額は1300万円です。

セレクションセールでは候補馬が少なかったこともあり、紹介するのはこの1頭だけですが、行く末が非常に気になる馬ですね。

父タワーオブロンドンはすでにG1ホースを輩出するなど好調なスタートで、今年はセールでも人気になりましたが、この世代で狙うなら最初から私は父のゼロ活性産駒だと思っていました。

というのは、タワーオブロンドンという父は代々劣性期の種牡馬を配合し続けスピードを先送りしてきた女系の種牡馬ですから、その形自体にはそこまでの魅力はありません。

むしろ父タワーの代でも劣性で種付けをすることで、もっと種牡馬の本質が出る気がしていて、ここからの数世代がより面白そうですね。アドマイヤムーン産駒に傾向が似てるかな。

本馬は母のプレアヴィヒアがドゥラメンテとSky Mesa、どちらも形として使える優秀な配合なので、今回はSky MesaからStorm Catを用いましたが、ドゥラメンテ優先でも十分魅力的な母似の配合といえます。ダート馬かもしれませんが、馬場への適性はかなり広いのではないでしょうか。

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ここからはサマーセールの候補を。
まずは750番 シンコーメグチャンの24 父はルヴァンスレーヴ。
落札は保坂和孝オーナー、落札額は670万円です。
この動画唯一の牝馬候補です。

私がいつものセレクト項目に加えて可能であれば狙っている要素、それが母の真のMAX活性です。
母のMAXを最優先にして候補を探すことはしませんが、あれば大変心強いお守りと考え大切にしています。

反対に父のルヴァンスレーヴはこの世代ゼロ活性なのが良くて、貴重なアウトブリードを確定させながら、古い母系サクラローレル一族の形を引き出しています。

私は地方の深いダートを走るなら今は母父のエンパイアメーカーよりローレルの形がいいと思っていて、本馬がメスでなければもっと推せたのにと残念ですね。
でも牝馬としては今年のサマーでも最上位と見ています。

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続いては874番 ラッキーハナチャンの24 父はダノンレジェンド。
落札はSNS Media&Consulting 落札額は1600万円です。
購買者はあのホリエモン陣営だそうです。ふーん、どこで使うのかな。

でも彼らはいい馬を手にしたと思いますよ。

本馬は父のダノンレジェンド優先ではなく、まだ日本の競馬場が古い芝で覆われていた時代に活躍馬を出したゼダーンの系統が優先祖先です。そこへ軽くノーザンダンサーのクロスを乗せるという、これもやっぱり欧州チックな古い配合の形ですね。

これだけ重い形だと、やっぱり現代では乾いた深いダートが合っていて、南関あたりに持っていくのが理想ですけど、ひとえにどこで使うかにより今後の活躍度合いが相当違ってくるはず。

でもどうしたって彼らは中央でデビューさせたいんでしょうから、その走りも見せてもらえるのはありがたいですね。中央なら中山や中京のダート良馬場向きでしょうか。

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最後が1132番 アキノクリンチの24 父はインディチャンプ。
落札はビッグレッドファーム 落札額は1900万円です。

ビッグレッドFやコスモVFにもいい馬をよくさらわれる印象があります。
おかげで今はなんとなく彼らの好みがわかる気がするんです笑

インディチャンプ産駒はセールだと本当に人気ですね。今年25年のブリーズアップセールでも落札できなかったけど、いいインディチャンプ産駒がいたんですよ。その子もクラブへ行きました。

優先祖先のブラックタイアフェアーはアイルランド生まれの一流競走馬でしたが、米国における種牡馬としては全然パッとしませんでした。
ところがなぜか今でも母系に入ってその血がジワジワ効いていることがあるんです。

彼は元々が芝ダート兼用適性の父ミスワキの強活性産駒とあって、日本ではワシントンカラーとか、芝でもダートでも走れる器用な産駒を出しました。

ただバリバリのダート味まではないせいか、当時のアメリカだと適性や需要が少し中途半端だったのかもしれません。日本なら良馬場の芝か、府中のような軽いダートでうまくいく気がしますね。

今回の候補の中では相当軽い血の適性に属するので、これもぜひ実際の走りを見てみたい1頭ですが、さてクラブ募集になるのかな?

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2025夏の三大セール総括動画、いかがだったでしょうか。

残念ながらセールで逃した馬たちと言いましても、ここからは私たちに何か別の世界線を見せてくれる気がして正直ワクワクしています。

ですがまずはどの馬もケガをしないでデビューしてほしい。私は彼らの行く末を見守ることで、来年以降の学びとさせてもらいます。

今回の動画はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

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