▼函館記念2020 月のサイクルがああなってこうなって現代に至るを考える バイオスパーク

小沢昭一さんって、ご存じ?

今日はシルクHCのHP上で今年の募集馬情報がオープンになるのを待ちながら、この記事を書いている。

予定だと今日公開だっていうんだけど、まだ見られないなぁ。
一般には非公開なのかな。まあ明日までに見られなければ、また動画なしで行くことにするか。

話は変わるが、実はこのごろYouTubeで「小沢昭一の小沢昭一的こころ」を聞きながらPC画面に向かうものだから、「〜について考える!」というタイトルが頭から離れなくて困っている。というわけで今週は私も

月のサイクルがああなってこうなって現代に至る を考える

と題してお送りしようと思う。

研究材料はバイオスパークくん

今週の函館記念の出走予定馬の中で、ブログでまだ紹介していない★馬は、バイオスパーク1頭のみである。

バイオスパーク ★78 母ナナヨーティアラ優先 

母ナナヨーティアラは祖母ナナヨーストームのMAX活性産駒であり、しかも本馬の優先祖先でもあるというキーホース。
ナナヨー一族はずっと4代前のバンブーアトラスの影響が強かったが、母ティアラは父マイネルラヴからC型遺伝子をひとつ受け継いで、短距離路線に舵を切った。

そして本馬バイオスパークはというと、父オルフェからまたT型遺伝子を受けて、ちょうどいいC/T型競走馬として中距離あたりで活躍している。

配合はアウトブリード扱いで、母父もミスプロ系。特徴こそないけれど、気になる欠点も見当たらないし、基礎体力バツグン、これから10戦くらいが競走馬としてのピークといったところだろう。

さてこのバイオスパークくん、牝系はかのフロリースカップ系という名門で、月のサイクルをかなり昔からたどることができる。

ありがたいことに、最近YouTube上でも「月のサイクルを知りたい」という熱心なご希望をいただき、いずれはどうにかしなければと思っているところ。
しかし今回はこんな感じで調べている、という雰囲気をお感じいただければと思う。

バイオスパークの月のサイクル

フロリースカツプ 1904
 第九フロリースカツプ 24.4.1 3.15〜5.15
  スターリングモア 29.4.2 き○ 3.16〜5.16
   第三スターリングモア 44.3.31 き○ 3.14〜5.14
    キングエース 55.5.12
    トビモアー逆 56.4.17 ぐ(○) 4.1〜6.1
     ヤマノカチドキ 70.4.11
     ポリツクモアー逆 71.3.31 き○ 3.14〜5.14
      スズキダイオー 77.3.31
      ナナヨーモア 78.4.9 き○ 3.23〜5.23
       ナナヨーミユキ 85.4.21
       ナナヨーアトラス逆 86.4.7 ぐ○ 3.21〜5.21
        空
        ナナヨーストーム 93.5.6 き× 4.20〜6.20
         空
         ナナヨーティアラ 02.4.20(5.8付) き○ 4.4〜6.4
          メイショウライナー 10.4.16(4.30付) ぐ○
          イリスファルコン 14.4.1
          バイオスパーク 15.3.27(4.10付) き○ 10日
        ナナヨーウイング 94.5.4(6.3付) ぐ×
        ナナヨーウォリアー 95.5.18(6.7付) き×
        ナムラモンスター 00.2.28(3.21付) ぐ○

ふふふ、もはやバイオスパークがどこにいるかもわからなくなりそうなデカいサイクル表ではあるが、数多くのサイクル表を書いている私にとっても、直系だけでここまで大きなものは、かつて日本の国なり財閥なりがその威信をかけて導入した一部の牝系でしか見られない。

月のサイクルに関する最初の導入論は、春のヴィクトリアマイルやオークスの動画を見てほしいが、注意したいのは競走で追いかけるサイクルと繁殖で追いかけるサイクルは表裏一体、裏と表の関係にあることだ。

ここでは繁殖に適した期間を出し、その間に種付けがされているかどうかを「推測する」作業をしている。データが古いからあくまで推測だ。

「き」とか「ぐ」とか書かれているのは、母と仔の年齢差が奇数→き、偶数→ぐ、のことで、親仔が奇数年間隔で、種付け日が母の誕生日プラス14日前後1か月の基本サイクルに入ったら「き○」などと表している。

