…あらためまして、また謝罪しておきます。
このたびもシルク・ホースクラブさんには推奨できるオルフェーヴル産駒がいませんでしたので、せんえつながら、予定通り次のロードカナロア編に移らせていただきます(コラコラ)。
天下のシルクさんの馬をいまだ1頭もご紹介できなくて(!)恐縮ですが、つまるところ馬は値段ではありませんし、種でもありません。
必ずいい馬はいるはずです。
ということで、今回は再びトップバッターに戻り、サンデーTCさんからよさげなロードカナロア産駒をご紹介します。
ファミリーでたった1頭付けられたスプリントの血脈
▼インダクティの16 (競走名:ケイデンスコール)番号165
牡2・安田隆行厩舎予定
父 ロードカナロア
母父 ハーツクライ
2月11日生まれ 鹿毛
母はバランスオブゲームやフェイムゲームのきょうだいで、本馬以外はすべて距離長めのクラシック血統をつけているのですが、なぜかこの年だけロードカナロアに「浮気」しています。
【診断結果】
・優先祖先 父の父 キングカメハメハ
・馬場、距離適性 芝のマイル
・基礎体力値 78(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 やや心配
・総合 ★★★(満点は5つ)
本馬の叔父たちを見てもわかるように、ファミリー全体がとにかく丈夫で使い込める血筋です。
しかも母インダクティは、2代母ホールオブフェームの17歳時産駒で満点の体力を継いでいます。
しかしそこは根っからのスタミナ血統。ロードカナロア1本だけで肝心のスピードが全面に出てくるのか懸念があるでしょうから、きちんと調べる必要があります。
2代母ホールオブフェーム(1991)の良い発情期は4月11日から6月11日なので、
・バランスオブゲーム 99年4月22日生まれ→5月22日頃種付け OK
・インダクティ 08年3月3日生まれ→4月3日頃種付け 外れてOK
・フェイムゲーム 10年5月11日生まれ→6月11日頃種付け 外れてOK
となり、現役時代は体格に恵まれなかった母(376キロデビュー!)
が29戦して1000万下まで出世できた(引退戦は416キロに!)源のスピードと成長性は確認できます。
本馬は母の偶数歳産駒で、叔父バランスオブゲーム同様、母インダクティの良い発情期(2月17日から4月17日)に入っていい年回りですので、
・ケイデンスコール 16年2月11日生まれ→3月11日頃種付け OK
と読むことができます。
そんな本馬にとって一番心配なのはやはり「気性難」がどの程度出るかということでしょう。
叔父のフェイムゲームがセン馬になったのを筆頭に、母は過去に代々ディクタスやアレミロードという有名な「気むずかし屋」をつけられてできたという背景があります。
またインブリードにおいても、父系母系ともに2本ずつのNorthern Dancerクロスが見え隠れしていますので、決して油断できません。
これほどNorthern Dancerが濃くなければ、コスパから見てもぜひ★4つに推してみたいのですが、気性は馬の全てを台無しにするリスクがありますから、慎重に★3つということで。
定番鉄板のG1血統も適性距離は父よりにシフトか
▼ドナウブルーの16 (競走名:ドナウデルタ)番号167
牝2・石坂正厩舎予定
父 ロードカナロア
母父 ディープインパクト
2月9日生まれ 鹿毛
あまり細かい検討のいらない本筋血統であり、母の母ドナブリーニもバリバリ現役&今年もいい馬を輩出(サンデーTCディープ編を見てね)と勢いに乗るファミリーですから、あとは出資者がどのレベルで満足できるか、にかかっています。
【診断結果】
・優先祖先 父 ロードカナロア
・馬場、距離適性 芝の短距離〜マイル
・基礎体力値 66(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 やや心配
・総合 ★★★(満点は5つ)
母ドナウブルーの良い発情期は1月23日から3月23日。
本馬の種付けは3月9日頃ですから、きちんとこの中に入っています。
そこだけ確認できれば、元値が違いすぎるファミリーのこと。
ある程度までの活躍は約束されたも同然です(コスパは別として)。
そうそう、ちょっと話は脱線して、先日ひとつ上の兄・イシュトヴァーン(牡3・父ルーラーシップ)がダート戦で初勝利(その後500万下芝で3着)を挙げたそうです。
優先祖先うんぬんよりも、兄は母から良いスピードを受け継いでいません。
妹と誕生日が3日しか違わないので当然です。
来年デビューの弟(父キンカメ)も姉と誕生日が3日しか違いません。
本馬が走ったからといって指名するのは…あとは察してください。
そのあとのモーリス産駒(牝・2018)は、9日違いの生まれで姉と同サイクルに戻り、期待大です。
このように兄弟が生まれて、準備をしながらまた同じ時期に種付けするサイクルにハマると、1年おきにしか走る仔が現れなくなります。
幸運にもそれが母の良い発情期の間際を挟めば、ジェンティルドンナとドナウブルー姉妹のようにいつまでも「WinWinの関係」でいられるのですが…。
ドナウブルー級の繁殖に出産後2か月も体を空けておくのは、牧場としても「わかっていてもできないこと」ですけれどね。
話は戻りまして、2代母ドナブリーニ紹介の時にも申しましたが、ドナウブルーは母母父リファーズスペシャルの活性が高く、今が旬のロードカナロアをもってしても互角の勢い。
よってこれ以上祖先をさかのぼることなく、優先祖先は父ロードカナロア自身に落ち着きます。
ロードカナロアは決して純然たるスプリンターではありませんが、この仔が母ほど距離をこなすかといわれれば(母は千八までOKだった)自信はなく、千八か千四かと問われれば千四だとお答えしたいですね。
またNorthern Dancerクロスの影響がどのくらいあるかで、出世後の姿も変わってきそうです。
ロードカナロアも案外Northern Dancerが濃い種牡馬の1頭です。
ここまでトップサイヤーの産駒になかなか非Northernの仔は現れませんね。
さて次回はG1サラブレッドCさんにお邪魔する予定です。