先日、この理論の礎となっているテキスト本を読み返したところ、また新しいことに気がつきまして、今までとはやり方を変えることになりそうです。
馬が走る走らないの根幹については問題がないのですが、それとは別に適性…優先祖先の特定について、ある場合においてのみ「一部誤解」があることに気がついたのです。
今までの結論にも「1割ほど」影響があるのではないか、と考えていますが、これもいまだ修行中の身であるがゆえの手落ち。
まずはお詫びし、今回からより正しい情報をみなさんにお伝えしていく所存です。
リストの見方
まだこれから鍛練を積む1歳馬なので、1頭1頭詳細な血統背景ではなく、最初に全馬スピードサイクル判定による分類を行います。
・スピードサイクルOK →馬体も良ければ推奨
・スピードサイクルぎりOK
・スピードサイクルぎりBAD
・スピードサイクルBAD
・判定不能
の5つに分けます。
OKとBADはそのまま(走る走らない)の意味ですが、ぎりOKとぎりBADは
→その馬の誕生日が母のスピードサイクル境界日ギリギリに位置するので、OKがBADだった、あるいはBADがOKだったという可能性あり
の意味です。
よってどちらかといえば「ぎりOK」の方がコケて失敗する(ショックでかい)可能性が高く、逆に「ぎりBAD」が実はOKで思わぬ幸運をつかめることもあるでしょう。
馬体が良い、牧場評価高いなどの推し材料があれば、積極的に「ぎりBAD」までは狙っていけるかもしれません。
ぎりBADについては、こちらでも「狙えるぎりBADかそうでないか」を積極的にコメントしていきます。
またスピードサイクルOK判定の馬に限って、その馬の適性がわかる優先祖先と基礎体力値をご紹介します。
▼G1サラブレッドC2018 1歳馬診断結果 関西ルーラーシップ産駒ほか編
【OK判定の馬】
37 メルヴェイユドールの17(牝・黒鹿毛)
父 ルーラーシップ
【優先祖先】 Lady Victoria(牝・1962)
【基礎体力】 ★47(平均は50)
【適 性】 芝orダートの中距離
関西・石坂正厩舎 予定
基礎体力はオマケのオマケでも平均値以下で、線が細めであることは否めません。
父ルーラーシップは早くもこの年から劣性期入り。
本馬の優先は4代父ノーザンテーストからさかのぼり、その母Lady Victoriaあたりではないかと推察されます。
調べるとLady Victoriaは、カナダのプリンセスエリザベスS、メイプルリーフSなどを勝った牝馬で、芝でもダートでも中距離あたりを得意にしていたようです。
ノーザンテースト自身は父Northern Dancerのミニマム期産駒なので、もう少し前(ハイオペリオン系、正確には祖母Lady Angelaとも)まで優先をたどりますが、現代の馬がノーザンテースト系をたどるときに優先候補のひとつの可能性として浮かぶのがこのLady Victoriaです。
ノーザンテーストのような顕著な成長力はなくとも、距離や馬場の違いに泣くことなく、確実に走りこなす産駒といったイメージでしょうか。
実馬の写真にも母の面影が色濃く残り、やはり父似ではないのだなと再確認できます。
3代母ダイナサツシユから2代母ゴールデンサッシュにはMAX活性を継承したと見ていますが、実際の誕生日比較だと両者には2か月以上の差があり、そこは厳しくゼロ活性と見ることもできます。
産駒にステイゴールド等、そうそうたるメンバーを抱えているからこそ両者を「オマケのMAX活性」と見るのであって、もしかしたらステイゴールドが「晩成」に見えたのは、ゼロ活性含みで低かった基礎体力を補うため、年齢による体力加点を待っていたから、という推察もできるでしょうね。
本馬も3歳時から無理をさせるとそれっきりになるタイプかもしれません。
42 ヴァナディースの17(牝・鹿毛)
父 ノヴェリスト
【優先祖先】 Lady Victoria(牝・1962)
【基礎体力】 ★50(平均は50)
【適 性】 芝のマイル
関西・高橋康之厩舎 予定
これまでの2回のMAX活性年がそれぞれ明と暗に分かれてしまった残念な1頭です。
本馬は母ヴァナディースの9歳3か月時産駒で、残念ながら本馬と母の間はゼロ活性と判定されます。
本来ならこれで検討終了、なのですが、実は3代母ダイナシユートが4代母シヤダイマインのMAX活性馬らしく(らしく、というのは4日ほど期間を超えてはいるが、ダイナシユートがよく走った牝馬なのでMAX扱い、という意味)それを加えて体力はぎり平均値になるのです。
ただ母のゼロ活性を受けてなお大成した馬はそういません。
したがって、本馬もスピードサイクルだけ正確に継いだ虚弱馬の可能性が残り、本当によい産駒は次世代以降に期待すべきなのかもしれません。
優先候補については、本馬の父ノヴェリストの高活性を上回るのが母父ロックオブジブラルタル(1999・MAX活性)で、本馬はさらにその父デインヒルが優先になります。
実物の写真を見ても12ハロンを走るというよりは、プリップリのマイラー体型という感じで、これに体力が追いついていないのがなんとも残念でたまらない1頭です。
【BAD判定の馬】
36 フィーリングトーンの17
38 チェリーペトルズの17
39 ガーネットチャームの17
40 ヴァイスゴルトの17
41 ヴィルジニアの17
36番と40番は、どちらかといえば母の方がBAD判定ではないかと思われる馬です。
したがって母さえOKなら仔が走れる可能性もわずかに残されています。
新馬戦展望を挟み、次回でジーワンTC2018の1歳馬紹介は終了です。
ジャスタウェイ産駒等を見ていきます。