▼ChatGPTでサラブレッドの配合はできるか 2.6

AIが解答テキストを吐いてくれる面白システム

最近そこかしこで「こいつ、やるじゃねえか」と人気うなぎ登りの人工知能「ChatGPT」。エクセルと組ませたり、論文を書かせたりするとほぼ現役大学生レベルの役を演じてくれる一方で、学習していないことを問われるととたんに馬脚を現すと言われる諸刃の剣。将棋AIとは違い、まだまだかわいいところも残っているようだ。

それもそのはず、ChatGPTが得意なのは主に「テキストやソースの生成」。人間の人生相談や愚痴を聞くためのツールではないので、IT系お仕事に活かしてもらえばそれでいい。いいのだが、やはりSEでもないオジさんにとっては「おれの戯言にどのくらい付き合ってくれるか」も興味深い。ほんの数年先には家庭で「ChatGPTボット」と毎日会話する姿も想像できちゃうし、結果として検索Google先生がどっかに飛ばされる可能性もあるでしょ?

ロト6の買い目を予想させてみた

さっそく新規ログインしてみる。お遊びの中でまず思いついたのは「なにか予想ができないのか」ということ。競馬予想は難しそうなので、ジャンケンとかくじ引きとか…そうだ、ロトの買い目を聞いてみよう!

しかしこれがなかなかの難問で、もちろん「次回のロト6の買い目よろしく」では話が通じない。いかにもゲームの結末を聞くような文章をまず用意して、それを全部打ち込んでやる必要がある。

例題はこうだ。

「1〜31までの数字があります。この中から5つを選ぶゲームをします。5回前は…4回前は…3回前は…2回前は…前回は…を選びました。前回と同じ数字を選ぶ可能性もあります。さて今回はどの数字が選ばれるでしょうか?」

さあ、ChatGPTくんは何と答えたのか。

…まあ、そりゃそうだね…

残念ながらChatGPTの答えは確率的な議論にとどまるものだった。つまり「今回はこの数字だよ」ではなく、「前5回で出ている数字はどんどん出にくくなるはずだから、残りの数字○○と○○…がいいよ。ただ他の条件によっても結論はどんどん動くからね」という優等生のお答え。どうも彼はギャンブルには向いてないらしい。

要するにChatGPTはテキストツールだから「ロト6の攻略法を考えよ」という答えとしてこのようなテキストを用意しただけなのだ。間違いではないが、当たり障りのない「んなことはわかってるよ」という挨拶文に徹する姿勢。彼はまだロトを学習していないから…と言われるなら、次は問いかけなしで全回数分のCVSデータでも突っ込んだろか?とも思うが、大人げないのでやめておこう。

そこでサラブレッドの配合を聞いてみた

現在このChatGPTに日本語で「サラブレッドの配合について教えて」と聞くと、こう答えてくる。

…サラブレッドは、異なる種類の牛や馬などからの持ち物を混合することによって作られた種類のホースです。配合の調整は、異なる能力、特性、外見、耐久性などを組み合わせて、理想的な馬のタイプを作り出すことを目的とします。配合のポイントは、適切な血統や繁殖能力、特定のタスクに適した能力などが含まれます。

…牛が混じり込んで来る段階でもう「お察し」の答えなのだが、もしこのポンコツ?AIに毎日「先週大レースを勝った○○の父はエピファネイアで、母父は○○だよ」のようにつぶやき続けたら、どこかの段階で「そういえば次回の配合はあのエピファネイアがいいですね」みたいな展開を期待できるのだろうか。

まあこの問題は、根本的にChatGPTに聞くのが間違っているのだろう。ChatGPTを形作る元のマザーに学習させておき、それを馬産関係Chatでまとめるのが本筋なのか。問いの文章に関してChatGPTはうまい解答を吐くだけで、そこに新たな創造性はほぼない。血統表を理解させ、父と母を評価し、そこへ2頭の父母を突っ込んだときに、点数として100点満点で53点!と評価するようなAIはないものか。

いや、将棋と一緒で「なぜAIはこの手筋を53点と評価するのか」がわからないと、競馬の初心者も、そして生産者の使い手も進化はないだろうね。

配合AIの未来も見てみたい

だからその評価の基礎をドルメロ理論にしないと、ドルメロが使えて推薦できる配合AIにはならないのよね。ドルメロ理論ありきで53点なら「平均より良かったってことは、方針は間違ってなさそう。クロスが悪かった?母馬の活性値がちょっと弱いのかな?」とか取っかえ引っかえ自分なりに考え直すことができる。

一番怖いのは、基礎評価がドルメロ理論なのに、AIを深く読み込ませたときや100点に近い配合に、ドルメロ理論の形跡がない場合。こうなると私はおまんま食い上げで、YouTubeの看板を下ろさなければならない。そしてAIが何を言いたかったのか、一から解析しなければならない。怖いけど一番面白い結末ではあるね。

