多くのご声援ありがとうございました
先日オーナー様に2021春季配合のご提案と繁殖牝馬全頭に関する基礎データをお届けし、今回のご依頼はひとまず私の手を離れた。
今後はオーナー様と懇意にされている生産者の方との話し合いで最終的な配合方針が進んでいくだろう。肝となる繁殖牝馬に関するデータもお渡ししたのは、今後ご質問等にお答えするときにそれを見ながらお話しできるからで、YouTube同様いつものパワポで製作したPDF形式になっている。
ドルメロ理論は私だけの手元にデータを抱えていても仕方のないこと。実践こそが理論の生きる道なのだから。
さて今回の出来事のまとめとして、またこの1か月必死に格闘した記録として、語れる部分だけにはなるが、ここにわずかながら備忘録として残しておきたい。
ひとこと、配合は奥深い!!
中島氏が自らを「主婦」ではなく「シェフ」の域にあるサラブレッド配合師、と自称していたことは著書の中でも語られている。
配合師の良いところは「究極の血統像」目指して自分で自由に腕を振るうことができる点にある。つまり人から依頼されるのではなく、自ら進んで配合できることが大切だ。
これは意外と大きな盲点で、たとえば現代においても現場にはプロアマ問わず、配合アドバイザーのような役割の方がいることはご承知の通りだ。
しかしアドバイザーは基本的に真っ白なキャンパスにぐいぐいと赤い絵の具を塗りたくることはできない。つまり何かしらそこには色なりキャンパスなりの「制約」があって、依頼主のご希望に添わせることも重要かつ腕の見せ所になる。
今回配合の現場に立ち会わせてもらった上で、私なりに考えたこの配合師とアドバイザーの違い、それは
馬を売る立場に近いか遠いか
と言い換えることができると思う。
テシオ理論を深く学ぶ中で、私はやはり「稀代の配合師といえどもあくまで凡馬の山から一握のダイヤモンドを掘り出したはず」という結論に至った。
それはJBISのサイト等でかつて中島氏が腕を振るった明和牧場時代の多数の生産馬を見ても明らかだが、とにかく出る馬出る馬がすべて走ることは考えられず(確率はすごかったと思う)、あくまで年間生産10数頭弱の小牧場が大手と肩を並べる躍進を遂げたことが功績だったのであって、中には凡馬もいたはずなのだ。
そこで考えなければならないことが、
凡馬をどう売るか
という難題なのである。
誰も中島氏の配合域に達していない以上、現代のアドバイザーは常に「馬が走るか走らないかは五分五分の確率」と肝に銘じて配合を考えなければならない。また生産の常として
走る馬は、必ず見出されて、売れる
というごく当たり前のこともわかっていなければならない。
大手のオーナーブリーダー以外、一定数の生産馬を外に出すのは当たり前。よってどんな優秀な配合理論を持とうとも、配合が当たらなかった後のこと、売却時のことをどのくらい考慮に入れるか、実は配合を志す上でのもうひとつの視点がここにあるのだ。
中島氏なら父メイワパッサーだろうが、父マチカネイワシミズ(悪意はない)だろうが父ミラクルアドマイヤ(本当に悪意はない)だろうが「オレが作った」と言えば売れたのだろうが、大多数の馬はそんな配合では売れるはずがない。
テシオ流配合に適する種牡馬自体は有名無名、多数いるだろう。かえってマイナー種牡馬の方があれこれ考えるのが楽しいくらいだ。しかしテシオ理論が見えていない市場に出す以上、産駒の父の名はいやでも最初に目につく「看板」だし、それが無名の種牡馬でどのくらい魅力を集められるか……悲惨な結果になるのは言うまでもない。
今回種牡馬に関するご予算もちゃんとご指示いただいていたが、かえって守るべきラインは高価格帯よりも「いかにそれなりの種牡馬で配合を組み立てるか」つまり安くなりすぎないことに留意した。
同じ主張なら、決められた範囲の種牡馬で別の表現をすることはできないか、そこが一番頭を悩ませたところだ。
その結果時間はかかったが、楽しく最後まで何度も見直し、できるだけ市場に出てきたときの印象にも気をつけながら、あくまで「走る芸術品」を生み出すことを目的に任務を完了できたのではないかと思っている。
しかしね、そう悲観したものでもないですよ
テシオ理論に関わると「マイナー血統で夢を見る」のような路線に走りたくなる気持ちはわかる。だが現実はそう甘くはない。自分で牧場でも持つ身分になれば話は別だが、私たちは今の事情に沿った配合でも立派に主張ができることを示してこそ、現代でもテシオ理論が本当に通用するのかという問いに応えることとなろう。
そういう広い意味で今度のお話はいい経験だったと言えるのであり、大きな水たまりに一石を投じられたのではないかと思っている。今のところはこんなあいまいな感じにしかお話しできませんが、ご了承ください。皆さん本当にありがとうございました。
P.S. 来週の動画は「香港国際競走2020」特集で、豪州産香港馬と欧州産の一流どころを血統的に分析した内容です。セン馬の分析などもしますが、馬券にはあんまり役立たないかな? 阪神JFはお休みの予定で、ブログには書くかも。
配合のお仕事、本当にお疲れ様でした。
ちょうどダビスタスイッチも発売され、私は生まれて初めてダビスタを買いました。控えめに言って、ほぼドルメロさんのブログのおかげですね(大笑 面白配合!!ホントに出てる!みたいな。
ゲームはやり直し効きますが、現実はそうもいかず。そう言った意味でドルメロさんの経験された事はホントにすごい!ゲームじゃなくて本当にターフで走って欲しいなあ。
阪神JFも楽しく読みました。白毛ワンツーあるかなあ?と。ちなみに、朝日杯の考察予定はありますか??
