※これは5月19日YouTube動画の台本原稿です。
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こんにちは、ドルメロチャンネルです。
さて今回は、現在も改良真っ最中のEQ指数・改を使いながら、牝馬クラシックの2冠目オークスを展望していきます。
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先日コミュニティでもお話ししたとおり、京都新聞杯のあと長距離戦のEQ指数について、とくに事前にスローになりそうだとわかるレースに関してひらめいたことが一つあります。
今回はそれを試してみたいのですが、その前にまずは一番簡単なオークスで使えるラップ攻略の話をひとつしておこうと思います。
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これは22年のオークス動画で使った図なのですが、実はこの年のオークスは大きなラップ差を経験していた馬から順番に買えば簡単に当たった年でした。
勝ったスターズオンアースと2着スタニングローズは、ともに遅いラップと速いラップの差が3秒をこえるようなレースの経験馬で、3着のナミュールはのちにマイルCSを勝つ一流マイラーへ成長しますが、その彼女でさえラップ差2.8秒という珍しいレースを経験していたんです。
ただし、ラップ差が大きいレースと言ってもその全部がスローの長距離戦であるとは限りません。
ときには新馬戦やマイルの特別戦でもこのようなラップ構成が発生しますから、このあたりは誤解がないようにしなければなりません。
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でもういきなり、今年25年のメンバーで大きなラップ差を経験していた馬がどれくらいいるか、を表したのがこの図です。
上の数字がラップ差で、馬名の下カッコの中は1コーナーの位置取りです。ラップ差が大きいレースでかつ初手の位置取りが後ろの馬の方が、難なく距離をこなす資質があります。
ひょっとするとこれがもう結論でいいんじゃないか? 動画はここで終わりか?という危険性もありますが、後半はちゃんとまた別の話をしますね。
全体の傾向としては、今年の出走馬たちはそんなに大きなラップ差の経験はありません。
最大でカムニャックとパラディレーヌのラップ差2.4秒、2.1秒まで調べると経験馬がどっさり現れるのは毎年のことで、スターズオンアースらのようにものすごい特徴的なラップ差3秒以上みたいなレースを経験した馬はいない。
2.4と2.1はもう誤差の範囲内でしょうね。
それでもカムニャックやパラディレーヌに距離をこなせるアドバンテージがあるのは間違いないところで、こういう馬は折り合い面で全く不安がありません。
そしてつづくレーゼドラマ、彼女が今年のオークスで展開のカギを握る先行馬ではないかとみていまして、後ほど彼女を中心にEQ指数の話をしていきます。
さらには桜花賞を勝ったエンブロイダリー。彼女も今年のメンバーに入れば距離面での不安は少ない方です。桜花賞組は毎年距離不安説が高まりますが、彼女はむしろそこそこ距離をこなす馬と見るべきかも。依然として今年のオークス有力候補ですね。
(5)(5秒ジングル)
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さてここからは新しい指数に興味のある方だけ見てもらえばいいのですが、先日行われた西のダービートライアル京都新聞杯では、残念ながらEQ指数がうまく機能しませんでした。
もちろんいつものように、先行馬から初速を予想し、それに合うペースの過去指数を出して、上位の馬から馬券を組み立てようとしたのですが、結果として私の予想とは正反対の結末に終わった。
つまり指数がある程度大きい組、遅く走ってきた馬たちの組み合わせが上位になったんです。
いくらスローだったとはいえ、これは根本的に何か違うぞ? とっさにそう感じました。
そこで中距離以上でスロー確定のレースでは、もっと別のアプローチ法があるんじゃないか、私はそう考えたんです。
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そこでレース後改めて、京都新聞杯の指数を出すまでの過程を見直してみました。
もともと指数系の馬券術はスローの展開が泣き所になりがちです。
個別の馬の指数はわかるけど、それがスローになると実力の8割も発揮されなくて、上下差が縮まる。
すると穴馬にもチャンスが生まれる。
従来はそういう差し引きを指数上でうまく表せなかったし、また補正しても正確じゃなかったわけです。
実際、京都新聞杯でも初速の12.8は私の予想の範囲内にちゃんと収まっていました。
ただそこからあとのラップが予想外に緩くて、3F目が12.9、そこからあとの3Fがすべて13秒台でしたから、これは速く走ると言うよりは我慢比べに近い展開。
スピードのあるトッピボーンらは折り合いに非常に苦労している様子でした。
結局、京都新聞杯全体の指数としては初速12.8の5.1。トッピボーンの未勝利戦の指数は初速12.7で4.0ですから、これはひとことで言ってトッピボーンが速すぎる。逆に過去同じ初速で出て、5.0以上の指数で勝ってきた馬たちにスローの適性が向いたわけです。
そしてむしろ戦前から私は、こういう予想をしなければならなかった。
スローの時は速さより適性を追え、と以前から自分で言っていたのだから。
そのためには道中でどのくらいラップが遅くなるか、いやいやもっと極論すれば今回のレースがスローの中でもどのくらいの指数で決着するのか、そこが事前にわかったらトッピボーンとは正反対の適性馬を推すこともできたのではないか。
ん? それってひょっとして、レース前にもう、結果の指数を予想しちゃえってこと?
