今回で社台RHさんの関東1歳馬はすべて終了です。
OK判定馬の割合は4頭に1頭くらいなので、かなり上質なラインナップだったと言えます。
けっこう個性的ですし。
幸いまだ募集している馬の中にもOK判定馬が含まれますので、気になる方は馬体等をよくお調べになり、出資されるのもいいでしょう。
まだ見ていませんが、関西馬はもう少しレベルが上でしょうか。
楽しみです。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
社台サラブレッドC1歳馬 関東中堅種牡馬産駒 判定結果
【スピードサイクルOK判定の馬】
27 ウイングドウィールの17(牡・栗毛)
父 スクリーンヒーロー
【優先祖先】 カーリアン(1980)
【基礎体力】 78(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
手塚貴久厩舎 予定
本馬の栗毛は父スクリーンヒーローではなく、母母父のタイキシャトルを経由して発現したものです。
タイキシャトルといえば超安定的なレースっぷりとは裏腹に、驚異的な末脚というものは持たない名馬で、やおら先行体勢をとったら後はその類い希なスピードの持続力で他を圧倒するというのが勝ちパターンでした。
引退レースを除けば、3歳春の菩提樹S(当時)で先行したテンザンストームを後方から捕らえきれなかった2着が唯一の負け(でもけっこうすごい追い詰め方)であり、タイキシャトルの特徴をよく示しています。
そしてそれこそカーリアンという種牡馬の特徴をも表しており、なんとなく同厩舎の先輩、シンコウラヴリイ(父カーリアン)にもオーバーラップしてしまいます。
本馬は立ち姿に少し窮屈なところ(肩の辺りがとくに気に入らない)が見え、それがまだ成長途上を理由とするならいいのですが、たとえダート戦に向かったとしても、いいところまでいく資質がありそうです。
あとはやや強めに残るサンデーの3×4というクロスが精神面にどう響いてくるかですが…
Robertoのクロスは、父系のグラスワンダーがゼロ活性なので心配ありません。
28 ウォートルベリーの17(牡・栗毛)
父 スクリーンヒーロー
【優先祖先】 Donut King(1959)
【基礎体力】 〜47(平均は50)
【適 性】 ダートのマイル
鹿戸雄一厩舎 予定
残口あり
本馬の栗毛も父譲りではなく、遠くハイペリオン(1930)を祖とする米系のダート血統から来たものです。(Blushing Groom〜Red Godでもありません)
ただ残念なことに、本馬は基礎体力に大きな不安を抱えます。
計算上MAXでも数値は47どまり。
これは母ウォートルベリーが本馬にMAX活性を与えていることを前提にしていますが、計算では4日ほどMAX期を外れている(実際の種付け日にはもちろんズレがある)ので、母ゼロ活性=22という可能性もあります。
これは本馬にとって相当大きな分かれ道で、MAX活性プラス体力値47であれば十分OPでの活躍が見込めますが、そうでないと調教もままならない虚弱馬に成り下がってしまいます。
ただカタログには「蹄の減り具合から放牧地で活発に動き回っていることは明白で…」とありますので、人並み(馬並み?)の体力は備わっていると期待して明るく送り出すことにしましょう。
30 グッドチョイスの17(牝・黒鹿毛)
父 ヴィクトワールピサ
【優先祖先】 Sunrise Flight(1959)
【基礎体力】 41(平均は50)
【適 性】 ダートのマイル
和田正一郎厩舎 予定
残口あり
優先祖先のSunrise Flightは、ヒムヤー系という米国でもかなりマイナーなダート系統の活躍馬。
生涯84戦11勝2着27回3着13回という超頑丈&超堅実な成績を収めており、クラブ馬の祖先としては最高に近いのですが、この馬も肝心の基礎体力が低め。
