※これは4月14日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は、3歳牡馬クラシックの第一弾、皐月賞をじっくり解説していきます。
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今年の皐月賞、巷ではあの馬の1強だろうという声が圧倒的に多いようですが、先に申し上げるとドルメロは「今年の3歳にそこまで飛び抜けた強い馬はいないのではないか」と考えています。
もしあの馬が実際本当に強かったとしても、「1強」というワードは古今東西荒れるレースの代名詞ですから、薄めに抜ければ配当面では期待できそう。
EQ指数を使いながら、2番手以降の馬たちもしっかり順位付けしていきましょう。
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さて私たちが重賞でEQ指数を使うときに大切なのは、各馬がどんな経験を積みながら皐月賞まで駒を進めたかを正確に知るということです。
その経験の中でもとくに重要なのが、序盤のペース、つまり初速です。
これは昨年もご覧に入れた図ですが、デビューした新馬たちは、一般にまずペースがとても緩い新馬戦でデビューします。
ですからいくら新馬戦の緩い流れで強い勝ち方をしたからといって、次の1勝Cでも即勝てる訳ではありません。上のクラスではまた初速が違うからです。
しかし中には次の1勝Cも緩いペースにのって、まんまと連勝する馬もいる。
逆に新馬のペースには合わなかったけれど、少し流れる速いペースに乗って未勝利を勝てたという馬もいます。
いつも言うように、個々のサラブレッドに適したペースは通常かなりピンポイントで狭いものです。
緩くても厳しくても一発対応できる名馬はそう存在しません。しかもたいていの馬は前のレースと同じように走るのが得意なんです。このズレが穴馬を生じる理由になります。
となると、春の最終目標・皐月賞がスピードを競うレースであるならば、3歳牡馬はどこかで1回ペースが厳しいレースを経験して、かつ好走している必要がありそうです。
どんな期待馬も、いつまでものんびりぬるま湯ペースに浸かっているわけにはいかないのです。
ところがときに、世代全体が春までこのぬるま湯に浸かり続ける年が存在します。
まさに「赤信号皆で渡れば怖くない」「ゴルディロックス世代」なんです。
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そして実は困ったことに、今年の3歳がそのぬるま湯世代だったんです。
まずは今年の皐月賞で逃げ候補となる馬たちの、実戦ペース配分から見ていきましょう。
今年の先行候補はいずれも過去に初速12.6というペースを刻んだ馬ばかり。
ローランドバローズは回避しましたが、もし残る2頭が互いに主張し合う展開ならHペースになる可能性もあるんでしょうが、本当の徹底先行型といえるのはジーティーアダマンだけですから、恐らくは本番もジーティーの単騎逃げが濃厚です。
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加えて逃げ馬の持ちペースだけでなく、ここまで行われてきた3歳重賞、皐月賞トライアルのペースがまたほとんど初速12.6秒か、それ以上かかっているユルユルのレースばかり。
主な重賞でハイペースを刻んだものといえば、きさらぎ賞と朝日杯の初速12.4くらい。ただどちらも10ハロン戦ではありませんし、正直そんな大したハイペースでもない。
EQ指数における10ハロンの12.6という初速は、本当に速くも遅くもないちょうどいいラップ。
だれもが走りやすいから、得意不得意を隠したまま全馬こうして本番まできてしまった。
とくに中山で行われた重賞がことごとくこの流れできているので、ファウストラーゼンのマクリが毎回面白いように決まる決まる。
まるで全馬が初速12.6秒の魔法に掛かったような状態なんですね。
こうなると、だれも別のハイペース世界線を知らないし、かつ今度新しく入ってきた逃げ馬もまた12.6秒で逃げようとしている。
もうがんじがらめの12.6秒世代。昨年とは大違いなんだよなあ。
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ということで、もう今年の皐月賞の初速は12.6でいいですよね?