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そんなやる前から答えを探すような方法が、ホントにあるんかいな?(あるんです)
そこで私が目を付けたのが、毎回初速予想のために使う、逃げ馬の成績です。
京都新聞杯で、私は大外オーシンエスの逃げを予想しました。
実力的には足りない感じでも、展開面で前々に位置してチャンスをうかがう馬であることは明白でしたし、それが彼の出走する使命だと思ったから。
このオーシンエス、小倉の未勝利戦で初速12.5 指数4.5という数値を出して逃げ切っています。
これを参考に、京都ではさらにスローを想定しかつ稍重の馬場状態を加味することで、私は京都新聞杯の初速を12.6〜12.8と予想したのですが、そうであるならば、レース全体の決着タイムならぬ決着指数をこのオーシンエスの逃げから計算してもいいのではないか。
わかります? このオーシンエスの指数4.5に、もう少し初速を遅くして稍重のファクターを加えたら…そうだなあ…決着指数を4.7〜4.9くらいと軽く見積もってしまってもいいのではないか、ということなんです。
実際のレースでは彼は逃げられませんでしたが、結果的に予想の指数と実際のレース指数にそんな大きな乖離はなかったですしね。
そしてこの想定指数はいうまでもなく、オーシンエスの逃げきりが見事に決まったときの指数であるとも言えますよね。
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このように、スローの逃げ切りなら大体こんな指数で決着するだろうという仮定のレース指数のことを私は「推定最大好走値」と呼ぶことにしました。
この推定最大好走値を出すことで、EQ指数はスロー戦にも対応可能になると思います。
では実際にどうやって使っていくか。
まずは今回のオークスにおいても、その推定最大好走値を出していきましょうか。
ここで参考となる先行馬がレーゼドラマです。
逃げの候補は他にもいるし、途中で折り合いを欠く差し馬だっているかもしれない。しかし彼女の場合すでに12F戦のゆりかもめ賞で先行経験がある。かつそこで6着にちゃんと走り切っているのがサンプルとして最適なんですね。
またオークスというG1は12F戦ではありますが、初速に関してはそうスローに始まるG1ではありません。
むしろ最初は出していきながら、徐々にどこかで様子を探って折り合っていくことが多いです。
よってレーゼドラマの勝った未勝利戦の初速12.9は、ことオークスでは実現しない初速であって、指数の参考にはなりません。
あくまで毎回初速ありきでスロー戦を考えるのがキモとなります。
さてレーゼドラマのゆりかもめ賞6着の参考指数をそのまま計算すると、5.2という数値が出てきますが、皆さんの予想通りこの指数はもっとブラッシュアップできます。
というのは、ゆりかもめ賞の2着馬3着馬がともにその後青葉賞に出て好走しているからです。
3歳馬は指数を伸ばす成長期にありますから、ゆりかもめ賞の指数にどのくらいプラスマイナスすれば現在の実力になるのか、それが牡馬の成績からわかります。
ゆりかもめ賞2着のファイアンクランツ、3着のアマキヒは青葉賞でもその位置関係のまま2着と5着に入っています。
青葉賞も初速は12.7でゆりかもめ賞とほぼ変わりませんし、この指数差をそのまま成長度と取っても良さそうです。ゆりかもめ賞と青葉賞の指数差は4.9ー3.7=1.2。
よってレーゼドラマの先行で始まると仮定する今年のオークスの推定最大好走値は5.2−1.2=4.0 4.0と推測できるのです。
で、肝心のオークス馬券は、この4.0に近くてかつ4.0より大きな数値で好走した馬を探すのがいいです。
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参考までに、このオークス4.0という指数が、例年と比べてどんなレベルにあるのかを示したのがこの表です。
初速12.4〜12.6のとき、指数は2.7〜4.0と非常に広い範囲に分布しますが、3.0を切ってくるような年は勝ち馬を見てもすでにその時点で古馬の重賞級かG1級のレベルにあると思われます。
4.0という数値は最近のオークスの中だと最も遅い部類に属しますので、今年に関してはやはり速さより「遅い適性」を持った馬を狙うのが的中への近道と言えそうです。
(11)(5秒ジングル)
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ここからはEQ指数・改を使って、今年のオークス出走馬の中から有力なスロー適性馬を探していきます。
