▼チャンピオンズC2022 種牡馬の裏と表の話 11.28

左手をケガしてしまいました

大したケガではないが、人差し指一本使えなくなるだけで生活にもけっこう支障が出るもの。とくに包帯をして太くなっているとキーボード回りの作業が干渉&遅いので、動画作成が全然はかどらない。YouTubeだけに時間をかけているわけにもいかず、残念だが動画は一回お休みさせていただいた。

ただ原稿やデータは集めていたので、それらが無駄にならないよう、チャンピオンズカップの過去の勝ち馬たちについて少しだけここで語らせてもらうことにしよう。

月のサイクル 表か裏かは種牡馬にとって大事なの?

今回はダートのG1競走だから、芝に比べれば好走条件として月のサイクル=母からの表のスピードの必要性はそこまで高くない。言ってみれば裏馬だって勝てることを過去の勝ち馬たちが証明している。(表が◎、裏が×、馬名は優先祖先)

ホッコータルマエ × 母〜Unbridled
サンビスタ(牝) ◎ 母〜トウシヨウボーイ
サウンドトゥルー ◎ Loving Sister
ゴールドドリーム × 父ゴールドアリュール
ルヴァンスレーヴ × Kris S.
クリソベリル   × 父ゴールドアリュール
チュウワウィザード ◎ デュランダル〜ノーザンテースト
テーオーケインズ ◎ シニスターミニスター〜Old Trieste

牝馬のサンビスタ、セン馬のサウンドトゥルーを除けば、引退後の現在はみな種牡馬となり、しかも産地で大人気の部類。ただよく見ると、中でもホッコータルマエ、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、クリソベリルはすべてスピード裏の馬で(ダート向きの馬を作るんだという配合意図はおいといて)、ふつうは種牡馬として本当にダートのスピード馬ができるのだろうか、という心配が必ずあるはず。彼らはスプリンターではないのだから。

最近いろいろな方から「種牡馬や繁殖牝馬の選定にスピードの表と裏は関係ないのか」というご質問をいただく。今回の記事は半分そのお答えでもあるのだが、とくに種牡馬に関しては「子孫に形を遺伝させる役割から言っても、スピードの表裏は全く関係ない」というのがドルメロの(いつもの)結論だ。

ちょっと考えてみよう。種牡馬の優先祖先とは「その種牡馬を高活性の歳に種付けしたら、父似として出てくる形」のことだ。つまりホッコータルマエなら母〜Unbridledが、ゴールドドリームなら父のゴールドアリュールが出やすくなる。いっぽうチュウワウィザードだと母系のデュランダルが出るという。

さらに一歩進んで、ゴールドドリームは疑似ゴールドアリュールを付けている、チュウワウィザードは疑似デュランダルを付けている…もしそう考えれば、現役時代に母からスピードを受けていたかどうかよりは、ゴールドアリュールの形そのものを付けたいと思わないだろうか。どうせデュランダルのスピードは遺伝しないのだから。

さらに浅い父似でよい形を遺伝できれば大種牡馬に

ただ細かいことを言えば、ホッコータルマエとチュウワウィザードは浅い父似の時なら父のキンカメが出てくる可能性が高い。ご存じのようにキンカメは欧州系の形であり、とくにUnbridledとは産駒の適性も違うはず。(デュランダル〜ノーザンテーストは欧州系とも言える)だからホッコータルマエは年により産駒のバラエティに富み(米系と欧州系)、チュウワウィザード産駒は根っから深いパワーダートが好ましいと考える。中央競馬で考えるなら、ホッコータルマエは成功確率半々、チュウワは最初から地方競馬向きだろう。

さあそう考えたときに、オッと思わせるのが昨年の覇者テーオーケインズだ。彼はスピードも表だし、優先祖先は父のシニスターミニスター系。見かけのレースパフォーマンスもいいし(昨年の当レースはまさに出色)、単なるシニミニの後継としたって生産者ウケする要素が満載だ。

で普通の生産者さんは知らないだろうけど、彼の母マキシムカフェが母父マンカフェのゼロ活性→サンデーのゼロ、加えて3代前のジェイドロバリーがミスプロのゼロ活性だから、なんと彼の将来の産駒5代目までにできるサンデーとミスプロのクロスが全て無効になるカラクリまでついてくる。これは今の日本では救世主級の福音。

