メンバー小粒で適性が大きく問われそう
左回りの二千の牝馬限定ハンデ戦というまことに特徴的なレースであることから、思いっきり「合う合わない」が出てしまう重賞。
格とか前走着順とかまずは一度かなぐり捨てて、坂あり左回りのハンデ戦であることから検討を始めたい。
追い切りで目立ったのはこの2頭
▼シャルール(牝6・松永幹夫厩舎)
坂路で北村友を背に、馬ナリながら好タイム。
もともとよく見せる馬かもしれないが、それにしても引退間近でこの動き。
良馬場前提で一発あり。
馬体は少し余裕があるので、絞れればなおいいだろう。
少し血統を見ておくと、父ゼンノロブロイはご存じのように牝馬血統。父とは異なる毛色の馬の方が活躍馬が多く、ことに牝馬はその傾向がある。
よってシャルールの栗毛は、父方にあるマイニングのものではなく、母系に脈々と流れる2代母My Great Hopeの隔世遺伝栗毛であると想像できる。
この栗毛ファミリーは遠くHyperionまでさかのぼれ、底力はあるものの現代競馬に必須の切れ味とはほど遠い。
またそれを父ゼンノロブロイでも補えなかったことが、ちょっと歯ぎしりしそうなもどかしいレースぶりの一因かもしれない。
▼メイズオブオナー(牝4・藤原英昭厩舎)
まだ条件戦の身ではあるが、前走は最後方からちょっとした脚を見せており、無欲の突っ込みは考えておきたい。
松若を背にCWで5F66.9〜37.7〜11.8 2頭併せ馬ナリ併入
手応えには余裕もあり、あながち無視できない。
こちらも血統を見ておこう。
まず母系の母父Holy Roman Emperorは、その父デインヒルの後継種牡馬として急きょ引退が決まった若き種牡馬。
2歳時からスピードを生かして勝利を重ね、クラシック不出走だったにもかかわらず、G1を2勝、通算7戦4勝。
字面以上にポテンシャルは高く、種牡馬としても香港のビューティーオンリー、デザインズオンローム、また南半球でもG1馬を輩出しており、父デインヒルの面影を一番濃く残す馬かもしれない。
母キャサリンオブアラゴンは、名牝ミエスクのファミリー。ということは日本でもおなじみの繁殖ラヴズオンリーミーからリアルスティール、ラングレーらを輩出した、あのラインである。
ただ、ファミリー内で牝馬の活躍馬はこの本馬ほぼ1頭であり、その意味では母系以上に父ハーツクライの能力も相当寄与していると思われる。
日経新春杯、京成杯についてもひとこと
日経新春杯はミッキーロケットでいいでしょう。
というか、戦ってきた相手が違いすぎ。
京成杯は血統でもお話ししたデルタバローズ、コズミックフォースが順調な仕上がり。どちらもジョッキーが騎乗して寸分の狂いもなく調整が行われている。
おもしろいところでは、
▼タイキフェルブール(牡3・牧浦厩舎・父フリオーソ)
480キロあるように見えない華奢な感じだが、坂路ですばらしい加速ラップ&重心のブレない走り。
もっと筋肉がついて(ダート戦に戻ったら?)必ず買ってみたい1頭ではある。
父フリオーソは芝が全くダメ(フェブラリーS怒濤の追い込みの一因)な馬だったが、これはその母ファーザ(9歳時産駒)の母系ではなく、父ブライアンズタイム中のGraustark(栗毛)を引くからだと思われる。
そしてタイキの母アッシュベリーもまた栗毛をさかのぼるとGraustarkがあり、もう1本もリボーへとつながる。
よって5代血統表に見えるミスプロらのクロスは全て消え、遠くに残る3本のリボー系クロスがこの馬の本質を表している。