まずは人気馬の中から。
初速12.4〜12.6、指数4.0以上という前提の中では、アルマヴェローチェ、リンクスティップ、ビップデイジーあたりがスロー適性を感じる馬たちです。
とはいえ、どの馬もわずかながら初速や指数の条件を外れているのは確かで、この中では指数が最も大きいリンクスティップを挙げておきます。
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続いては、人気薄の馬たちから。
注目したいはむしろこちらの馬たちの方でしょうか。
オークスは言い換えればスピードの足りない牝馬たちの目標レースでもありますから、ここまで穴馬の成績が振るわないように見えるのは当然のこと。
その中でも毎回崩れず上位に食らいついている馬を探したいところ。
まず1頭目は、忘れな草賞の勝ち馬サヴォンリンナ。彼女についてはのちほど詳しく解説しますが、前走・忘れな草賞よりも未勝利戦の方が価値が高いスローレースでした。
そして正真正銘、今年の爆弾候補として挙げておきたい1頭がウィルサヴァイブ。
実は彼女は母クラシックリディアの真のMAX活性産駒にあたります。それでいてスピードがない?というのもおかしな話ですが、そこはあくまで速い脚を使えるかどうかの適性であって、長い距離を走らせてみれば思わぬ素質を示してくれるかもしれません。
ここ2戦ほど妙なスローのマイル戦にハマって好走しているのも決してフロックではない。夏以降、距離延長してきたときにもぜひ狙ってみたい1頭ですね。
あとは抽選しだいでサタデーサンライズ、タイセイプランセスかな。
ではサヴォンリンナに関して、血統など少し詳しく解説します。
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これがサヴォンリンナの5代血統表です。
彼女はG1レーシングさんの所属ですから、昨年のクラブデータに登場した牝馬ですね。
セットで出している読み物の中で珍しく「この世代のクラブ代表になれるかも」と激推ししちゃった私。当時サトノダイヤモンド産駒の牝馬を推すってなかなかの武勇伝だったと思うのですが、思ったより早く日の目を見た感じで、ホット胸をなで下ろしています。
そこは彼女自身の血統というより、お母さんのサイマーがスゴく面白い血統構成なんですね。牝馬クロスがあったりで。
そこへ父サトダイのゼロ活性も相まって仕掛けクロスがうまく発動すれば、牝馬でもあり、おもしろい馬になるという直感がありました。兄のサンライズジパングも別の牝馬Crimson Saintのクロスを生じていますね。
で彼女を激推しするもうひとつの理由が、母サイマーの真のMAX活性産駒であることです。
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先ほどのウィルサヴァイブと同じく、サヴォンリンナも母サイマーのMAXを表で引き継いでいます。
牝系の月のサイクルをみますと、3代母Seraliaのところに初回発情の形跡があるので、ここが現在でも表の判断基準となります。
ですから祖母のSerisiaも、母のサイマーも表ですが、兄のサンライズジパングは残念ながら裏で、その年の初回発情、ほんの一瞬のMAXチャンスを生かし切ったのが本馬サヴォンリンナというわけです。
母サイマーの種付け日はもちろん正確にわかりませんが、少なくとも30日後を待って種付けしたのではサヴォンリンナは逆に母のゼロ活性産駒となってしまった可能性が高いです。
最高の種付けチャンスというのは、このように時間軸の奇跡的な推移で訪れることが多いです。それを待っていても容易に流れてしまうし、企画してもそもそもが裏の年だったりと、MAXを活かす戦略なんて偶然も偶然、奇跡が重なった結晶体ですね。
真のMAX産駒の割合としては毎年の全クラブ募集馬の中なら2、3頭、1歳セール馬を2000頭くらい見れば10頭くらいはいるのかもしれません。
しかもそのすべてが発動するわけじゃないし、ロマンもいいところ。でもそのロマンを追い求めて種付けをお願いしている私のような者もいるワケです。
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優駿牝馬オークス2025、G1解析動画、いかがだったでしょうか。
いよいよ次週は競馬の祭典・日本ダービー。春競馬最後の定期動画となります。
近年ダービーはスローでもミドルでも先行してなんぼの厳しいレースに変わってきていますが、そこでもEQ指数・改を活かせるのかどうか、ぜひご期待下さい。
今回の動画はここまでです。
ご視聴ありがとうございました。