あとは活躍馬が出るサイクルを追いながら、ファミリー全体、あるいはここからここまでの一部がどちらのサイクルか、そして本馬がどちらに入っているか、これを見るわけである。

だから一覧表解説動画を作るために、全頭の月のサイクルを見るのは正直、しんどいものだ。(とくに真っ白の状態から見る1年目初回は地獄、ドルメロはおかげさまでキャリア丸3年になろうとしているのでまだ楽)
そこで基礎体力やクロスで少しだけふるいにかけて、調査数を減らしているのが現状だ。

またこのサイクルはある条件で「逆転する」ことがわかっている。
表中の馬名の後に「逆」とあるのがそれで、そこから後の牝馬には十分注意が必要だ。

それでバイオスパークくんの結果は?

軒並みサイクルが変わっちゃうのは悩ましいとも言えるが、しかしいったん逆に変化すれば先祖にかかわらず、そこから後は後腐れなくサイクルが決まるので、ある意味追跡はしやすくなる。

バイオスパークの場合、3代母のナナヨーアトラスで逆転し、そこからはサイクルが維持されているようなので、「き×ぐ○」が基本サイクルと考える。

「あれ? そうすると母のナナヨーティアラも裏判定で、バイオスパークくんも裏判定?」

はい、サイクル論からすると、今回のバイオスパーク親仔は裏判定という結論になります。
残念ながら。

しかしこうして3年も馬のサイクルを書き続ける変わり者から言わせてもらえば、裏だからといってそんなにガッカリすることもない、というのが最新の結論になる。

裏判定をそんなに悲観する必要がないワケ

毎回言うが、ご存じのようにテシオ理論は「配合論」である。

まず配合からスタートする立場で生まれた産駒を見るのは、配合の川上から川下を見るわけで、表判定の結果だけを追うことになる。
あえて裏判定の配合を試す必要はないし、過去の名人達も限られた資源をそんな無駄に使うはずはないからだ。

しかし私たちは逆に、すでに出来上がった全ての産駒をスタート地点として、配合の川下から川上を見るわけで、結果として裏も表も均等に追っている。

だから「凡馬」の成績や、その後の繁殖生活にも通じることができ、その数はもしかしたらいまや生産の名人達をしのぐパターンを見てきているかもしれない。

これが意外と大きなポイントで、私は

▼裏には裏の特徴があるのではないか

という点に最近気がつき始めている。

上流から表のまぶしい舞台ばかり見ていると気がつかなかったかもしれないが、たとえダイナカールだろうが、フサイチパンドラだろうが、ラドラーダだろうが、ウインドインハーヘアだろうが、どんな名牝系にも「裏で走る活躍馬」が一定数存在する。

もちろん彼らが「実は表になる理論」まで私の調査が届いていないのかもしれない。(それにもいくつか思い当たる節がある)

しかし中島氏も「(コンプレックス等があっても)個別の馬体の出来具合はゆうにG1級という馬もいる」と書いているように、馬のデキがバツグンならやはり少しは走らなければ嘘なのであり、あえていえば

▼配合からより素直に大物を狙うのであれば表サイクルを目指すのが近道

ということなのかもしれない。

まあそもそも論として、この月のサイクルは現代の生産現場でひとつも使われていないのだからなんの役にも立たない、というご意見もある。

それは甘んじて受けるとして、でありながら古い昔に名馬を輩出していた方法があるならば、30年に1回くらいは名人達からその知恵を受け継いでおいてもバチは当たるまいと思う。

今でもハマるケースがある上、将来何がどうなって現代の生産方法が使えなくなったり、自然な交尾が推奨されたりするか、わからないものだ。
さらに競馬後進国で「自然に交尾させていたらすごい馬が生まれた」とか、あるいはサラブレッド以外の繁殖でも役立つときがあるかもしれない。

私がこのテシオ理論を少し掘り下げておこうと思った大きな理由のひとつが、何かをどうにか変えようというよりは、ここでいったん多くの方々にテシオ理論を知ってもらうことで、またあと30年は知識の消滅を防ぎたいと思ったからだ。

テシオ理論は血統を楽しむ手段として最高にロジカルであり、またロマンチックでもある。あえて何でも楽しい方向へ解釈していけば、自然とあなたの競馬ベストパートナーとなるだろう。

