スプリンターズS2018結果を左右する最大の要因は馬場だ
先週の土曜中山メイン・セプテンバーSを圧勝したモズスーパーフレア(牝3・父Speightstown)は連闘でここに出られれば勝ち負けになったかも?というスーパーパフォーマンスを見せてくれた。
この馬は春のファルコンS当時に当ブログでも「基礎体力バツグンで距離こなせば侮れない」と推した大穴候補(9番人気で結果は4着)。
ひと夏を越してついにホンモノになった感があり、今後はもう目が離せない韋駄天娘だ。
さてその彼女が走破した中山の芝千二のタイムは1分7秒0。
ホントにこれが稍重かというくらい飛び抜けて速いタイムで、後続に納得の3馬身半差。
さらに日曜メインの菊花賞トライアル・セントライト記念。
馬場読みでは1枚も2枚も上手のルメール、武豊が通った直線の進路はいずれも「最内」。
とくにルメールはいつもならあそこでジリジリ外に寄る4角でもまだ動かず。
2拍追い出しを我慢した後、やおらレイデオロの口を内に向け、直線では1番アルアインのさらに内をすくうプレーに出た。
ホントは枠順が内のユタカが先にこれをしたかったはずだが、完全に踏み遅れての3着はいかにも消化不良だったろう。
つまり、先週までの中山芝は「外を回した差し馬では全く歯が立たないパンパン内有利馬場」であり、本来なら季節柄今週もこの傾向が続く予定だった。
ところが折しも週末は台風24号の影響がありそうで、今度は稍重じゃ済まない感じ。
となれば前哨戦・セントウルSのように重適性のあるグレイトチャーター(牡6・父サクラバクシンオー)役が躍進してもおかしくないし、また外差しが突然効く馬場に変わっても驚けない。
そこを踏まえた上で、次からの考察を読んでいただきたい。
近年のスプリント界には明らかな血統傾向がある
もうおわかりのように、本ブログの血統解説は「父が○○だから」という単純なものではない。
産駒に関係がなければ(つまり劣性期であれば)文中で一度も父についてふれることはないし、逆に母についてはこれでもかと過去をほじくって調べるのが普通。
で、今回もそうしてみたところ、近年スプリント界で幅をきかす活躍馬たちには3つの共通項があることがわかった。
まずはここ3、4年のスプリントG1勝ち馬たちの優先祖先と基礎体力値を列記しておく。
・レッドファルクス →エンドスウィープ(ダ7ハロン) 50
・ストレイトガール →フジキセキ(芝マイル) 63★
・ファインニードル →ロイヤルアカデミーⅡ(芝6ハロン) 41
・セイウンコウセイ →Hidden Talent(ダ6ハロン) 47
・ビッグアーサー →サクラユタカオー(芝9ハロン) 69
・エアロヴェロシティ →サートリストラム(芝マイル) 63★
・スノードラゴン →サウスアトランテイツク(芝クラシック) 44
共通項その1
▼父そのもののスプリント力を活かしたスプリンターは少ない
わずかにストレイトガールが父フジキセキ優先の馬になるが、ご承知のようにフジキセキはスプリンターではないし、またストレイトガール自身ものちにヴィクトリアマイルを勝つような距離万能の女王だった。
ということは、だ。
共通項その2
▼父が劣性期で母系のスプリンター血脈を活かした配合が強い
今年人気になるファインニードルは父アドマイヤムーンミニマム期産駒のため、2代母の父ロイヤルアカデミーⅡ(1987)が優先祖先として浮かび上がる。
ロイヤルアカデミーⅡはスプリント系のマイラーで、6ハロンのG1・ジュライCを制しており、バックボーンとしては申し分がない。
また同い年で同じ父産駒でもあるセイウンコウセイも、父ミニマム期につき母父のCapote(1984)からHidden Talent(1956)というダートスプリント牝馬にたどり着く。(ちなみに本馬の栗毛はその母Dangerous Dameに由来する)
さらに体力面では
共通項その3
▼連覇するなら基礎体力は平均以上が必須条件
とくにいくつものG1で長い間好勝負を演じるには、母系でのMAX活性継承★が必要。
現にストレイトガール、そして香港のエアロヴェロシティは1回のMAX活性を持つ基礎体力高めの名馬で、G1を複数回勝っている。
これを今年のメンバーに当てはめると…
さてここからは今年の予想に入るわけだが、まず春秋スプリントG1連覇がかかる大本命・ファインニードルについては…
→基礎体力41は平均以下で、重の前哨戦勝利も体力的には実は余計?
→よって危険な人気馬
と見るのが血統データからの結論だ。
では2番手以降の人気サイド馬についてはどうなのだろうか。
・アレスバローズ →ゼダーン(芝6ハロン〜) 41
・ナックビーナス →パインブラフ(ダ7ハロン〜) 28
・ダイメイプリンセス →Wishing Well(芝9ハロン) 44
JRAのHPで紹介されている有力馬の血統構成はこんな感じ。
ダイメイプリンセスについては、優先祖先うんぬんより気性的な問題でスプリントが向いている感じで、G1を争うには…。
となるとモレイラ騎乗のナックビーナスはどうか。
確かに優先祖先は合格も、この馬の基礎体力の低さを知っている当方としては、マジックマンの手腕を持ってしても入着止まりの評価が精一杯か。
ここまでじっくり時間をかけて馬を完成させたことと、低い基礎体力との整合性は取れているけれど…。
ならば中山芝追い込み不発説はあっても、重賞連勝中のアレスバローズの勢いを買う方が、まだ狙い目はあるのではないだろうか。
もし嵐が過ぎ去っていたら買って欲しい馬が1頭いる
実は台風の被害が少なくて済んだら(ワンチャン月曜順延開催ならさらに)、面白い存在になると踏んでいるのが、ムーンクエイク(せん5・父アドマイヤムーン)だ。
・ムーンクエイク →Red God(芝6ハロン〜) 72★★
本馬の栗毛は名うての気性難で鳴らすRed Godに由来するもの。
だからまあセン馬になるのも…の結果で、むしろこれからが彼の実力を発揮する時期。
この馬は春の京王杯SCのブログで紹介(勝利)しており、2回のMAX活性継承で高まった基礎体力72が頼もしい。
肝心のスプリント適性だが、本馬の力が出るかどうかはあくまで「馬場次第」。
だから前走の稍重札幌洋芝は問題外の条件で、あれで彼のスプリント能力を測ってはならない。
確かに当日も馬場が稍重より悪ければ、おそらくどこにもいないことになるが、予想外に雨が少なかった、馬場が乾いた、しかも内枠でも引けばルメール込みでちょっと狙ってみたい。
7秒台前半の決着なら、きっと順番が回ってくる。