前後プラマイ0.1秒の余裕は取るけど、12.6で問題ないよね?(なげやり)
はい、じゃあ多数決で決まったので、今度は過去初速が12.6くらいだった年の皐月賞を見てみましょうよ。
次のコーナーでは、ジオグリフの年、エポカドーロの年、そしてドゥラメンテの皐月賞を検証します。
(7)(5秒ジングル)
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皐月賞はここ10年で3回、ぬるま湯ペースが出現していますが、このうち一番近い22年の皐月賞も、今年と似たような理由でぬるま湯になっちゃった。
とにかくやるレースやるレース、毎回初速が遅かった。
若き日の弾丸小僧デシエルトでさえ、若葉Sの逃げ初速は12.6。
しかも肝心の本番では逃げられずという失態を犯す始末。
この世代、古馬になってから強かったことは間違いないんだけど、こと春のクラシックに関してはみなそんなに飛び抜けたスピードを見せていた訳ではありませんでした。
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で、ぬるま湯皐月賞の初速がきまるパターンには2つあって、ひとつは22年とかこの18年とか、やるレースが毎回同じ初速で収束してしまうパターン。
18年は良なら12.5と予測したんでしょうが、当日の稍重で12.6になったのかな。でもある意味計算通りだよね。
15年は、皆が持っていた適性自体はもうちょい遅かったけど、幸いにも確固たる逃げ馬が1頭いて、それで何とか皐月賞らしい格好を付けた年かな。
ドゥラメンテもリアルスティールもまだそんなに目覚めてはいなかったけど、持っているものが違ったんだね。
となると今年25年は、この2パターンが合体しちゃった例とでもいうのかな。
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でもこうやって初速をきちんと予測しておかないと、今年の3歳牡馬路線では一度痛い目に遭っているでしょ。そう1月の京成杯ですよ。
このレース、人気どころがことごとく初速13秒台の新馬を勝ったばかりだったのに、すぐに12.6ペースの重賞に放り込まれて全滅。
逃げ候補の持ちラップからも初速12.6〜7になることはすぐに予想できたし、逆に勝ち馬たちがすべて12.7に対応済みだったことも事前にわかっていて、なおかつこの結果だからね。
いくら12.6自体が速くないっていっても、いきなり経験馬の群れに放り込まれれば、意外と対応できないモンなんスよ。
今年の皐月賞にもそういう危険馬がいるから、ちゃんと調べてみてくださいね。
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で、どこの重賞組が怪しいかが一発でわかる表がこちらですね。
このあとは今年の予測ペース12.5〜12.7に合致する重賞好走馬から、まずはEQ指数を比較してさらに血統をみていこうと思うんだけど、もちろん初速12.6より速いスピード組、こちらにも可能性がないとは思わない。
ただ今年はペース的に折り合い重視の我慢比べになるだろうから、一番いいスピードが活かされない危険はあるよね。買いたい人はそこをふまえて検討してみてください。
私はこの網がけの中の馬を中心に考えていきたいかな。
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ここからはいよいよEQ指数を出していくけど、まず逃げ先行馬たちは12.6で先行する以上、途中でファウストラーゼンのマクリにお掃除されそうで、残念ながら今回は見送りでしょう。
でもジーティーアダマンは、いい中距離のスピードを持っている馬ですよ。
このあとどこかで重賞勝てる器ですね。
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じゃあその後を追走する差し馬勢はというと、指数的にはもうほんと大混戦。
クロワデュノール1強説がふっとんでしまうほど、数字上では競っているんですよね。
でもクロワデュノールの何がスゴいかというと、もう2歳の12月時点で皐月賞勝ちに匹敵する指数をちゃんと出していること。
あとの黒字の3頭の指数は、3歳春になってからの成長を加味した指数であって、もしクロワデュノールも型どおりに成長しているなら、やっぱりライバルを吹っ飛ばす指数を出す可能性は十分にある。休み明けだからそこはわからないけどね。
ライバルの指数成長をみると、ファウストラーゼン、ジョバンニ、サトノシャイニングはみな3歳になって指数を0.4とか0.7ずつ伸ばしているでしょ。
ならば今のクロワデュノールだってポンと2.0くらい出す可能性はありますよ。その辺は想像でしかないけど、楽しみではありますよね。
次のコーナーでは、この太字4頭の血統を見ながら、いよいよ最終結論に迫っていきましょう。
(14)(5秒ジングル)