…うーん、小沢さんと一緒で、話が全然まとまらないなぁ。
シルクさんも、情報全然オープンにならないし…。

▼函館記念2020 月のサイクルがああなってこうなって現代に至るを考える バイオスパーク」への10件のフィードバック

  1. ブログで初めてコメントさせていただきます。
    いつもYoutubeで勉強させていただいてます。
    ありがとうございます。

    初歩的な質問で申し訳ありません。
    質問させてください。
    (過去の履歴すべて目を通せてないので過去お答えしてる質問だったらごめんなさい)

    ①Youtubeの一口クラブの動画でで月の判定〇とされているのは表ということでしょうか
    ②母親が表で新仔が裏となれば逆になった(あっていない)と判断してよろしいのでしょうか?

    1. いつもご視聴ありがとうございます。
      以下お答えします。

      ①月のサイクルの判定は「○」が表という判断で合っています。

      ②母Aが表で仔Bが裏とハッキリ判定できる場合は「仔Bが逆になった」と判断できます。
      表が「走る馬のサイクル」なら仔Bはちょっと苦しいですね。
      母と逆転しただけでは、NGではありません。競走で走った母と同じかどうかはスゴく重要です。

      しかしひとつ注意が必要なのは、そのまた仔C(つまり孫世代)は、母Bのサイクルに関係なく、裏にも表にもなり得るという点です。
      サイクルの決定はその代1代限りで、母からの継承はありません。(ドルメロ説)
      仔C(孫)は配合次第で、また表にも裏にも生まれるということです。

      1. 早速のご回答ありがとうございます。
        ちょっとづつですが理解できてきました。

        私が思ってる仔は表で
        母、母母ともに裏で母母はレッドチリペッパーです。
        (勢いで言ってしまった。。。)
        そこだけ見れば判定は【BAD】ということですよね?

        ホワイトペッパーの仔を見てたら裏でも表でも勝ち上がってました(う~ん、どっちだろう)
        レッドチリペッパーの他の仔、孫まではまだ見れてません。

        でも今回の種付けは数日前につけたら裏だったのに
        なぜあえて狙ったかのように表にしたんだろう?

        という疑問が。。。

        1. 具体例までは言及しませんが、そうやって調べていくのが常道ですね。
          また競走馬が走る走らないの線引きも難しいです。
          勝ち上がり=表、とも限りませんし、気性難やパーツの不具合も十分考えられますので。

          1. ありがとうございます。いろいろ考えてみます。

            レッドチリペッパーは誕生日では
            裏だと思ってたんですが
            競争成績見てると重賞勝ってるときが
            中性期間と取るなら表と思うのが妥当な気もしてきました

            やればやるほど悩みますね(笑)

    1. 小沢昭一さんが亡くなった直後のラジオに永六輔さんが出演して「ラジオでこんな話をすることになろうとは…やだねぇ」と寂しがっていた音源がありますね。
      またあのあたりのお仲間は、柳家小三治師匠たちと俳句の会でも一緒だった気がします。
      古くて、ウルサくて、いいオジサンたちでした。

  2. いよいよ、月のサイクルの本格解説ですね!
    テシオ理論では活力のある牝系の定義はあるのでしょうか?
    ブラックタイプの太字が多いこととイコールのような表現を多く見ますが、月のサイクルとの関連性にも注目しています。

    今年のユニオンの場合、アスタラビクトリアやキングスベリー、レディインディなど重賞勝ち馬の兄弟姉妹に当たる馬は比較的素直に見れるように感じており、ほぼ動画の解説とも合致していました。

    シルクも動画が公開され、お祭り騒ぎが始まりつつありますが、答え合わせも楽しみにしています。今年はシルクも牝馬ですかね?

    1. すぐに月のサイクルの本解説とはいかないのですが、いつまでもグレーゾーンにしておく訳にもいかないので、日頃の話題の中から少しずつみなさんに親しんでもらえらたと思っています。

      昨日夜からシルクさんの動画が解禁になり、いよいよ夏の陣が始まりました。
      シルク解説動画、近々解禁です。
      どうぞお楽しみに。
      お昼にミズノマスク買えなかったドルメロでした。

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