今回ご紹介するノルマンディーOCさんは「岡田スタッド」が母体となって設立されたクラブです。
岡田スタッドといえばそう、この方も馬を見る目をお持ちという岡田牧雄氏が代表を務めるところですね。
毎週新馬戦を予想しているとノルマンディーOCの2歳馬がぼちぼち出走してくるようになりましたので、これを機にちょっとのぞいてみようという気になりました。
このブログを書く準備をしていましたら、募集状況がどんどん進行して「満口」馬も出てきましたので、そろそろ決断の時かと思います。
なお今回は期待できそうな良い判定の馬から順にご紹介しています。
動画は判定の後に見ていますので、視聴後の感想はさまざまに分かれています。
またBAD判定馬はあえてコメントなしとしましたので、あしからず。
ノルマンディーOC1歳馬 判定結果
9 ストックの17(牡・黒鹿毛)
判定 【ぎりBAD4日】
父・ブラックタイド
【優先祖先】 父またはサンデー
【基礎体力】 ★69(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜中距離
栗東・高橋義忠厩舎 予定
満口
すでに満口となってしまい残念ですが、なるほど雰囲気はよいものを持っている馬です。
優先祖先は父ブラックタイド自身かその父サンデーかは微妙なところ。
ブラックタイドと3代父Capote(1984)の活性がほぼいっしょのためで、これはどちらが優性かはわかりません。
いずれにしても、距離延びていいかと言われればそうではない馬体のような気がします。
ということはやはり優先はサンデーなんでしょうか。
母系はカタログにあるとおり、セイウンコウセイ(父アドマイヤムーン・高松宮記念勝ち)を出すなど、最近波に乗っている勢力。
母ストックはセイウンコウセイの姉で、本馬は母からMAX活性を受け、基礎体力は十分です。
古くはタイキフォーチュン(父シアトルダンサーⅡ、NHKマイルC勝ち)、タイキダイヤ(父オジジアン、クリスタルC勝ち)などを出したスピード重視の牝系で、タイキといえば前回のパカパカF出身でないのが不思議なくらい。
どこの牧場も血の更新はやっかいな問題ですが、この牝系はまだまだ古くなっていないようですね。
ぜひOK判定に入っていてほしい素材です。
2 リトルビスケットの17(牝・芦毛)
判定 【ぎりOK1日】
父・ゴールドシップ
【優先祖先】 ゴールドシップ
【基礎体力】 41(平均は50)
【適 性】 芝の中距離〜
栗東・松下武士厩舎 予定
残りわずか
準アウトブリードといっていいスッキリ配合なのですが、動画で見る限りは、実馬の精神面がどうかという心配があります。
本馬の5代血統表をみると、Hail to Reason(1958)とトライバルチーフ(1967)という2つの珍しいクロスが発生しています。
このうち母系のトライバルチーフは4代父タニノフエバリツト(9歳3か月)が3代母タニノターゲットにゼロ活性を伝えているので、ノーカウント扱いでOK。
またHail to Reasonは、いつも言うようにサンデーがHaloのゼロ活性馬なので、ノーカウント。
もっと言うと、遠くに見えるNorthern Dancerのクロスも、母系のシャーディー(1986)がその父Danzig(1977)のゼロ活性馬なので無効に。
ですからよく考えられた(偶然の産物?)準アウトブリード配合と申し上げたのですが。
よって2代母タニノマウナケアの中には、生きている父系がシャーディーしか存在せず(あとはすべて劣性期)、彼女は「代を重ねながら有効な先祖の数を減らし、シャーディーという先祖の固定に成功した牝馬」ということができます。
(タニノマウナケア=ほとんどシャーディー)
こういう配合はカラクリを知らないとできないので多くは見かけませんが、最近の名馬でいうとフランケル(父ガリレオのミニマム期産駒)もこの手法で母父デインヒルの固定に成功した例ですね。
祖先の固定に成功すると、その後の繁殖計画がうんとシンプルになります。
フランケルならほとんど大種牡馬デインヒルの生まれ変わりとして扱えばいいのですから。
あの怪物は生まれながらにしてすでに覇王となる宿命を背負った尊い存在です。(俗に言う神)
脱線しました、またどこかで詳しくやります。
一度このブログでも書いた気がしますけど…。
で、話を戻して本馬の動画を見て心配になった点というのが、精神面の幼さです。
ちょっと積極性に欠けるというか、前進気勢が見られないというか、耳が神経質にピョコピョコ動き、引き手が歩くから私も歩くような感じで、頭の位置も高いですかね。
まあ父ゴールドシップなんでね、贅沢は言えませんが…。
7 シュヴァリエの17(牡・栗毛)
判定 【ぎりOK0日】
父・スクリーンヒーロー
【優先祖先】 ハイペリオン(1930)
【基礎体力】 ★78(平均は50)
【適 性】 ダートのマイル〜
栗東・山内研二厩舎 予定
残口あり
本馬が初仔となる母にはかなりの将来性がありそうです。
父スクリーンヒーローはその父グラスワンダーのゼロ活性馬で、意外にも母父サンデーの影響を強く受けた馬です(東京得意の瞬発系)。
「でも父と同じ栗毛じゃん」確かにそうなのですが、この栗毛はサンデーの母系をはるかさかのぼった名馬ハイペリオンに由来すると見ています。
遺伝情報は7代以上さかのぼる必要はない、というのが本理論の方針なので本来なら結論はもっと近くの馬で止まっていいのですが、栗毛のミステリーを解決すべく、あえてハイペリオンとしておきました。
よって本馬の適性は芝よりもダート系かな、という気がします。
本馬の母シュヴァリエもカントリー牧場由来のタニノ系牝馬で、こちらはダービー馬タニノギムレットの近親にあたります。
基礎牝馬となる4代母タニノシーバードは名馬Sea Bird(1962)のミニマム期産駒、また2代母タニノカリスはその父ジェネラスのゼロ活性牝馬なので、こちらも半分以上の祖先が無効となり、遡れる先祖の数がうんと限られています。
父の栗毛はハイペリオンですが、実は母の栗毛も同じく母父フレンチデピュティ由来ではなく(劣性期)、唯一の優性期牡馬であるクリスタルパレス(仏・1974)のどこか、から来ている様子。
よって母側には芝の適性が間違いなくあるのですが、動画で見る本馬は意外とずんぐりむっくりで寸も詰まり、やはりまずはダートから走らせてみたい感じです。
判定は珍しい「ぎりOK0日」つまりサイクルの最終日になってしまい、本馬は正直言うとBADの可能性が高いかも。
しかし本馬の下の18年産駒(牝・父ゴールドシップ・栗毛)は、堂々のOK判定で、しかもゴルシの9歳時ゼロ活性馬(だから栗毛)ということで、これはちょっと今後の動向が楽しみです。
次回も引き続きノルマンディーOCさんの特集です。