JRAが行う引退競走馬に関する環境を改善していく取り組みの窓口
昨年からJRAの年次事業説明のような会見でもコメントがあったのだが、今年の6月にいよいよJRAが音頭を取って引退競走馬のための活動窓口を立ち上げた。それが一般社団法人TAW(Thoroughbred Aftercare and Welfare)である。
事業の概要としては、引退競走馬の養老・余生等に関する取組みを行っている団体等(引退競走馬のセカンドキャリア促進のための活動と併せて、これを実施している者等を含む。)について、検討委員会で「その活動が引退競走馬を取り巻く環境の改善・向上等に結びつく優良なものと認められた場合等」にその活動を支援する活動奨励金を交付する事業」(HPより抜粋)ということで、まあ大まかに言えば下々の活動資金、お金の流れを統括する団体なのだ。
そう聞くと「なんだお金の話か」とちょっとガッカリするかもしれないが、実はそこが一番大切かつ難しいところで、今現在、雨後の竹の子のように乱立しつつある「引退競走馬の環境改善」法人、牧場に対して、一定の審査基準でお墨付きを与える作業が加わるので、私たちのように毎年新たな寄付先探しに難儀している者からしたら、間接的ではあるがやっと安心して寄付を続けられる団体がわかるという喜びがある。
このTAWからいったん交付された奨励金については①使途に制約がある②その後の報告も必要③TAWの調査もある、となかなかにしっかり管理されるので、中小の団体では「いっそTAWには関わらない方がよい」まであるかもしれないが、引退馬活用をほんとうに持続可能な活動として盛り上げていくためには早いうちからこのような統制が必要で、その点ではJRAの施策を評価したい。
さあ来年以降の寄付をどうするか
私のYouTubeチャンネルでは、毎年皆さんにご購入いただいたデータの売り上げから経費を引いた分を大部分寄付の方へ回している。以前は寄付先が重ならないように新規を探してという作業をしていたが、昨年からはある1箇所に決めてそこへ毎年寄付するスタイルに落ち着いた。
ただそちらも今年からは「非営利団体の税控除対象」から外れてしまうそうで、今年の夏前に最後の寄付を済ませたので、できれば今後は新たな控除対象団体があればいいなと思っていた。そこはみみっちい話で税控除はなくても寄付する気は満々なのだが、せっかくなら税金よりは寄付に多く回したいので。
そこにこのTAW設立(TAWってなんかプロレス新団体みたいだけど)の話が舞い込んだので、ここはTAWに直接寄付の受け取り先になるかどうかについて、を一度聞いてみようとただいま本部にメールにて問い合わせ中。進展があり次第、新年の活動方針動画でもお伝えしたい。
活動団体の懐事情は厳しい
さきほど述べた「控除対象から外れるNPO」も、別に悪いことをしたわけではなくてどうも「一定の会計規模を満たすことができなかった」ので今後対象外になってしまう様子。つまりお財布が小さすぎて「あなたは寄付なしでもやっていけるでしょ」みたいな突き放され方をしたということらしい。いや私は税法に詳しい人ではないので詳細はわからないが、こういう団体の懐事情が厳しいのはご存じの通りで、善意の寄付が一番頼りになるのは言うまでもないのだが。
今回こうして一番の大元であるJRAのような組織が立ち上がったからいいようなものの、ユニークな取り組みをしている小規模の牧場などが今後このTAWの厳しい審査から漏れて奨励金を得られず、ゆくゆくは活動の停止に追い込まれることだって十分にありうる。そのへんのジレンマが相変わらず私たち競馬ファンにはどうすることもできず、歯がゆく感じる。小さくたって志の高い団体は大勢あるからね。
私どもドルメロチャンネルでは、今後もクラブデータを作れる限りは寄付を続け、年一活動報告をしっかり行っていくので、変わらぬご支援を頂ければと思う。