第2回 責任監修・須田鷹雄氏の推しメンとはいかなる馬たちか
POGは回数走ってナンボという基本に立ち返れば、初回に基礎体力重視特集を持ってきたのはさもありなんだが、体が丈夫でもスピードがなければ、また形が伴ってこなければ走れないというのも馬の基本。
ということで、ここからしばらくは「隣の芝生が青く見える方向け」に、赤本スタッフや牧場スタッフが推すエース候補を少しずつ紹介していこうと思う。
とくに赤本スタッフは、シーズン当初より次から次へとそれこそ穴の空くまで2歳馬ばかりを見倒してきた強者。
こんな机上の空論ではなく、自分の目で確かめたからこそ「ピンときた」馬がいるはず(うらやましい)で、現に須田鷹雄氏と浅野靖典氏については巻末に個人的な「◎○▲△☆」評価が掲載されている。
そこでPOG赤本特集の2回目は、まず責任監修・須田鷹雄氏の◎推しメンを何頭かピックアップして解説したい。
◎15頭の精鋭中6頭の判定付き解説をしてみる
須田氏が赤本巻末で「本命級=◎」に推している内国産馬は15頭。
そのうち今回もクラブ馬は除くとすると、残りは以下の6頭となる。
フィオドラの17
ジェニサの17
ジンジャーパンチの17
ライフフォーセイルの17
ファイナルスコアの17
エルダンジュの17
うち、テシオ理論の判定が良さそうな馬は上から3頭。
とくにフィオドラの17については、母の初仔でもあり、いつものように少し詳細な解説をしていきたい。
▼フィオドラの17の繁殖サイクル
Lea Lane 1952
Rose Bower 58.3.24 3.7〜5.7
Spray 69.4.11 き× 3.25〜5.25
Little Bittern 82.4.19 き○ 4.3〜6.3
Fox for Gold 89.2.15 き× 1.29〜3.29
Forever Nice 94.2.23 き○ 2.9〜4.9
Forthe Millionkiss 04.3.18 ぐ×
フィオドラ 11.1.24 き○ 1.7〜3.7
フィオドラの17 17.1.28 ぐ○ →ぎりBAD7日
Friedhelmo 96.3.15 き×
High Brite 84.4.12 き○
初めて見る牝系だが、現在まで活躍馬にあふれるというファミリーではなく、むしろ走りさえすれば当たりがデカい一発屋系かと思われる。
サイクルはおそらく「き○ぐ×」のはずで、フィオドラの17の判定はぎりBAD7日ということになる。
これがいい方向へ外れると仮定すれば、繁殖サイクルの超初期配合になるので、かなりのスピードが期待できるわけだ。
▼フィオドラの17の優先祖先
父 キズナ 活性値6
母父 Lord of England 活性値7
3代父 Greinton 活性値4
4代父 Glint of Gold 活性値2
5代父 Riva Ridge 活性値4
父キズナはこれからどんどん活性値が高まる種牡馬だが、この年はまだ母父
Lord of Englandよりも低かったため、優先は独オークス馬である母フィオドラそのものということになる。
といっても母はコテコテのクラシック適性馬ではなく、独二千ギニー馬であるLiterat(1965)に源を発している様子。
また父のLord of EnglandもG1勝ち鞍は10ハロンなので、日本の12ハロンならスピード負けする心配はなさそう。
スラッと脚長で首も上手に使えるというから、体全体が連携して運動できる=推進力があり、距離が保つという見立てでいいと思う。
▼フィオドラの17の基礎体力
Little Bittern 1.5
Fox for Gold 1.0
Forever Nice ★2.0
フィオドラ 1.25
1.25+2.0+1.0+1.5=5.75 → ★72
母フィオドラは2代母Forever NiceのMAX活性馬で、それを競走にもある程度使ってタイトルを奪取した。
ただ決して無理をしたわけでもなく(なんと初勝利がG1独オークス!)、また本馬は母の初仔でもあることから、基礎体力には何の不安もない。
▼フィオドラの17の残存クロスと4系統配合
まずクロスについては母系内でMill Reefの5×6というクロスが存在するが、これは遺伝の及ぶ範囲ギリギリでもあり、あまり気にならない。
いちおう計算だけしておくと、
Shirley Heights経由 1.5×1.25×1.25×1.75×1.75=7.17…
Glint of Gold経由 0.25×0.5=0.125(ゼロ活性と同義)
Glint of Gold経由のMill Reefが活性値0.125まで薄められているので、もはやゼロ活性と同義と考えられる。
よってクロスについては本当に問題ない。
むしろ過去の4系統配合のうち3系統がネアルコ系であり(うち2つがMill Reef系、サンデーはネアルコが切れた非ネアルコ系)、そして本馬が初仔であるという背景から、
▼血統的コンプレックスが気持ち強め
であると想像できる。
持っているポテンシャルは相当なものと推測できるが、春のクラシックで走らせるにはちと「いいとこのお坊ちゃま過ぎる」嫌いがあるということだ。
もう少し野性味がほしいですね。
ほかの須田馬たちの判定は?
ジェニサの17 →OK 4番仔 Tiznowの系統
ジンジャーパンチの17 →OK 8番仔 ルージュバックの半弟
ライフフォーセイルの17 →?
ファイナルスコアの17 →?
エルダンジュの17 →? 判定最も難しい ぎりOK3日ともいえそう
他のOK判定馬は、どれも体力的な不安がありそう。
ジェニサの17は母からうまく体力を継承できず(ミニマム期)、またジンジャーパンチの17も姉のルージュバックがMAX活性馬だったこと、自身がすでに8番仔であること等を加味すれば、ちょっと狙いが下がりそうだ。
【 結論 】POG2019で須田鷹雄氏の推し馬に乗るなら、クラブ馬から狙うべし
個人所有馬系からはフィオドラの17一本で大丈夫だと思うので、あとは須田氏の推すクラブ馬が狙いとなるだろう。