▼ディープのミニマム期産駒、イタリアで種牡馬として成功 1.31

YouTubeのお気に入りから情報仕入れました

私はYouTubeで他の競馬動画をほとんど見ないが、中でも数少ないお気に入りチャンネルが「オニオンむちお競馬ch」さんだ。この時期だと種牡馬ネタが多くて参考になるし、何より裏付けとして統計や数字をしっかり出す点と飾らない話しぶりが人気の理由だろう。

そのむちおさんが先日「ディープ後継、イタリアで種牡馬として成功」という動画を出された。せっかく私も今週「MAX活性期の父」動画を出したばかりで、少なからず関わりのある話題だから、ドルメロ流でもこの快挙を解説していきたい。

その父の名はアルバートドック

詳細は1月26日のヤフーニュースにもあるのだが、22年のイタリア・リーディングサイヤーに輝いたのは、日本のディープインパクト産駒であるアルバートドック。2012年の生まれだから、ドルメロ理論的にはちょうど父のミニマム期産駒になる。同期だと日本ではリアルスティール、マカヒキらがおり、いずれも種牡馬として稼働している。

この世代のディープ種牡馬が日本でもっとたくさんいたら、配合候補としてもスゴくい面白いのになぁと私は以前から考えていた。前年まで該当していたのはリアルスティールただ1頭であり、マカヒキはこれから種付けに入る父で間に合わず。ではその何が面白いかというと、

(22年産馬は)父系2代連続のミニマム期により、ディープ&サンデー両頭の活性値が極小の0.125を下回ってくる

これが配合論、とくに日本国内ではサンデーのクロスを回避する、ゼロ活性以外のもうひとつの解としてクローズアップされてくる。これを待っていたからこそ、私はクラブにおいてリアルスティール産駒の本当の狙い年が今年以降であると常々発信してきたわけだ。

ただ12年生まれ世代は、ダービー馬マカヒキに代表されるとおり、やや小粒なディープ産駒だったことも否めない。リアルスティールに関してもG1勝ちは海外のドバイターフのみで、国内ではいつも善戦止まり。母系の優秀さと合わせて種牡馬入りした印象もある。その世代のさらに3番手以降にいて、古馬重賞2勝のアルバートドックでは、国内でお呼びが掛かるわけもなかった。

だからこのディープ・ミニマム期世代の良さを、海外で一足早く明らかにしてくれた今回のアルバートドックには正直ビックリするとともに、配合論の正しさ、日本のリアルスティール産駒にもよい影響があるのでは…などなど夢(皮算用?)が大きく膨らむ。はたして彼の何がよかったのか、また今後イタリアで何が起きそうなのか、さっそく見ていこう。

アルバートドックの形は意外にも…

種牡馬ネタであるから、まずはアルバートドックの形…優先祖先を見ておきたい。もちろん彼も産駒もディープの形は継いでいない。

アルバートドックの優先祖先は、母父Unusual Heatの母系にいるデンマーク系を遡る。とくに母父Unusual Heatの母Rossard(牝・1980)はデンマークが生んだ伝説的名馬。国内の主要レースにとどまらず、移籍した米国のG1・フラワーボウル招待Hまで制した北欧の平地競馬史上最強牝馬と謳われる存在。アルバートドックにはこの北欧の血が流れている。

ただどちらかというとそれは凱旋門賞を制するような重厚さではなく、海の向こうの新大陸で軽いスピード比べが得意な芝適性を見せた。産駒ゴールデンドックエー&Unusual Suspectきょうだいを筆頭に、種牡馬Unusual Heatの代表産駒が軒並み米国で芝を走っているのも納得の結果で、これがアルバートドックのシャシーの原型、かつ父似産駒が遺伝する形となる。

そして今回イタリア年度代表馬となった19年産駒のTempesti(テンペスティ)こそが、ぎり父アルバートドック優先の父似馬であり、デンマーク産馬の優秀さを今に伝えているわけだ。

22年産駒、いやすでに21年産駒がおもしろい?

アルバートドック今年の1歳世代=22年産駒は父系の連続ミニマム期産駒なので、日本ならサンデーのクロスを回避できている期待の世代。しかしイタリアではその心配は皆無なので、むしろ父系の活性値が限りなくゼロに近づくことによる「ボス性復活」の方が効果としては大きそう。

しかしここで今週の動画を思い出してほしいのだが、ひとつ前の世代…アルバートドックのMAX活性期=21年産駒はどうだったんだろう、という検証もしておく必要がある。

それはアルバートドックがバリバリの早生まれ…1月21日生まれの馬であるからだ。彼は前年11年の2月8日に初回発情で種付けされた月の評価「S」の馬だから、MAX活性開始は12年2月8日、そこから4週間の下降準備期間を経て、3月8日種付け分からゼロ活性が開始するはず。

イタリアはサラブレッド生産国として数も往時の3分の1ほど、本当に二流になってしまったので、今でも現場がこんな3月8日という早期に間に合うよう発情を促すかはわからない。アルバートドックの活躍産駒も軒並み4月から5月にかけて種付けされた馬ばかり。通常なら今のイタリアでは暖かくなって自然と起きる発情に狙いを定めるのだろう。

だとすれば、アルバートドックの21年産駒のほとんどが、実は「ゼロ活性産駒」である可能性が高い。正直これはアルバートドックにしてみれば(欧州の中では)ちょっとした試練かも。なぜなら今のイタリアにいる繁殖牝馬たちのレベルがストレートに出てしまう世代だから。ただそれが100%悪いこととは思わない。むしろ軽い野生父系の血に目覚めたニュータイプ百獣の王が現れ、欧州を席巻することだってあるだろう。

ともあれ、アルバートドックの近2世代産駒は爆発力満載、何が出てくるかわからないびっくり箱状態だ。もし今年の欧州1歳セールで見かけたら、縁があったら、また皆さんにご報告したい。箔が付いたとは言えまだまだ産駒はお安いでしょうし、凱旋門賞向きではないなぁ、軽い日本の芝向きでしょうね。

▼ディープのミニマム期産駒、イタリアで種牡馬として成功 1.31」への3件のフィードバック

  1. やはり1月21日生まれには何かあるのでしょう。シンボリクリスエスしかり、高田純次しかり、そしてわたくしワ牛十兵衛しかり(←おい!)。

    同じ誕生日の先輩として、アルバートドックには頑張ってもらいたいですね(←どんなまとめ方だよ)!

  2. ロスヴァイセ産駒のスキルヴィングが2勝目をあげましたね。

    自然①の母ゼロ活性。

    これでサンデークロスも無効でしょうか。

    私は月のサイクルに自信を持てなかったのと母のゼロ活性で申し込みしませんでしたが、ドルメロさんは堂々のS評価でしたね。

    今日走ったナミュールもそうですが、母のゼロは評価が難しくて困ります。

    全体の基礎体力が大事になってくるんですかね。

    1. 基礎体力に関しては、母系全体が大切でしょうね。
      ただクロスに関しては、母のゼロ活性の効果(アウトブリード)をある程度認めた方が自然なのかも知れません。
      近く母ゼロ活性に関する動画を作ろうと思っています。
      しかしクラブ馬の評価は、どうしましょうかねぇ。悩みどころです。

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