▼勝ち抜けPOG2018 注目新種牡馬ジャスタウェイを斬る

昨年はオルフェーヴルロードカナロアが下馬評通りの活躍を見せたフレッシュサイヤーたち。
ですが今年はこの怪物2頭に比べれば小粒なラインナップとよく言われます。

そんな中注目したい種牡馬が、現役時代に世界ランキング1位に輝いたジャスタウェイ(牡9・父ハーツクライ)。

2歳から走り始め、本格化以後は圧巻の安定感で条件を問わずに勝ちまくったオールラウンダーでしたが、産駒を見る前にまずはこのジャスタウェイを血統面から解析しておきましょう。

 

ジャスタウェイは頭脳明晰なアウトサイダー野郎だぜ

 

まず血統表を見て真っ先に感じることは、母系に流行りの血脈がほとんどないという点です。

優先祖先は父の父サンデーサイレンス
毛色の違いはあるものの、流星の出方や後肢の二白などがそっくり(ハーツは左後一白、サンデーは一白と少々)です。

ジャスタウェイの種牡馬活性はこれからますます上がっていくので、母系に活性大の馬がいなければ、基本的にはジャスタウェイ自身か父のハーツクライが優先となる馬が多くなります。

4代前から順にハンプトン系、ハイペリオン系、ネアルコ系、そしてターントゥ系(サンデー)の種牡馬がつけられています。

ひとことで言ってちょっと古めかしい血の集まりなのですが、それが現代の競馬においてはよいスパイスとなり、頭脳の明晰さやボス性の高さにつながっています。

またよく議論になるネアルコの有無についてですが、彼は母父にネアルコ系としては傍流に当たるIcecapade(1969・芦毛)の系統を持ちます。

Icecapadeは、日本だとクロフネ(1998)の母系で異彩を放つなど、ちょっと本流ネアルコ(ナスルーラ経由など)とは違った働きをします。

 

このようにジャスタウェイは根っからのアウトブリード配合ですが、もし交配相手のクロスについて議論するのであれば、ハイペリオン(1930・栗毛)の濃さだけは考えておいた方がいいでしょう。

実は5代前のNodouble(1965)、3代前のMo Exception(1981)、そして2代前Wild AgainからIcecapade劣性を受けてさかのぼるKhaled(1943)と、母系には多くのハイペリオン系種牡馬が存在します。

父系のハーツクライにもHornbeam(1953)というハイペリオン直仔の祖先がいますが、幸いなことにこれは劣性期に当たり、あまり悪さはしません。

このハイペリオンが現代競馬で発現すると、ノーザンテーストあたりからさかのぼって勝負根性や頑強さ、距離の融通さを伝えることになります。

たとえばステイヤーズS3連覇のアルバート(牡7・栗毛)あたりが代表的、といえばなんとなく想像していただけるでしょうか。

 

基礎体力は平均並みの47。

名馬にしてはやや心許なく、無理使いは禁物の部類でしたが、逆に休み明けはめっぽう強く、3歳秋から

毎日王冠2着
中山金杯3着
エプソムC2着
関屋記念2着
毎日王冠2着
中山記念勝ち
安田記念勝ち

と2か月以上あけた(国内)ローテの時にはすべて馬券に絡んでいます。

 

では産駒を1頭ご紹介しましょう

 

キャロットクラブさんより

▼グレイトフィーヴァーの16 (競走名:ファナティック)番号60

牝2・松永幹夫厩舎予定
父 ジャスタウェイ
母父 Kaldoun
2月9日生まれ 鹿毛

堅実無比の母から毎年のように良い仔が現れますが、この仔は体力面に不安を抱えます。

【診断結果】

・優先祖先 父の父 ハーツクライ

・馬場、距離適性 芝の中距離

・基礎体力値 28(平均50)

・スピード 良好

・頭脳 普通

・総合 ★★(満点は5つ)

グレイトフィーヴァー 97年5月2日生まれ
(4月16日から6月16日 良好)

ヒカルアモーレ 04年1月11日 ○
ラフォルジュルネ 07年1月13日 ○
アーデント 09年1月20日 ×
ラブラバード 10年2月4日 ×
シャルール 12年1月19日 ×
・本馬 ファナティック 16年2月9日 ×

きょうだいのスピードの行方は以上のようになり、一見して裏表バラバラに見えます。

これは誕生日と繁殖リズムの境目がとても近いときに起こる現象で、このうち何頭かは早生まれor遅生まれで、反対のリズムにジャッジするべきなのでしょう。

中でもラブラバード(OP・引退)だけは間違いなく×の期間に入りそうなので、これを中心に据えると

ヒカルアモーレ 04年1月11日 ×
ラフォルジュルネ 07年1月13日 ○
アーデント 09年1月20日 ○
ラブラバード 10年2月4日 ×
シャルール 12年1月19日 ×
・本馬 ファナティック 16年2月9日 ×

これがファミリーの実際のリズムだと考えられます。

配合面では5代までならアウトブリード扱いできますし、3代と2代でネアルコ系種牡馬が連続したものの、残りは欧州の傍系として最も有名なTourbillon系とネアルコ0のサンデー系ですから、そう悪くありません。

 

唯一にして最大の心配事が、基礎体力に欠けることです。
とくに今さら変えようもない2代母以前の体力が著しく欠け、母1頭では補い切れていません。

スピードでは成功している母の産駒がいまいち大成しないのも、順調に使えない、好調期間が短い、使うとイレ込むなど、ここぞというときに基礎体力に欠ける症状が出るからでしょう。

その点きょうだいをよく知る松永幹厩舎は悪い選択肢ではないので、うま〜くやってくれれば、コツコツ稼ぐかわいいクラブ馬になれるかもしれません。
距離適性含め、先頃引退した4歳上の姉・シャルールに似たタイプになると思います。

 

さて次回は、キャロットクラブさんからもう少しジャスタウェイ産駒をご紹介します。


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