G1サラブレッドCとサンデーサラブレッドCさんには、めぼしいジャスタウェイ産駒がいませんでしたので、キャロットさんから2頭ご紹介する今回が唯一のジャスタウェイ編、となります。
ダート系かもしれないが今一度見直したい堅実派
▼スルーレートの16 (競走名:パルスレート)番号17
牝2・久保田貴厩舎予定
父 ジャスタウェイ
母父 フレンチデピュティ
1月31日生まれ 鹿毛
クズは出ない感じもイマイチ乗り切れないファミリー。
きょうだいより適性距離が短めのジャスタウェイが父なら、もっといいところがあるかもしれません。
【診断結果】
・優先祖先 父の父 ハーツクライ
・馬場、距離適性 芝orダートの中距離
・基礎体力値 59(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 普通
・総合 ★★(満点は5つ)
母のきょうだいの仔(つまり従兄弟たち)には最近、スピード系の種牡馬で生き返ったかのようにいい馬が出ています。
たとえばブルミラコロ(父キンシャサノキセキ)やハクサンルドルフ(父アドマイヤムーン)がそれ。
源である3代母のOver All(1985)が6〜7FのG1を勝った快速牝馬だったため、父でスタミナを補充したくなるのかもしれませんが、予想以上にスタミナも内包する母系のようです。
2代母スルーオール 90年3月17日生まれ
(3月3日から5月3日良好)
・母スルーレート 02年3月18日生まれ ○
(3月4日から5月4日良好)
・・本馬パルスレート 16年1月31日生まれ (○)
ギリギリではありますが、スピード面では良好な繁殖の初期にかかっている方に賭けたいです。
配合はごく普通。アメリカにはこんな牝馬がごまんといそうな背景で、ミスプロ系、Bold Ruler系、Northern Dancer系、そしてサンデーですから、可も不可もなし。
Northern Dancerのクロスも心配するほど濃くはありません。
逆に言うと特色がないので、カッと燃える面とか、勝負根性を見せるとか、そういう走りは期待できないでしょう。
むしろ漁夫の利で席が空いたときにスッと音もなく2着に忍び込む、そんなタイプではないでしょうか。
体力もあるので、クラブ馬としてはリーズナブルに楽しめる1頭です。
ファミリーの完全復活はこの牝馬で締める
▼キューの16 (競走名:メルキュール) 番号18
牝2・戸田厩舎予定
父 ジャスタウェイ
母父 フレンチデピュティ
4月4日生まれ 鹿毛
初期に良い仔を輩出したものの、ちょっと線の細さも気になる系統。
しかし最近の甥っ子たちの復活気配を黙って見過ごすはずはありません。
【診断結果】
・優先祖先 父 ジャスタウェイ
・馬場、距離適性 芝のマイル
・基礎体力値 47(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 やや心配
・総合 ★★(満点は5つ)
期せずして前述のパルスレート同様、フレンチデピュティ牝馬にジャスタウェイという配合ですが、こちらの方がよりスピード系に属し、逆に野武士のような荒々しさがもっとあればいいな、という感じです。
甥というのは先日引退したグランシルク(2012・父ステイゴールド)のことで、彼の母は本馬の母キューの初仔にあたるルシルク(2004・父Dynaformer)です。
よってスピード面で見たファミリーの系譜は
キュー 97年2月19日生まれ
(2月5日から4月5日良好)
・ルシルク 04年4月1日生まれ ×
(3月15日から5月15日良好)
・・グランシルク 12年4月8日生まれ ○
・ブレイクランアウト 06年4月27日生まれ ×
・エネアド 09年1月15日生まれ ○
・本馬 メルキュール 16年4月4日生まれ ×
となり、見事にきれいな表裏の繁殖サイクルを描いています。
あとは体力面での心配ですが、実は母キューの最初のMAX活性だった05年種付け時に、米国でSmart Strikeをつけられたのが兄・ブレイクランアウトでした。
が、残念なことに種付けは5月も下旬のことで、母が満8歳になってからすでに3か月経過しており、体力的な遺伝はほぼノーカウント、つまりゼロという結果に終わりました(MAX年はこれが怖い)。
彼が2歳時当初の活躍から3歳後半にはまるで火が消えたかのようにガス欠になった一因は、その辺にある気がします。
本馬・メルキュールも母の周り年からいえば決して恵まれた時期の産駒ではありません(数値でいうとMAXの4分の1くらい)。
そのため、もし桜花賞を目指すならその本番の日までが彼女の最初のピーク期間になると推察されます。
とはいえ、母からしばらくファインショットが出ないうちにかなりリーズナブルな募集価格になりましたので、スピード面と合わせ、お買い得の1頭です。
最後におまけとして、募集番号16のアウトオブタイムの16(競走名:グロオルロージュ?よ、読めない…)も悪くない馬だと申し上げておきます。★ひとつ半くらいかな?
ただこの馬はまだ体が小さく、基礎体力も平均以下ということであえて推すまでには至りませんでした。
陰ながら応援することにします。
さて次回は、ジャスタウェイの父であるハーツクライ産駒を見ていきます。