1クラブの関西馬にこの3種牡馬だけで産駒が10頭もいるのはすごく珍しいことで、とくにハービンジャーの5頭出し(関東馬は1頭のみ)は驚異的です。
ハービンジャーは2015年産駒つまり今年の3歳がMAX活性で、最後の最後にブラストワンピースという大物を出しましたが、ここに至るまで近2年ほどの確変ぶり(ペルシアンナイト、ディアドラ…)にはすさまじいものがありました。
それに連れられて思い出したかのようにハービンジャーを付けて生まれたのが2016年産駒以降ということになりますが、残念ながら現2歳からはすべて「劣性期の産駒」つまり、血統的にハービンジャーには何の関係もない子どもたちばかりです。
血統とは、追いかけると逃げるいいオンナのようなものですね。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
社台サラブレッドC1歳馬 関西メジャー、ルーラー、ハービンジャー産駒 判定結果
【スピードサイクルOK判定の馬】
65 ヴァイオレットラブの17(牡・栗毛)
父 ダイワメジャー
【優先祖先】 ノーザンテースト
【基礎体力】 41(平均は50)
【適 性】 芝orダートのマイル
安田隆行厩舎 予定
本馬はプリプリした見た目とは裏腹にあまり丈夫とは言えない仔のようです。
注目度はかなり下がりましたが、父ダイワメジャーにも2度目のMAX活性期が近づいており、忘れた頃の一発があっておかしくない種牡馬です。
最近はとくに栗毛のずんぐりした仔を多く出すようになっており、いわゆる嵐の前の静けさかもしれません。
本馬はヴィクトリアマイルを勝ったコイウタ(父フジキセキ)の半弟にあたりますが、姉はフジキセキ劣性期&母中性期の産駒で、母父のドクターデヴィアスからAhonoora(1975)の影響を強く受けていました。
また2代母ヴアインゴールドはミスプロのゼロ活性牝馬で、祖先の数をひとつ減らすことで、産駒の頭脳スッキリ&血統の固定化に一役買っています。
よってコイウタはTurn‐to系やクラリオン系といった傍系血脈(ネアルコの弊害がないという意味)ばかりで構成された希少な繁殖牝馬で、もう少し走る仔を出してもいいのではないかと思います。
本馬は血統面こそ姉同様の良さがあるものの、母と2代母連続してミニマム期にあたり、仔に良い体力を継承していません。
使い出しは早そうですが、ちょっと長い目で見守りたい1頭です。
68 ミルフィオリの17(牝・鹿毛)
父 ルーラーシップ
【優先祖先】 Mountain Flower(牝・1964)
【基礎体力】 88(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
吉田直弘厩舎 予定
母はあまり仔出しが良くありませんが、本馬はちょっと期待してしまう牝馬です。
ルーラーシップは一足早く劣性期入りしてしまった種牡馬で、優先祖先は母系の2代父サンデーか3代父Le Fabuleux(1961)どちらかをさかのぼる計算になります。
両者の活性値は誤差の範囲でいつもなら迷ってしまいますが、2代母はあの名牝ミルレーサーなので、サンデー初期の最高傑作フジキセキ(1992)の結果を見れば、おのずと活性値の細かい優劣がわかります。
母ミルフィオリ(2000)とフジキセキは単なる全きょうだいというだけでなく、8年サイクル上の年回りも一緒の「完全一致配合」にあたります。
その兄が「サンデーそっくり」の青鹿毛&流星&右後肢一白で生まれたということは、この配合のどこかにサンデー自身が優先になる素地があるということ。
よってサンデーとLe Fabuleuxの活性値は「誤差の範囲内でサンデーが優性」という結論に達します。
そして何より本馬の素晴らしい点は、MAX活性2度継承による基礎体力の高さ。
ミルレーサーが母に、そして母も本馬にと、2代連続して17歳時MAX活性を与え、揺るぎない体力&スピードを生み出してくれるはずです。
ちなみに1回目の母MAX活性時の産駒がミルドリーム(若葉S3着、飛鳥S勝ちなど、父シンボリクリスエスのミニマム期産駒)でした。
本馬(ルーラーのミニマム期産駒)と境遇はほとんど一緒です。
これでいて募集額は下位も下位の45万円×40口。
私が入会するなら迷わず即この仔に出資、あとは待つのみ…といきたいですね。
クラブライフ手始めにはすごくいいタイプの仔だと思います。
72 アルティメイトラブの17(牡・鹿毛)
父 ハービンジャー
【優先祖先】 Ahonoora(1975)
【基礎体力】 56(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
中竹和也厩舎 予定
残口あり
先にご紹介した65番ヴァイオレットラブの17とは近親(おじとおい)の関係にあたり、やはり2代母コイウタが血統上のポイントになります。
本馬は栗毛ではありませんが、優先祖先をたどれる優性期の種牡馬はコイウタの母父ドクターデヴィアスしかいませんので、間違いなくこの系統の影響を受けています。
ですから父ハービンジャーだと思って長い距離に使い出すと、最後ちょい甘くなって「あれ?」となることも考えられます。
またドクターデヴィアスの系統は坂のあるコースがどうかという特徴もあります。
好走にはいろいろと条件がついてきそうなタイプですね。
73 エクセラントカーヴの17(牝・鹿毛)
父 ハービンジャー
【優先祖先】 Lady Victoria(1962)
【基礎体力】 63(平均は50)
【適 性】 ダートor芝の中距離
西村真幸厩舎 予定
2代母そして母も活躍馬ですが、サイクル上はどちらも「ぎりBAD」馬で、案外危ない橋を渡っています。
元の牝系は泣く子も黙る名門・アンテイツクヴアリユー系で、ファミリー全般としてはOK判定を下しやすい系統なのですが、枝系であるこのカーヴ系だけはちょっと難解で、BADにはみ出していても何らかの事情でOK馬だったというケースが多いです。
優先祖先はタッチの差で母父ダイワメジャーが強く、そこからノーザンテーストの母Lady Victoriaにたどり着きます。
Lady VictoriaはVictoria Park(1957年カナダ産・プリークネスS2着、Kダービー3着など)の産駒なので、いちおうダート適性があるということだけお伝えしておきますが、芝を走ってもなんら不思議ありません。
放牧地で涼しげに遠くを見る目が印象的ですね。
【スピードサイクルぎりOK判定の馬】
64 シーエスシルクの17(牡・父ダイワメジャー・5日)
67 アスクデピュティの17(牡・父ルーラーシップ・2日)
とくにアスクデピュティの17は素材自体はとてもいいと思うので、あとは2日しかサイクルにかかっていない状況を吉と見るか凶と見るかで運命が分かれます。
【スピードサイクルBAD判定の馬】
66 ロイヤルマリーの17(残口あり)
69 ゴールデンロッドの17
70 ワーキングウーマンの17
71 キラリダイヤモンドの17
【どうしても判定不能の馬】
74 ララアの17
基本OKでもいいと思うのですが、ファミリー全体で見るとやや揺らぎがありますね。
次回は社台RH関西のキズナやジャスタウェイといった若い種牡馬産駒を中心にご紹介します。
もしかしたらスプリンターズS2018の予想を挟むかもしれません。
金曜は新馬戦展望です。お楽しみに。