一日(いちじつ)どころか10年の格差がある世界のスプリント戦線
芝の中距離以降は世界とも五分に戦える日本馬だが、やはりスプリント戦ともなると(たまに日本からロードカナロアのような名馬が出たにしても)世界の馬たちの層の厚さには驚かされる。
とくに近場の香港と豪州はセン馬が束になって襲いかかり、高い壁となって日本勢の挑戦をはねのけ続けている。
そして今年のチェアマンズスプリントにも18年度のロンジンランキングでスプリント種目世界第3位にランクされる強豪が出てくる。
それがサンタアナレーン(セン6・父Lope de Vega・豪州)である。
サンタアナレーンの繁殖サイクル
Bourtai 1942
Levee 53.4.1 3.15〜5.15
Nalee 60.2.6 き× 1.20〜3.20
Nalees Flying Flag 75.4.15 き× 3.29〜5.29
Far Flying 80.4.10 き○ 3.24〜5.24
Fleet Marguerite 91.5.29 き× 5.12〜7.12
Fast Fleet 06.8.14 き○ 7.28〜9.28
☆サンタアナレーン 12.9.11 ぐ×
誕生日を遡れる境界にいるBourtai(1942)という牝馬は多くの活躍馬の祖であり、日本ではあのエリモ一族(シック、ピクシー姉妹)などが繁栄している。
古い牝系であるにもかかわらず、3代母(3週間早い)とサンタアナレーン自身(2週間遅い)を除けばたいへんにわかりやすい正統派サイクルを示している。
サンタアナレーンの優先祖先
父 Lope de Vega(2007) 活性値4.5
母父 Fastnet Rock(2001) 活性値4
3代父 Gulch(1984) 活性値6+α
4代父 Far North(1973) 活性値6
5代父 Hoist the Flag(1968) 活性値6-α
6代父 Nashua(1952) 活性値7
優先 Fleet Marguerite(牝・1991)
サンタアナレーンの父・Lope de Vegaの活性値が0.5刻みなのは、サンタアナレーンが豪州産で父が愛国産のため、父の年齢が北半球よりさらに半年経過してから南半球の繁殖生活に入っているから。
とはいっても優先の決定作業に関わるほどの違いではないが。
したがってサンタアナレーンの優先は2代母Fleet Margueriteで、彼女はさらに3代母Far Flyingの影響を強く受けている。
5代前までの父たちの活性値を見てわかるとおり、6代父Nashuaとの活性値の差がどれもおよそ1なので、5代母まではどの母も優先が自分の母似となるレアケースだ。
2代母Fleet Margueriteこそマイル近辺まで距離をこなしたが、母系をたどれば結局のところは5代母Nalee(1960)に行き着くので、6〜7ハロンのダートっぽい適性が強い母系であるといえそうだ。
サンタアナレーンの基礎体力
Nalees Flying Flag 1.0
Far Flying 0.5
Fleet Marguerite 1.5+0.125(北・南の調整分)
Fast Fleet 1.25
1.25+(1.5+0.125)+0.5+1.0=4.375 → 55
基礎体力にはとくに見るべきものはない。
サンタアナレーンの残存クロス
▼ミスプロ
父方 (1)2.0×1.25=2.5
(2)2.0×1.0×0.25=0.5
母方 1.25×1.5=1.875
※Northern Dancerはデインヒル経由なのでゼロ活性扱い
おそらくはサンタアナレーンがセン馬になった理由のひとつが、このミスプロの強力なクロス残存だろうと思う。
マキャベリアン(1987)はミスプロのMAX活性産駒の1頭で1月31日生まれなので、自身はミスプロ活性を強く持っているが、春の繁殖期後半に種付けされた産駒の中には「ゼロ活性」を持つ馬も大勢いるという変わった種牡馬だ。
日本でいうと、シンボリクリスエスなども早生まれでゼロ活性馬の数が多い種牡馬になる。
【 結論 】サンタアナレーンはセン馬になることで活路を見出した典型的なケース。基礎体力の平凡さと強クロス残存からの脱却が図られている
日本でセン馬がそれほど日常にならないのは、その前段階で、クロス残存の強い配合自体が敬遠されるからかもしれない。
古今東西、あまりに突拍子もなく濃い近親配合はやはり同業からバカにされたようで、ごく一部の配合論を知る者だけの「秘密」として駆使されたらしい。
※気分転換にWPのテーマを変えてみました。PC画面ではゴシックと細字の区別がつきますが、スマホ画面だとすべてがゴシックに表記されてしまうようです(読みやすいけど)。しばらくはこれでいきますが、以前のテーマ(Newspaper)もそう悪くなかったと改めて感じます。写真なしニュースブログ調だと外国製にしかクールなテーマがなくて苦労します。