ダート血統は仕方ないにしても(きょうだいもほぼそうなので)、まずは競走馬としての鍛錬に耐えなくては話にならず、そこがちょっと心配になります。
本馬同様、ウイングレットの系統が思ったより晩成気味なのは、基礎体力を十分貯めてからでないと開花が難しいからでしょうか。
基礎体力値は、生まれたままの数値で生涯推移するわけではなく、年齢とともに上積みされていきます。
5歳や6歳で花開く馬の中には古馬になって少しずつ丈夫になり、やっと厳しい競走に耐えうる体力に達する馬もいます。
最近ではマキシマムドパリ(父キンカメ・5歳時に牝馬重賞2勝・基礎体力25)なども私が体力値を計算し始めた頃に相当驚いた馬の1頭ですし、古くはイナリワン(父ミルジョージ・5歳時に天皇賞春などG1を3勝、年度代表馬・基礎体力31)もそのタイプだと教わりました。
イナリワンは地方在籍の2、3歳時にはケガもあってわずか8戦しかしていませんのでね(全勝だけどwww)。
かなり脱線しましたが、本馬も十分なケアがあってこそ花開く素材であると言えます。
32 ロイヤルタバスコの17(牝・栗毛)
父 ゴールドアリュール
【優先祖先】 ダストコマンダー(1967)
【基礎体力】 34(平均は50)
【適 性】 ダートの中距離
竹内正洋厩舎 予定
残口あり
本馬の栗毛もまたまた父譲りではなく、名牝Doff the Derby(ジェネラスの母)の父方、ダストコマンダーの系統に由来します。
ダストコマンダーはBold Ruler系のケンタッキーダービー馬で、カタカナで表記されることからわかるとおり、一度日本に輸入されたことがあります。
皐月賞馬アズマハンターらを出すなどとても成功していたのですが、なんと母国アメリカでも残した産駒からMaster Derby(Doff the Derbyの父)らが出たことで、ついには6年目に買い戻されたという珍しい経緯をたどります。
ところがその後、繋養先&埋葬地の牧場が分割転売され、ゴタゴタのさなかにダストコマンダーの遺骨が紛失してしまいます。
それを不憫に思った現役時のオーナーさん一族が数年をかけて遺骨のありかを特定した、という話題が5年前にニュースになりました。
また脱線しましたが、この馬もダート適性が高いとはいえ、アズマハンターのように芝をこなす可能性もあります。(アズマハンターはちょい劣性期入りしてたので、英国ダービー馬・Mahmoudの影響が強くて芝を走ったんだけどね)
あとは基礎体力34をどうみるか、ですね。
もちろん不安は不安なんですが…。
【スピードサイクルぎりOK判定の馬】
34 ファイブスターの17(牡・父エイシンフラッシュ・1日)
36 ジプシーハイウェイの17(牝・父スピルバーグ・6日)
セレクトセール当時からそう思うのですが、スピルバーグという種牡馬はかなり内包ポテンシャルが高いと思います。
そこかしこのセール、クラブでいい馬を出しており、マイナー系では最もおすすめしやすい種牡馬の1頭です。
【スピードサイクルぎりBAD判定の馬】
37 パールサイドの17(牡・父ゴールドシップ・2日)
39 トリノレージョの17(牡・父シンボリクリスエス・3日)
パールサイドはなんとスペインの2歳牝馬チャンピオン(仏産)で、本馬が初仔と謎だらけの1頭ですが、牝系のサイクルはすこぶるきれいにまとまっており、これならと今後も期待を抱かせるファミリーです。
今年がぎりBADということは、来年もOKに近いサイクルで種付けされることが予想されるので、いい仔が続く可能性が高まります。
【スピードサイクルBAD判定の馬】
29 ノーブルジュエリーの17
31 ウィッチフルシンキングの17
33 プリンセスゴールドの17
35 シーニーンガールの17
38 ベアトリッツの17
40 マルクプレンヌの17
次回からは社台RHさん1歳馬の関西特集に入ります。