ジーワンさんの18年1歳馬ロードカナロア、オルフェーヴル産駒はすべて!関西に入っています。
今回はそのカナロア、オルフェ産駒にテーマを絞り、詳しく見ていきます。
オルフェ産駒といえば、先週日曜中山6Rの新馬戦、W・ビュイックで勝ったシェドゥーヴルはスゴかったですね。
レースはまさに彼ひとりのワンマンショー。
あの英国ダービージョッキー・ビュイックにして「今までもやっかいな馬には相当乗ったけど、その中でも本当に乗り難しい馬だった」「御すのにとてつもないパワーが必要」とコメントしたくらい。
一瞬、落馬するんじゃないかというシーンもありました。
(ビュイックも父オルフェの暴れん坊ぶりは知っている様子)
直線でヨレてから最後の最後に「非凡な瞬発力」を使い、近づく後続をスッと1馬身以上離してみせたあの姿こそが真の実力なのでしょう。
さあ、次走は鬼が出るか蛇が出るか…。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
▼G1サラブレッドC2018 1歳馬診断結果 関西カナロア、オルフェ編
【OK判定の馬】
28 クリアンサスの17(牡・鹿毛)
父 ロードカナロア
【優先祖先】 マンファス(牝・1991)
【基礎体力】 ★66(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
関西・藤岡健一厩舎 予定
本馬は父、母の双方からMAX活性を受けた健康優良児ですね。
母クリアンサスは偉大な祖母フラワーパークにそっくりの大流星スプリンターで、この母娘はともに父が劣性期の産駒でした。
つまり、クリアンサスはRedoute’s Choice(1996・豪)の、フラワーパークはニホンピロウイナー(1980)の影響を受けていないんですね。
とくに最優秀スプリンターのタイトルも獲ったフラワーパークが、ニホンピロウイナーの影響がない牝馬だったことには衝撃を受けます。
もし本馬があと4か月ほど遅く種付けされていれば、きっと母似の大流星を授かったゼロ活性馬として生まれたと思いますが、実際は体から白いところが急激になくなり、カナロアやキンカメの系統であることが一目瞭然です。
優先祖先であるキンカメの母マンファスが実際はどんな牝馬だったかについては資料がないのですが、最低限母たちよりはずっと距離の融通性が利くようになりました。
フラワーパークの一族で本当の活躍馬といえば、晩年にヴァンセンヌ(父ディープインパクト・クリアンサスの年仔の弟)が出た程度。
パークが本来持っていたパフォーマンスは未だに発揮されていないと思われますが、それはパーク自身が5月8日という遅生まれで、社台系の早め早めの種付けリズムだと隔年でしか良い仔に恵まれなかったから。
もともとが確率半々の上、加えてスピードサイクルをバッチリ正確に持ってくるのも難しいとくれば、産駒に祖母のスピードが活かされないのも無理はありません。
遅生まれの牝馬の扱い方がよく浸透していないので、遅生まれは繁殖に上がってもなおハンデがある、というのが現状です。残念ですね。
31 ヨナグッチの17(牡・栗毛)
父 オルフェーヴル
【優先祖先】 オルフェーヴル
【基礎体力】 ★72(平均は50)
【適 性】 芝の中距離
関西・石坂正厩舎 予定
体自体はまだスラッとしていますが、形はやはり父似。
この仔も気性次第でいいところまでいきそうです。
同じオルフェ産駒で前述の暴れん坊シェドゥーヴルには、血統表中Northern Dancerのクロスが合わせて3本あり、しかもまあまあの強さで残っていたためあの粗相につながった、と見ることもできます。
種牡馬の気性がどの程度産駒に伝わるかについては定かではないのですが、私見としては
▼父の気性難にスイッチを入れる役割を果たすのがインブリード
▼実際は母の気性が後天的に遺伝する方が大きいのでは?
という感じです。
つまりサラブレッドは父親が子どもの面倒を見るワケではありませんから、父の精神的影響は最初はベールに包まれた状態で、そこにスイッチを入れてしまうのが「配合の近親度」ではないかと思うのです。
また母親については、気性がキツい、人間を嫌う、など育成段階で母の所作ひとつひとつが仔に影響を与えますので、どちらかといえば父より母の方が仔の気性形成に関わっているのではないでしょうか。
ま、おつむの話はこの辺にして。
本馬は4代母Golden Hordeから3代母DisclaimedにMAX活性が継承され、基礎体力は十分。
気になるインブリードは父内でノーザンテースト1つ、母内でミスプロ1つですから、ほぼ「準アウトブリード」といっていいのではないでしょうか。
父内、母内というインブリードはもちろん父と母自身のデキには影響しますが、次世代の配合においては、そこに新たなインブリードが加わらなければ(本馬の場合、新たなノーザンテーストが母馬側になければ)影響はないと思われます。
幸い本馬の母はノーザンテーストのみならず、Northern Dancerそのものを6代血統内に持たない(7代目にはあるが遺伝の範囲外)ので、字面以上にスッキリとした配合内容です。
ゆえに母は貴重な非Northern Dancer系の繁殖であり、2回目のMAX活性期に近づくこれからが日本での勝負どころになるでしょう。
種付けする父の活性が弱いと優先が母3代父のアファームドにさかのぼり、同じ栗毛でもコテコテのダート馬になる可能性があることは覚えておきたいですね。
【ぎりOK判定の馬】
29 レイヌドネージュの17(牡・鹿毛) ぎりOK5日
父 ロードカナロア
【優先祖先】 ロードカナロア
【基礎体力】 ★53(平均は50)
【適 性】 芝のマイル
関西・藤原英昭厩舎 予定
父カナロアはMAX活性とゼロ活性のちょうど境目時期に種付けされています。
いちおう本件はカナロア自身を優先としていますが、もし父がゼロ活性であれば3代父のトニービンの系統へさかのぼるはずです。(トニービンにもけっこう似ている)
小さな流星がなければ9割方カナロアの仔だと言いきれるのですが、四肢に白いものが見当たらないことを優先して、今のところは6割カナロアでいかがでしょうか。
4代母スズタカプリンセスから3代母ジュウニヒトエにMAX活性が継承されており、おそらく3歳前半から勝負になる早期開花型かと思われます。
いずれにしろ、府中は鬼でしょうね。
【BAD判定の馬】
30 エターナルビートの17
32 募集停止
33 サマーナイトシティの17
34 モクレンの17
35 ショーコの17
次回は関西ハービンジャー、ルーラーシップらの産駒を見ていきます。