本質的にはこのへんの距離がいいアーモンドアイ
マイルでは道中一度何かあったときに巻き返しが難しい、かといって10ハロン以上ではコースの形態によってパフォーマンス発揮にムラが出る…
アーモンドアイのデビューからの全成績を振り返ると、こんな感想を持った次第。
脚質的に後ろで不利を被れば、アーモンドアイといえども挽回は簡単ではないし、さりとて秋華賞のような内回り10ハロンでは位置取り&ゴーサインのタイミングが難しそうな感じだったので、直線がべらぼうに長いドバイの9ハロン芝コースは、今のところ彼女のベスト条件なのだろう。
ならば、ブックメーカーやレーティングを見ても断然の存在であるアーモンドアイで鉄板かというと、話はそう簡単ではない。
基礎体力が平凡であること、ちょうど繁殖期にさしかかる今の牝馬は難しい時期であること…女傑を取り巻く環境は端から見るほど安泰ではない気がするのである。
一矢報いんとする世界の刺客がゾロゾロ結集
ここからは配合に妙のあるライバルをブックメーカーオッズ順に紹介するが、アーモンドアイがいるとわかって出てくるのだから、各陣営ともに何かしら秘策orマル秘情報があるはず。
つまり、侮れないのである。
▼ドリームキャッスル(セン5・父フランケル・UAE)
THE COUNTRY LANE 1966
Bumpkin 80.3.2 2.16〜4.16
Fur Will Fly 94.3.12 ぐ(×) 2.26〜4.26
Sand Vixen 07.2.28 き○ 2.14〜4.14
ドリームキャッスル 14.3.8 き○
1.5+1.0+1.25+1.25=5.0 →63
去勢して以降グンと良くなった馬ということで、現在重賞3連勝中。
ただ去勢したということは、血統的な評価を一新(無効に)することと同義なので、もはや父系がどうとかいう話はあまり意味をなさない。
いちおう血統的には過去4系統のうち古い方から2系統がどちらも同じファラリス(1913)の系統(片方だけが後にネアルコを経由)。
そこにミスプロ、Northern Dancerとかけただけなので、配合自体は見ていてもあまり面白みはない。
気性難は父フランケル譲り(活性値5で優性期)ではなく、母Sand Vixenから来ており、同系配合と少し関係があるのかもしれない。
今まで遠回りしてムダに消費していた基礎体力が本当に生きるのはこれからであり、ここで一気の戴冠もあり得る。
▼ウートン(牡4・父ウートンバセット・UAE)
Judy-Rae 1944
Judy Rullah 53.4.3 3.17〜5.17
Rhubarb 64.4.6 き(×) 3.20〜5.20
Quarrel 73.2.11 き× 1.25〜3.25
Quarrel Over 80.3.28 き× 3.11〜5.11
Quarrel Over Halo 88.5.19 ぐ(○) 5.2〜7.2
Quittance 96.6.1 ぐ○ 5.15〜7.15
Quietude 01.1.10 き× 12.24〜2.24
American Nizzy 07.3.10 ぐ(○) 2.24〜4.24
ウートン 15.2.6 ぐ○
1.75+1.25+1.0+1.75=5.75 →72
母系を長くたどれることでもわかるように、元は米国の名牝系(しかもMAX活性2回)だが、母のアメリカンニジーだけがフランスで走った芝馬。
父ウートンバセットはミスプロ系の種牡馬。産駒のウートンは欧州、米国、欧州、米国という順で種牡馬が配され、ミスプロとNorthern Dancerのクロスが生じている。
MAX活性こそないものの、この馬も豊富な基礎体力が生きるのはこれから。
クロスのせいか道中の折り合いに難があるらしいので、その辺が解消されれば(近道は去勢かもしれないね)母の超初期配合でもあり、ビッグタイトルに手が届く素材だと思う。
▼アイキャンフライ(牝4・父ファストネットロック・IRE)
RUSS-MARIE
Margarethen 62.4.3 3.17〜5.17
Hail Maggie 76.4.8 ぐ○ 3.22〜5.22
Flood 83.4.17 き(×) 3.31〜5.31
Sabria 91.4.7 ぐ○ 3.21〜5.21
Madonna Dell’orto 07.4.4 ぐ○ 3.18〜5.18
アイキャンフライ 15.3.3 ぐ○
1.75+1.75+1.5+1.25=6.25 →78
父 ファストネットロック 2001 活性値5-α
母父 モンジュー 1996 活性値2
3代父 ミスワキ 1978 活性値4
4代父 リヴァーマン 1969 活性値5
5代父 ヘイルトゥリーズン 1958 活性値1
母 MADONNA DELL’ORTO 優先 →リヴァーマン
基礎体力は出走馬中ナンバーワンで、距離さえ保てば打倒アーモンドアイの1番手に推してもいい。
とにかく欧州年度代表馬ロアリングライオンに肉薄した昨年10月のクイーンエリザベスⅡ世Sの内容が圧巻。
追い込み馬なのでハマればという注釈は付くが、その破壊力は折り紙付き。
繁殖サイクルもきれいで、なにより基礎体力の鬼だから(繁殖としても優秀)、昨年の米BC遠征こそ結果が出なかったが、ドバイの水さえ合えば実力を発揮できる健康体。
父は豪州産馬なので北半球換算だと活性値が少なめに見積もられる。よって優先は母自身となり、さらに母の優先祖先からリヴァーマンの影響が強いことがわかる。
リヴァーマンは9ハロンも問題なくこなしたし、本馬が追い込み脚質でもあるので、自分はいわれるほど9ハロンがダメとは思わないが、あとは脚の使いどころひとつだろう。(名手ムーアがそうそう間違えるとも思えず)
この他にも★47のウィズアウトパロール、★69のロードグリッターズらが後ろに控えており、血統分析からだとやはりそう簡単にアーモンドアイが勝つ絵は浮かんでこないのが正直なところである。