みたみたさん、こんばんは。
朝日杯FSは動画出す予定です。さっそく用意し始めました。
ダビスタいいなあ。ゲーム配信者さんのYouTubeいくつか見ましたが、ちょっとレースシーンが……かなあ?苦笑
昔みたいに直線でちょこちょこ真横に動かれるのも何ですが(明らかに妨害案件w)、にしてもやや動きが物足りない気がします。
完璧な配合とか、面白配合とか、懐かしいですね。
現実の配合では渋い話もしましたけど、私自身としては十分楽しみました。
誰か「これは完璧な配合です」って教えてくれれば、もっと気が楽だったんですけどw
血統3割、育成7割。
深い言葉ですね。
今年のG Iもグランアレグリア、ラッキーライラックなどクラシックを戦ってきた馬達が古馬になっても活躍し続けていますし、クラシックで無理をしすぎない、させすぎない育成手法も構築されつつあるように感じています。
ダビスタにも牧場施設の充実の内容が追加されており、どこまでそれが馬の能力に反映されるのかはまだ分かりませんが、育成の重要性はこんな所にも現れているのかもしれません。
種牡馬でイスラボニータなどがいなかったりしますが、プレステ以来の今作はなかなか良さそうですよ!
ドルメロさん、こんにちは。
配合検討お疲れ様でした。
ちょうどダビスタが発売されましたが、実際の現場と比べれば本当気楽なものです。(笑)
ドルメロさんのおかげもあり、2歳世代は好調。
ナスケンアイリスに続いて、ナイアードの仔も新馬勝ちしてくれました。この仔は命名馬でもあり、喜びも更に感じました。
残るスマッシュ、キストゥリメンバーはどうなるか?以前よりは少しばかり落ち着いた気持ちで見つめています。
それと共に最近感じるのは配合論はあくまで一つのスパイスに過ぎないという点です。生産〜育成〜デビューまでは数多くの方々の手がかけられ、日々接する方々の努力の結晶が、時に輝かしく、時に残酷に結果として現れますが、ある1つの考え方の絶対信者にだけはなりたくないな、と。
ドルメロさんのブログに出会い、1年半ほどが経ちますが、自分の中で判断する基準が軸として少しずつでも出来てきたから、そう感じる部分もあるのかな?と思ったり、思わなかったりする日々です。
走らないことを他責には決してせず、暖かく、楽しく見つめるスタンスでこれからもやっていきたいと思います。
香港の動画も必ず見ます!
海外で活躍する日本の競走馬がどんどん増えていくことが、これからは間違いなく必要な時代になると思っています。
ピーヤさん、こんにちは。
血統もそうですし、配合者はなおさら一神教の信者になってはいけないのです。
以前私に種付け情報サイトを教えてくださった牧場長さんが、「血統(配合)3割、育成7割」とおっしゃっていたのを記憶しています。
「血統1割、育成9割」でもなんら驚きません。実際にはその方が正しいとさえ感じます。
これからも信者を増やすのではなく、視聴者読者さんに新しい血統の考え方を探る手立てにしてほしいと、自戒を込めていつもそう期待しています。
Switchを手放してしまい、新ダビスタやりたいのに困っていますw
ヨドバシの福袋、当たらないかな?
アドバイザーお疲れ様でした。
安ければいいわけでない。将来売ることも考えないといけない。その上、テシオ理論で自分にも制約かけてお仕事なさってるのですからそう簡単な仕事でなかったでしょう。採用されて無事産まれて無事に競走馬としてデビュー出来るといいですね!
その点、一口馬主は気楽ですよ!マイナー血統で夢見れますし、自分がいいなと思った馬を1/400とかで買えるんですから。
配合お疲れ様でした~。
色々なご苦労、どの事業でもあるんだなと改めて実感しました。
私自身も今、仕事で大きな所をやってますが、色々な理由で専門家に聞くことができず(アコギなものではなく、社会経済的な問題で)四苦八苦しています。
でも、それと同時に人の役に立てる事とみればいいわけで、ものは考えようなのかなあと感じてます。
香港の話題も楽しみにしてます。
追伸
イワシくんはまたも3着。
今開催の阪神にもう一度出るみたいです。勝ってくれー(笑)
まあこのご時世、気楽な稼業というものはないですわw
悩みだけがどんどん大きくなるばかりでね。
あれ〜? 次走イワシくん確勝級と思っていたのに……
いかんいかん、勝っておけるうちに勝ってくれよ〜!
今年は読者さんの2歳持ち馬が調子いいようなので、私も赤本特集で見つけた5頭のうちの1頭、母リトルゲルダ(グレイイングリーン)を仮想持ち馬として皆さんに対抗しますよ!
フォトジェニック候補だった母ケンホープの仔も、デイリー杯で3着に来てくれましたしね。
配合アドバイザーとしてのお仕事お疲れさまでした。
MADAMA LYDIAさんがアドバイスして産まれた仔がどんな成績を残すのか非常に気になりますし、リアルタイムで応援できればどんなにいいだろうかと考えてしまいますが、MADAMA LYDIAさんのお気持ちは承知しています。
いつか時期が来たら教えて下さいね。
わにさん、いつもお気遣いありがとうございます。
今回の出来事に関しては、当初こうして小出しに書く気はなかったのですが、実名を挙げない程度に一般論として今後も途中経過くらいはお話ししようと思います。せっかく皆さんが応援してくださったのですから。
私は逆に実馬が産まれたら、心配できっとろくに応援できなくなってしまいそうです。
普段から一口馬主さんをすごいなと思うのは、そんな弱点もあるからですw