つづいては、とにかく自分が初めて名前を聞く外国産牝馬の産駒や、引退馬の注目初仔の特集です。
セレクトセール2019にはかなりたくさんの初顔組が登場しますが、その中でも18年産駒の判定がよさそうな母だけをご紹介します。
セレクトセール2019 1歳馬・母新顔、初仔産駒編
9 ファイナルディシジョンの18(牡)
父 Into Mischief
→ぎりBAD3日
初仔
【 優先祖先 】 Ribot(1952)
【 基礎体力 】 ★53
3代父と2代父の間に実に40年もの歳月が流れ、2代父と父の生まれ年が逆転しているという一風変わった配合です。
とくに祖先の父と今の父の年齢が逆転している現象を嫌う人がいます。
自分はそういう視点で血統を見ていないので基本スルーですが、まあ人間の世界で考えてみてもちょいちょいおかしな現象ではあります。
本馬は古い先祖の方、3代父His MajestyがMAX活性で優先はフェデリコ・テシオの大傑作、無敗で凱旋門賞2連覇のRibotということになります。
Ribotが優先という現代の馬もけっこう珍しいですね。
今見られる肖像や写真などから、Ribotは白いところのない鹿毛馬であったと推測されます。幼少期のあだ名はイル・ピッコロ(おちびちゃん)。馬体が小さめだったんですね。
しかし競走時代はさほど小ささを感じなかったというのが定説ですから、よほど成長力に富んでいたのでしょうか。
本馬も初仔でRibotが優先とくれば、馬体は想像以上に大きくなることはないかもしれませんが、どことなくRibotの面影がある気はします。
Ribotだから芝のクラシック適性とは言い切れませんが、持続力を武器とする馬になるのは間違いないでしょうね。
父と母の両方でダブルMAX活性のHis Majestyクロスがあることは心配です。
15 エレクトラムの18(牝)
父 ハーツクライ
→OK
初仔
【 優先祖先 】 サンデーサイレンス
【 基礎体力 】 56
祖父サンデーそっくりの流星と右後一白の形。
父ハーツとは白の位置が反対で、やはり優先が祖父まで届いている証拠でしょうか。
ハーツクライも2回目のMAX活性期を迎えたことで、平常時でも強かったNorthern Dancerの活性値がさらに強くなりました。
本馬の母系にはHigh Chaparral経由でサドラーが通っており、その活性値は0.75×0.25=0.1875>0.125で、多少なりとも生きてはいるでしょうが、うまくいけば影響は最小限で済むかもしれません。
19年のモーリス産駒はその辺がクリアになって、サドラーのクロスも回避できています。
将来的に母は劣性期の種牡馬が付けられると、3代父Mister Baileys(1991)という馬の活性が強いので、芝のマイル以下でよりスピードを活かす産駒が出やすくなります。
腹袋のラインがきれいで自分の好きな牝馬の形に近いですね。
137 ハヴユーゴーンアウェイの18(牝)
父 ディープインパクト
→OK
初仔
【 優先祖先 】 ディープインパクト
【 基礎体力 】 ★72
これも見るからに父ディープの牝馬という感じですが、後肢のつなぎがかなり立ち気味に見えます。
ハーツ同様、ディープも18年産はNorthern Dancer活性が強くなっている種牡馬。
父系Alzao経由と母系Wild Applause(牝)経由のNorthern Dancer活性値はちょうど同じくらい(0.75程度)で、これは何かしら影響があっても仕方がないレベルです。
母は将来的に劣性期の種牡馬が付けられると、4代父Caller I. D.(1989)というダートスプリンターの影響が強くなるので、本馬と全くタイプの異なる産駒が出やすいです。
基礎体力が高いファミリーなので、もう少し柔らかい体の持ち主なら狙ってみたいかなぁ。
157 アルティマチャームの18(牡)
父 シンボリクリスエス
→OK
初仔
【 優先祖先 】 3代母エアトゥーレ 芝マイル
【 基礎体力 】 ★75
シンボリクリスエスとはまた思い切った初仔のお相手。
体が小さくなることを見越しての大型父配合でしょうか。
結局父は劣性期のため、3代母エアトゥーレの父トニービンに引っ張られて母似の仔になります。
母や祖母同様、芝でスピードを活かすタイプと見ていいでしょう。
もう少し活性の弱い父を付けると、トニービンそのものやトニービンの祖母Priddy Fair(1956)のように欧州系中距離馬が出る可能性もあります。
これから8歳を越えてくる人気種牡馬との配合に注目しておきたいですね。
動画ではもうちょい元気が欲しい気はします。
167 カラズマッチポイントの18(牡)
父 ドゥラメンテ
→OK
+1か月10日 3番仔
【 優先祖先 】 母カラズマッチポイント ダート中
【 基礎体力 】 ☆☆91
父ドゥラメンテはまだまだ自分の形を出せる時期ではありません。
母似の栗毛でOKです。
本馬もダート馬という見立てならこの程度の歩様でいいと思います。
キビキビしているけど、芝はキツいかな。
4代父Key to the Mintの活性が高いので、母似だと本馬のようなダート馬が出まくります。
ミスプロのクロスもまあまあキツいですね。
19年産駒はディープインパクトのMAX活性産駒らしいのですが、逆に母はゼロ活性みたいなので(惜しいなぁ)、単なるいい馬で終わらないことを祈ります。
209 エメラルドヴァレーの18(牡)
父 マジェスティックウォリアー
→ぎりBAD12日
+6日 3番仔
【 優先祖先 】 祖母エメラルドアイル 芝中
【 基礎体力 】 ★★72
本当なら?判定に入れるべき「ぎりBAD12日」だし、もうすでに母のミニマム期産駒だけど、このエメラルドヴァレーという繁殖そのものがいいので、ちょっとだけご紹介。
ご存じビューパーダンスの牝系で、祖母、母とMAX活性を2回重ねて一躍(自分だけの)注目繁殖になった母ですが、なぜか1度目のMAX活性期までには花開かず。おかしいな…。
もうひとつの売りは母が母父シンボリクリスエスのゼロ活性馬であること。
日本はサンデー経由が多いので、Hail to ReasonやRobertoのクロスはあまり気にしなくていいけど、それでもゼロ活性であればなお心強い。
また最初からNorthern Dancerが6世代前に追いやられているので、Northern Dancer系の種牡馬にもめっぽう強い。(リファールは注意)
つまり配合のお相手に絶対困らないんですな。
19年産はサトノアラジン(ディープインパクトの真の後継候補)だったらしいですが、あのNorthern Dancerだらけの父も余裕で受け止める。
というか、もっといい馬付けてあげてほしい…。
社台から出される前にドレフォンなら、それこそドライチ候補です。
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セレクトセール2019特集はいったん間を空けて2日間の開催後(水曜日かな?)、1歳中心に高額取引馬の横顔を紹介してセールのまとめとします。
そして次回月曜日からは「東京サラブレッドクラブ2019」の1歳馬最速診断に入ります。
7月8日(月)から先行募集が始まるということで、いよいよクラブ馬特集も中盤戦に入ってきた感じですね。
ということで来週は東サラ4回シリーズ+セレクトセール2019まとめで、その翌週にはシルクさんのフォト入り2019リストがご開帳になってくれれば、一気に夏到来といった感じですね。
今週アルクトスやミッキースワローといったブログで何回も取り上げた馬が重賞を勝つ姿を見て、一人でも多くの方へこの喜びが伝わればいいなと感じています。
どうぞお楽しみに。