新年明けましておめでとうございます。
今年もいっそうの精進をし、みなさんの健やかな競馬ライフに貢献できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
さて新年一発目の記事はコメントへの返信です。
先日YouTube内にこんな話題をいただきましたので、私なりの所見を述べてみます。
馬の活性値は本当にのこぎり型なのか
(以下原文ママ)
ドルメロさんへ
いつも、拝見させていただいております。
さて、活性値ですが、「のこぎり派」の形状だと説明されていますが、自然界のリズムで、バイオリズムがあります。これは、正弦波となっております。
人間のリズムが周期となり、体力、知識、感情のそれぞれの波が動くというものらしいです。
競馬裁判で有名になりました、卍氏の裁判記録を競馬関係者がブログに公表していました。
その中に、一つの式がありました。
その式をみて、一目、バイオリズムを描く正弦波の式と感じました。
卍氏は、夏の牝馬が強いので、季節を周期とした正弦波を書き、競走日の強さレベルを得点化したものと想定できました。私も以前、馬のバイオリズムを得点化した事がありますが、どうしても馬のバイオリズムの周期が判明しなかったため、頓挫した記憶があります。
さて、上記を考慮すると活性値8と活性値1は同レベルなのでは?と想定できます。
中島氏はテシオ理論を研究されて「のこぎり派」とされているようですが、
母系に活性値1をもつ競走馬の成績が非常に優秀です。この例は非常に多くあります。
例1 2018年9月10日新潟2R 2歳未勝利 2000芝
3番人気、4番人気、5番人気はそれぞれ優先が母系を示しており、
1着、2着、3着ですが、それぞれ 1着馬 母1母母1 2着馬 母1 3着馬 母母母1
(6番人気の馬にも母母母1がありますが、優先は父系を示しています。
このような例は非常にたくさんあります。ドルメロさんの所見を、御教示いただきたく…
バイオリズムと太陽の8年サイクルは異なるもの?
相変わらず私は獣医でもなんでもないので、生命の神秘を解き明かすような力はないのだが、その上であえて申し上げると…。
活性値が8年の太陽のサイクルを終えると、その翌日からふっと消えたようにゼロに戻るという説は、生物学に携わったことのある者からすると「はたしてそんな現象が実際の生物内に起こりうるのだろうか」と一度は引っかかるところである。
これを上の方は「のこぎり型」と呼んでいらっしゃるので、対して卍氏のバイオリズム論を「正弦型」とでもしておこう。
正弦波はよく音の波長などを表す形で、Xが増大するにつれYは一定の間隔でプラスとマイナスを繰り返すあの「なみなみしたきれいな曲線」のことである(語彙不足…)。
でもし、馬の活性値がのこぎり型ではなくこの正弦型をたどれば、MAX活性値が終了してもすぐには冷めずに翌年もほぼ同等の活性値を受けられるんじゃないか、というのが論点だと思う。そういう母活性値1の馬がよく走っていますよ、という記録も付けていただいた。
それに対する私の考え方は
▼やはり8年目の出産orよい卵子の排卵時に「なにかがいっしょに外へ生まれ落ちてしまう」現象こそ、活性値のリセット
ではないかと考えている。
しかしこれには今のところ全く証拠がない。
なので、正弦型もとても面白い考え方かと思うが、実は私がこの正弦型理論を聞いたときにピンときたことがもうひとつある。
前述の卍氏は「夏の牝馬が強いことから季節周期の正弦波を書いた」、そしてご質問者は「どうしても馬のバイオリズム周期が分からなかった」と話している。
これはもしやして、牝馬の持つ2か月繁殖サイクルを表しているのではなかろうかと。
バイオリズムは太陽の8年サイクルに使うのではなく…
テシオ理論では
▼その牝馬の誕生日+14日を中心日とした前後1か月ずつ
これを基本の繁殖サイクルとしている。
つまり4月1日生まれの牝馬Aであれば、
4月1日+14日=4月15日
よってAの基本繁殖サイクルは
3月15日〜5月15日
である。
この2か月をスタート地点として、5月15日〜7月15日、7月15日〜9月15日、9月15日〜11月15日、そして最後は4か月の11月15日〜3月15日が1年のサイクルとなる。
もしA馬が最初の3月15日〜5月15日をよい繁殖サイクルとする馬なら、次の5月15日〜7月15日は悪いサイクルになり、その次はまた良いサイクルになる(逆の牝馬もいる)。
そして最後は2か月ではなく、4か月サイクルを経るので、よく見ると
▼去年の良いサイクルは今年の悪いサイクルにあたる
という現象が起こる。
これが誕生日の近い年子の全きょうだいに「賢兄愚弟」(あるいはその逆)が産まれる理由のひとつとも言われている。
まあ詳細な繁殖活動についてはさておき、とにかく牝馬は自身の中に2か月ごとのリズムを持ち、その間血液の酸性値が変化することから走ったり走れなかったりを繰り返す動物だというのが、中島氏の言い分だ。それは繁殖活動だけでなく、競走にも影響するのである。
卍氏のバイオリズム論が格言「夏の牝馬」から来ているので、これとはやっぱり相容れないかもしれないが、私の言いたいことは
▼どちらかというと、バイオリズム論はこの繁殖牝馬の持つ2か月サイクルと相性の良い考え方では?
という気がしているのだ。
ご質問者が以前バイオリズムの周期が分からなかった、とおっしゃっているので、もしもう一度卍氏のバイオリズム論をお試しになるなら、この2か月(+)2か月(−)=4か月を波長の1周期として再トライされてはいかがだろうか。
もうひとつ蛇足として
それから
▼繁殖牝馬の活性値がMAX8の年は、確かに産駒のデキに大きく左右する期間があるが、それ以外の年は活性値が7でも1でも、特別なボーナスや7>1といった考え方は基本しなくてよい
というのが私の立場です。(もちろん新説あればぜひ教えてほしいです)
母の活性値の主な働きはやはり「基礎体力の上積み」であり、卵子の良い悪いは今までお話しした良い繁殖期かどうかの方が重要です。その年のいつ種付けをしたのかという「時期、日にち」の問題ですね。
まあ現代はそれが自然でない形で行われているので、あえてそこには話を突っ込んでいないのですが…。
実は中島氏もテキスト中にバイオリズムに関して言及している箇所があるので、私も正弦論を否定しているわけではありません。
もしこんなところに使ってみたら、けっこう面白いことが分かったよという時は、またぜひお知らせください。
以上が私なりの現在の考え方です。
今回の質問は非常に興味深いですね。私は頭悪いので逆パターンの馬の判別が付かなくて。これ解明できたら凄いことになりますね。
高倉さん、こんにちは。
私も卍氏のことは小耳に挟んだ程度でしかないのですが、生体リズムを操る超人だとは全く知りませんでした。
順パターンと逆パターンは代々の母の誕生日、種付け日が分かれば「どこまでが順パターンで、いつ逆転して、今はどっちなのか」がわかります。
とくに古い時代はまず間違いなく分かります。
しかし現代では通じないところもあって、みなさんには誤解を招かないようお教えしていませんが、だいたい繁殖の7割が順パターン、残りの3割が逆パターンだと言われています。
該当する競走牝馬がそのどちらかわからなくても、今回の記事からサイクルだけは算出しておいて、あとは競走成績を当てはめて判別する方法もあります。
この年の1月はよかったけど、翌年の1月はよくなかったな、とかね。かなりアバウトにはなりますが。
ドルメロさんへ
沢山の御教示を頂き、誠にありがとうございました。
本年度も宜しくお願い申し上げます。
2020年 元旦