しかも父のシニミニは、その先Old Trieste〜A.P. Indyの形を遺伝させるチャンスがあった馬。A.P. Indyはその父Seattle Slewの優性期産駒で、世界中のダートを走れる形。ただもっと父似が強くなるとVigors、Crozierといった別の米系に行ってしまうので、あくまで父似はほどほどの強さがいいけれど。とにかくシニスターミニスターという地味種牡馬が日本で大成功したのは、一にも二にもサラブレッド形の王様「Seattle Slew」の影響下にあったためと、私は見ている。

テーオーケインズが来春引退するかどうかは、今年のチャンピオンズカップの結果次第だろうが、できれば暮れもドバイもスキップしていただき、来春から繁殖活動に専念してもらえるとありがたい。サンデーもミスプロも気にしないSeattle Slew系のシニスターミニスター後継、そう考えただけでよだれが出るニュースター種牡馬候補。私のお客様には「とにかく彼が引退したらMAX活性期までの3年は続けて付けてほしい」とお願いしたほどなんです。

▼チャンピオンズC2022 種牡馬の裏と表の話 11.28」への7件のフィードバック

  1. こんにちは、素朴な疑問なんですが。
    ジェイドロバリー 1987/1/30生まれ
    ミスプロ 1970/1/28生まれ でミスプロのMax活性に見えるのですが、何かあるのでしょうか?
    グランクリテリウムを勝っているジェイドロバリーが+30近いズレを持つとも考えにくいのです。ミスプロが大きなズレを持っているのでしょうか?

    1. 月友さん、こんにちは。
      ジェイドロバリーの誕生日に関しては、JBISですと1987年3月14日生ですね。エクイベースでも同様なので、3月14日生でいいと思います。

      1. お手数をおかけしました、最初に出てくるWikipedia ばかり見ていました。同年生まれでもジェイドはMin、マキャベリアンはMaxなのですね。
        先日帝王賞があり、テーオーケインズは3着でした。昨年交わされたメイショウハリオ、チャンピオンSで差し切られたジュンライトボルトがいては用無しかと思っていましたが、血統構成の優秀な馬は打たれ強いのかもと思ったレースでした。

  2. ドルメロさんお疲れ様です。おケガはその後いかがでしょうか?
    ワタシの出資したカネフラが昨日未勝利勝ちをしまして、ひと安心しました。今週は明後日に千歳に行って出資馬の様子を見てきます。
    日曜は、20年目にして有馬記念に初参戦(お目当ては最終レースの出資馬トップキャストですが笑。)してきます!

    また、地方共有馬でビーチアネラという馬が、大晦日の東京2歳優駿牝馬(S I)に出走するので、お時間がありましたら、ぜひ観てあげてください(ワタシは現地参戦します!)
    それでは早いですが、良いお年をお迎えください!

    1. 十兵衛さん、相変わらずお忙しそうですね。というか動きにますます拍車がかかった感じ?
      私のケガは大丈夫です。冷えるとまだちょっと渋い感じです。
      出資馬が順調そうでなにより。
      ビーチアネラ、楽しみですね。母系にすごく力がある(MAX2回)ので、このお母さんまだまだ狙い目かも。
      22年産駒は父パイロのゼロ活性産駒ですね。募集されたら狙ってください。
      もちろん中継見ますよ。
      来年も変わらずよろしくお願いいたします。良いお年を。

  3. ダート路線の大改革の情報がリリースされました。三歳路線以外にも古馬や牝馬路線の整備までは予想外でした。全てのダートグレード競争の国際化宣言は大きく思いきった宣言だと思います。個人的な感想はお茶を濁した感じになると思っていましたがここまでやるとは良い意味で楽しみになりました。

    1. 私も一度は読んでみましたが、さすがに全部は頭に入ってきませんでしたw
      早く確定の新しい日程表がほしいところ。
      ただこれでダート馬の価値が爆上がりになることだけは確実ですね。
      当然、クラブ事情もセールも変わってきます。

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