▼ご質問にお答えして 父も母もゼロ活性の馬ってどうなるの? 10.11

この秋も忙しくさせていただいております

先週いただいたこのご質問にお答えしたいなと思いつつ、忙しさにかまけて手が付かず申し訳ありません。個別相談にも応じられない時期がありました。クラブ販売の方はもう最終盤でどうということもないものの、オーナー様方との新しい出会いがあったり、興味深い仕事依頼があったりと、なかなかまとまった時間がありませんでした。以下遅ればせながら、ゼロ活性の特性について今一度ご説明致します。

父も母もゼロ活性の場合、子はどうなるの?

私が知る限り、有名な競走馬レベルで父も母もゼロ活性の馬にはまだお目にかかったことはない。ただこの手の話題にいつも登場願うサンプルは、先日久々に京都大賞典に出走したアリストテレスの母ブルーダイアモンド(2011)である。

ブルーダイアモンドは父ディープインパクト、母グレースアドマイヤという名門中の名門牝系生まれ。ブルーは母の最後の産駒だ。自身の誕生日が11年5月10日で、種付け日が10年6月14日。だからあまり深く計算せずとも父母両方のゼロ活性産駒であることは明らか。

母の現役時成績は6戦未勝利。まあハッキリ言って箸にも棒にもかからない感じだったし、月のサイクルは裏みたいだし、結果自体は仕方がないもの。ただ父や母がゼロ活性だからといって競走に直接響く要素ではないので、その辺は誤解のないように。

理由は父と母の遺伝に対する役割が違うからだ。通常遺伝とは父と母の共同作業のような格好をしていながら、テシオ理論でははっきり親の役割は全く違うと断言している。科学的かどうかは別として、そう考えてみようという理論なのでご了承いただきたい。だから父のゼロ活性に母のゼロ活性が相乗作用を生むこともないし、ふたつは分けて考えるべき別の異なる事象である。(MAX×MAXも同じですね)

父は馬の形を決め、母は馬の内部をつかさどる。だから父と母両方がゼロ活性の馬に関しては「父の形を継がないし、母の体力を継承しない」馬、というのが正確な答えだ。この両方を合わせたところで、月のサイクルさえ表ならば走る馬は走るだろうし(サイクルに母のゼロ活性は直接干渉しない)、母系の合計活性値が4.0を超えてくるなら、さして虚弱馬というわけでもなかろう。そう、ケースバイケースである。

メリット、デメリットでいうなら、父全般のゼロ活性は将来の配合時にクロスを生じないし、アリストテレスのように母父のゼロ活性は産駒の精神面に安定感、ボス性を与えるのがメリット、反対に知らずにゼロ活性の種牡馬を付けると期待の父には似ても似つかぬ母似の馬ができることが注意点だろうか。生産者ががっかりすることはあっても、競馬ファンにあまりデメリットはない気がする。

一方母のゼロ活性は、結果的にやはり虚弱な馬ができやすいことが最大のデメリットだが、これも古い祖先でしっかりカバーできているならさしたる心配はない。また真のMAX活性期と月のサイクル「表」とは重なるときもあるし、絶対重ならない年もある。その際たとえスピードが裏であっても次世代への土壌として真のMAX活性に種付けするのは歓迎すべきことだろう。これも競馬ファンにはあまり影響ない気がするけど、クラブ会員さんはちゃんと気をつけている方がいますね。

母のゼロ活性注意報を解除しようか

この話題に関して、少しドルメロ側の話もさせてもらうと、来年のクラブデータからは「母のゼロ活性注意報」を解除しようかと思っている。今は実の母がゼロ活性と気づいた場合…1クラブに1頭はいるものだが…MAX年だけど本当のいい時期は逃していますよ、という注意喚起の目的で種付けイベント欄にグレーの網掛けを施している。MAXだと思って出資する方もいるだろうから。

ただ、今をときめく世界的名馬バーイードはじめ、母のゼロ活性をはねのけて活躍する馬も多数いることに気がつき、そこまで神経質にならなくてもいいかな、という気がしている。基礎体力計算には注意が必要だけど、月のサイクルが表ならいい馬には違いない。私も注意項目が減るのはすごく助かる。ただし配合のご相談では、私の方から意図的にMAX活性期を外すことはないですね。その時は空胎となるでしょう。

ということでいかがでしょうか。一般のファンが気にする過剰な倍々ゲームのようなメリット、デメリットはないものの、形や体力の遺伝に関してはMAX活性時とは大違いなので、何が残って何が消えるのか、計算してみると楽しいかもしれませんね。

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