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まずはクロワデュノールです。
父キタサンブラックのミニマム期、かつ母の遅い時期の傑作ということで、最近のクラシックにしては珍しいタイプの人気馬ですね。
データ的にはやや弱点が多い馬で、とくに予定日ズレの大きさは気になる。
プラスの21だから、3歳春ではまだまだ全然身が入っていないし、大きく成長する時期でもない。イクイノックスみたいなタイプですね。この時期を無事に乗り切れば、秋にもりもり強くなる感じ。
イクイノックスも3歳春後半は足元に疲れが出たり大変な時期がありましたし、本馬も基礎体力が低いので春は大事にいきたいところですが、逆にこの数値で今があると思ったら、相当の名馬だという可能性もあります。
残念ながら月のサイクルが裏と思われるので、距離延長は問題なしなんですが、意外にこの皐月賞が一番落としやすいカテゴリーかな。パンパンの良だとなおさらね。
父のミニマム期&クロスのセット配合が効いて、スピードをどこまで補強できているかでしょうね。
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2頭目はサトノシャイニングです。
母のスウィーティーガールはアルゼンチン産馬で、以前私POGで兄のサトノガレオンを取ったことがあるんです。母父がゼロでいいお母さんだなと思って。
でもその兄は母の活性値が7.5くらいだったから基礎体力がまだ標準以上にあった子なんですよ。ところが本馬は母のミニマム期近い子なので、基礎体力がうんと低い。しかも予定日ズレが+24。いまはホントに素質だけで走っている状態ですよね。
今回は2か月の休み明けもあって十分回復していると思いますが、ここから皐月賞、ダービーと連戦していくうちに、何か問題が出てこないだろうか。そういう心配はいつもあります。
スピード能力は高くても、きさらぎ賞のあと私が強く推さなかった理由もそこら辺にあります。
無理するとすぐしぼんじゃう子だと思うので、こういう一流の厩舎にいること自体が安心感に繋がります。ぜひ完成形を見たい馬の1頭です。
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3頭目は、ファウストラーゼンです。
今年の皐月賞の展開のカギを握るマクリの魔術師、ですね。
でもこの予想展開ならみたび、マクルことはできると思います。予想の初速にブレがない限り。
本番ではやらないだろとか、一部では軽く見られがちですが、ある意味ジョッキーが促さなくても馬の行く気に沿ってやっているなら簡単ですし、すんなりマクルでしょうね。
そうしないと彼の全力出したことにはならないし。
モズアスコットの父似産駒にしては、初めから距離もこなしてずいぶんと個性派を出したものだと思いました。この辺は月のサイクルが裏のせいですかね。
予定日ズレも大きめで決して今が完成形ではないですが、父の可能性を大きく広げたという意味で、立派な孝行息子になりました。私たちの思っている以上に力のある馬ですよ。
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そして今年の皐月賞で私が本命にしようと決めた馬、それがこのジョバンニです。
表向きちょっと勝ち味に遅いし、前走若葉Sもきっちり捉えはしましたが辛勝という感じで、派手さが全くない。
ただその若葉Sは指数的にここでも最上位の扱いで、回避しなければ2着のローランドバローズも評価したいと思ったくらい。
同じ2着でもホープフルSと京都2歳Sは全然違う内容。
京都2歳Sは初速が遅すぎて、ジョバンニには合わない展開を追い込んでの2着。
ホープフルはやっと適正ラップにハマって、実力を出した2着。
その辺を正確に読み取りたい。
父エピファネイアの劣性期にNorthernDancerクロスで補強、形の源Footstepsinthesandは
その父Giant’s Causewayか、またはGreen Dancerに遡るようで、クロスの受け皿としては十分適していますよ。
月のサイクルが表、予定日ズレが+2、今の成長曲線の違いでライバルを出し抜けないか、という感じ。ドウデュースの立場にも似ているでしょうか。
杉山厩舎と松山Jのコンビに、ここも期待しています。
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皐月賞2025 G1解析動画 いかがだったでしょうか。
今年のように予想ペースの遅い皐月賞で好走すると、このあとのダービーにもかなりの高確率でリンクすると思われます。(ドウデュース3着→1着、エポカドーロ1着→2着 ドゥラメンテ2冠)
12ハロン戦ではこれ以上速い逃げ馬も来ないでしょうし、むしろもっと遅いペースへの対応が必須かも。青葉賞あたりからはたして新星が現れますかどうか。楽しみですね。
今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。
(20)(5秒ジングル)