共同馬主クラブランキングでは、毎年中堅どころに位置するウインレーシングさん。
血統上ではラフィアン色が濃いラインナップで、おそらく(少しは)岡田総帥のお眼鏡にかなった配合、市場取引馬の目利きがされて、リーズナブルな提供馬につながっているのではないかと思います。
とにかく活躍馬の渋さという点では、これ以上のクラブはないですからね。
総じてOPに上がってもジワジワと稼ぐ、丈夫で長持ち産駒が多い印象ですが、さて今年の1歳馬はどうでしょうか。
初回はすべて牡馬の判定となります。
また今回は「ぎり判定馬」がいませんでしたので、紹介はすべてOK馬となり、BAD馬についてはあえて取り上げません。
ウインレーシングC1歳馬 判定結果
1 アクティビューティの17(牡・鹿毛)
判定 【 OK 】
父・キンシャサノキセキ
【優先祖先】 Height of Fashion(牝・1979)
【基礎体力】 50(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜中距離
美浦・高木登厩舎 予定
残149口
総帥のお見立てどおり、本馬は父以上に距離の融通が利きそうです。
父キンシャサノキセキはようやく劣性期が終わり、再び自らの形を産駒に伝えられる時期に入りました。
とはいえ本馬は母父バゴの活性がより高く、優先はバゴの父ナシュワン(1986・劣性)の母Height of Fashionに移ります。
Height of FashionはBusted(1963)につながる欧州スタミナ血統でありながら、芝の7ハロンから12ハロンまでこなした(すべて勝利)オールラウンダー。
よってカタログに「本馬は柔軟性もあってマイルまではこなせる」とあるのもうなずけますし、条件次第では中距離までこなしてしまうかもしれません。
母アクティビューティは船橋のクイーン賞を制し、レディースクラシックでも2着になるなど、40戦以上走って大活躍したダート馬。
2代母ファンドリオボッコからMAX活性を受けており、本馬も基礎体力は十分です。
欧州のスタミナ色が強いので、日本では再びダート馬として大成するかもしれませんが、2歳時くらいは芝にトライさせて、母が持っていた眠れるポテンシャルを示してほしいですね。
4 グレートキャティの17(牡・栗毛)
判定 【 OK 】
父・スクリーンヒーロー
【優先祖先】 スクリーンヒーロー
【基礎体力】 78(平均は50)
【適 性】 芝orダートの中距離
美浦・青木孝文厩舎 予定
残177口
母はさまざまなタイプの産駒を輩出していますが、本馬も一風変わった個性派の様相を呈しています。
この母系はとにかく基礎体力が優秀で、スピードはうまく伝わらなくても丈夫で長持ちな馬を数多く出しています。
母グレートキャティの1回目MAX期にあたる05年には、牝馬ながら東京ハイジャンプを制した障害OP馬、イコールパートナー(父カリズマティック・これもMAX期)を出し、翌年のミニマム期であっても京都新聞杯を制したベストメンバー(父マンハッタンカフェ)を出したほど。
さすがに2回目のMAX活性が終わった現在となっては、産駒のデキを一枚割り引かなければなりませんが、6月生まれという母の特徴を理解しながら(2年に1度はよい繁殖期が遅くなる)生産すれば、まだいい仔を出すはずです。
本馬は父スクリーンヒーロー優先としましたが、実際は父同様、祖父グラスワンダーのゼロ活性ゆえに、サンデーの母系をさかのぼった先にあるアルゼンチン出身の栗毛一族が源となるようです。
しかしそこまでさかのぼる遺伝学的必要があまりないのと、スクリーンヒーロー自身がその性格をしっかり継承している存在ですので、あえて優先はスクリーンヒーローということにしました。
父も芝ダート兼用でしたので、今の時点で本馬の適性を測るのは相当難しいですね。
楽しみに成長を待ちましょう。
11 サクセスストレインの17(牡・鹿毛)
判定 【 OK 】
父・ゴールドシップ
【優先祖先】 ゴールドシップ
【基礎体力】 ★63(平均は50)
【適 性】 芝の中距離
美浦・奥平雅士厩舎 予定
残222口
本馬の毛色に関しては、ちょっと思い当たる節があります。
本来なら優先がゴールドシップであれば、高確率で芦毛に出るはずなのですが、本馬は鹿毛馬。
もちろん芦毛もそこまでしつこい毛色ではありませんが、本馬にはこの年鹿毛に出るもうひとつの理由がありそうなのです。
以前キャロットC特集のシーザリオの17についてお話ししたときにふれたのですが、生物の遺伝(人間含む)方法には「テレゴニー(残存遺伝)」という現象が存在します。
これを人間の例でいうと
▼以前黒人男性とお付き合いしていた女性が、その後日本人と結婚して生まれた子どもの肌が黒かった
という現象で、これはなにも女性が不貞を働いたのではなく、間違いなく遺伝上は日本人男性の子なのです。
本馬の母サクセスストレインは16年の種付けが不受胎に終わり、1年空胎後の産駒が本馬となります。
よって本馬の毛色がもし「テレゴニー」であれば、それは16年に種付けしながら流れた種牡馬の毛色が出た可能性があるのです。
かくしてその16年のお相手は、マツリダゴッホ(鹿毛)でした。
確率はわずかながらも、本馬の毛色はマツリダゴッホのテレゴニーが発生したのではないかと見ています。
しかし馬の性質上、本馬は完全にゴールドシップ優先ですので、ご安心を。
母サクセスストレインは2代母キャリイアウトのMAX活性産駒で、G1まであと一歩に近づいた活躍馬でした。
繁殖入り後活躍馬が出ない現状を憂い、ラフィアン軍団が前オーナーさんから譲り受けたとのこと。
こちらも2回目のMAX期を終えていますので高望みはできませんが、母が健康ならばもう少しがんばって、なんとか3回目のMAX期に近づいてほしいと思います。
次回は新馬戦展望をお届けし、来週はウインさんの牡馬残り分と牝馬について解説していきます。
どうぞお楽しみに。