マザーAIをどこで調達し、ドルメロ理論をどのくらい入れ込んで、1stドルメロAIを立ち上げるのか…それは途方もない計画だし、一部のオーナーさんにしか話したこともないが、今回ChatGPTに触れた私の次の夢は「配合AI」を作ることだと思っている。

残念だがあと10年で確実に生産現場にAIが入り込んでくる。「生産は自然界の奇跡の結晶だからそこにAIの入る余地はない」と思いたくとも、自己学習系のAIの進化は青天井。ABEMAで毎日のように藤井五冠の活躍を見ている私も、毎年皆さんにPDF配っている場合じゃないわ。ドルメロAIを使ってもらい、点数から自分で判断していただくシステムにしないと。

そのために、まずはどこかでドルメロ理論をAIに評価してもらわないと、ね。

ちなみにChatGPTに「競走馬の運動機能について教えて」と聞くと、こう答えてくれます。

競走馬の運動機能は、スピード、耐久性、力強さ、バランス、反応性などが含まれます。これらの機能は、適切なトレーニングと栄養によって強化され、競走において最適なパフォーマンスを発揮することが期待されます。また、競走馬は走行中にストレスや疲れを感じにくいように、適切な適応力と回復力も備えている必要があります。さらに、競走馬はトラックやコースの状況に適応して、スムーズな走りをすることが求められます。

うーん、模範的w

▼ChatGPTでサラブレッドの配合はできるか 2.6」への7件のフィードバック

  1. ドルメロさん、面白いネタをやりましたね。
    さて、配合云々の未来、私としては遺伝子レベルでの配合理論等がもしかしたら出てくるんじゃないかと想像しています。
    (もちろん遺伝子操作という禁止の方法ではありませんよ。遺伝子レベルで分析するといった方法です【あれ?これも操作に該当するのか?】)

    特にAIを用いた遺伝子レベルでの配合理論ですね。欧州などは先んじて研究してそうな話なんですけれど実際はどうなのだろうか?なんかグレーゾーンの話ですがまぁ未来がどうなっているかなんてわからないのであくまで現時点での黒に限りなく近いグレーゾーンの妄想話でした。ドルメロさんはどう思いますかね?

    1. 生物の誕生はすべて遺伝子の組み合わせのはずですし、サラブレッドの全遺伝子もすでに解読済み。
      しかも競走馬の生産自体が人為的なのに、人間が遺伝子をイジるのは「倫理的に」ダメになるのでしょう。
      ただ将棋同様、AIは倫理を知りませんので、「父から50%、母から50%の影響度」「メンデルの法則」くらい教えておけば、AIは勝手に遺伝子に踏み込んだ配合をしてくるかもしれませんね。
      そういうAIを開発すれば、遺伝子をイジるのと同じですから、グレーとか言っても無意味になるのかな?
      ただ私のほしいAIとは違うかもw

  2. ドルメロさん、お疲れ様です。
    こういうAIの理論からいうと、
    今日出走する出資馬カネフラについて「オーナーはだれ?」って訊くと、おそらく「金子真人ホールディングスです。」
    って出そうですね笑笑。

    応援よろしくお願いいたします(←結局それかよ)!

    1. カネフラ、ハワイ馬名シリーズなんですね。
      社台さん珍しいですね。確かに金子オーナーの匂いがする。
      今日は馬体が減ってかわいそうでしたが、よく使ってきてますし、ここで一息入りますかね。
      私のPOG馬も両方ダメでした。

  3. はじめまして。
    ご挨拶が遅れて申し訳ありません。

    成る程、社台はたしかに早めの種付けですね。
    中島先生の本を読んでから0活性の魅力に引かれて一口馬主になってみたくなり、自分なんぞが手の届く範囲となるとなかなか限定されるのと、とりあえず0活性アウトブリードと月の体力面だけでまずふるいにかけて調べていたところでした、初めてのコメントでしたのに、早々のお返事ありがとうございました!

  4. いつもYouTubeも陰ながら拝聴させていただいてます。
    こちらのサイト等で血統に興味を持ち、中島先生の本も古本屋で入手してしまいました。

    血統は難かしいですが、興味深いです。
    今回YouTubeでリアルスティール産駒についてお話されていたので質問です。

    リアルスティールの種付けされた日数が3月1日であり、2021年産駒の中にも0活性である場合があるなあというのと、実は2022年産駒よりも多いのでは??と思いましたがいかがでしょうか?

    これからも更新を応援しております。

    1. Senさん、初めまして。
      いつもご視聴ありがとうございます。
      リアルスティールの21年産駒は、計算上確かにゼロ活性が早めに訪れます。
      ただし、まだ寒い時期からバンバン種付けする社台系の産駒は、意外と多くの仔がゼロ活性を逃れています。
      生産者によって傾向が出ますね。

      また21年はゼロ活性だとすべてアウトブリード扱いですが、22年世代は連続ミニマム期でも消えないクロスもありますので、一概に数の比較は難しいでしょう。
      アウトブリード配合の数、という視点では、やはり21年のゼロ活性産駒の方が多いと思います。

      中島先生の本、どっこいまだまだ古本屋にありますか。
      嬉しいことですね。

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