先週はクラブ馬に関する話題から少し離れて、今週からのネタをいろいろ考えていたのですが、来月初めからロードサラブレッドオーナーズさんの1歳馬がいよいよ募集開始ということで、これは前からやろうと思っていました。
なにしろあの名馬ロードカナロアの故郷でもあり、今年もドババババ!とロードカナロアをつけた母馬がたくさん用意されていますので、カナロア産駒が気になるならぜひとも見ておかなければならないクラブのひとつです。
そこで今週はロードさんにおじゃまして、3、4回にわたり募集1歳馬情報をお届けするとともに、週末のG1・菊花賞くらいは血統評価をすることにしましょう。
ロードさん特集の初回は、看板でもある東西のロードカナロア産駒OK馬編です。
今回ご紹介する全ての馬がOK判定です。
ロードHC1歳馬 東西ロードカナロアOK産駒結果
【スピードサイクルOK判定の馬】
1 エンジェリックレイの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 キンカメ
【基礎体力】 53〜78(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
安田翔伍厩舎 予定
母はMAX活性のかたまりのような繁殖牝馬で、もし正確な情報がわかればすべての数値が一変してしまう可能性も残されています。
まず母の父ダイワメジャーと3代父HaloがともにMAX活性というのがミソ。
本来なら17年度はロードカナロアのMAX活性年なので、大概の産駒の優先祖先は見なくてもカナロアかキンカメで決まりなのですが、本馬は祖先3頭の1日単位での種付け日「早遅」が確定しないとなんとも言えない状況です。(いちおう常識的にはHaloが一番活性高い)
また2代母レディバラードは3代母Angelic SongのMAX活性年産駒なのですが、これも3代母の9歳2か月時にうんと近い種付け日と予測されるので、実はバラードは単なるゼロ活性馬という可能性があります。
まあそこは叔父にダノンバラード(父ディープ・AJCC勝ちなど)もいることですし、いちおうはMAXと判定しますが、好きこのんで選ぶまでには勇気がいる1頭です。
スピードサイクルは非常にきれいな順のサイクルを描いて申し分ないだけに、もっとわかりやすい配合ならわかりやすい特色の仔が出ると思いますが…。
本馬はスペシャリストを出す配合でないことは確かです。
7 レディルージュの17(牡・鹿毛)
【優先祖先】 Pilot Bird(牝・1983)
【基礎体力】 47(平均は50)
【適 性】 芝のマイル〜
安田隆行厩舎 予定
クラブゆかりの系統できょうだいも全てロードさんの馬ですが、なかなかに難しい面があるらしく…。
とくに2つ上の全兄・ロードラズライトが「セン馬」になっていることには注意が必要です。
兄の種付け年は母レディルージュのMAX活性年で、兄は体力面ではきちんとその恩恵を受けることができました(数値は66)。
にもかかわらず精神面?に問題があったとすれば、これはやはりキングマンボの3×3という極めて近いクロスの弊害だと感じられます。
2代母サッカーマムの父キングマンボは、活性にしてMAXを8(なおかつ高活性は4以上)としたときの1程度と極めて弱い値ですが、父系はそうもいきません。
まずいつも「キンカメはキングマンボの仔ではない」と言っているとおり、キングマンボとキンカメの関係(劣性期)自体は活性にして2程度です。
しかしロードカナロアはキンカメのバリバリ高活性時産駒なので、数値はかけ算方式に跳ね上がり、2×1.5(カナロアの15年活性値)=3と、ひとつ代は経ますが祖父より濃くなるのです。
実はこの活性値含みの値が父母どちらかで0.5を下回れば、クロスとしては無害だと考えてもいいのですが、本馬や全兄の場合、父方にしっかり3(本馬は4)という整数値で残りますので、やはり精神に何らかの影響があるのかもしれません。
なおクロスは3×3が強くて5×5が弱いと考えるのは早計です。
クロスの強さはあくまで活性値の合算であり、代が近くても劣勢×劣勢(×劣勢…)ならば、思ったより弱い影響ですむこともありますし、また父母どちらかがゼロ活性であれば全くの無害も夢ではありません。
とにかくクロスは近さ=強さではありません。(これに関しては世界の生産界にその名を知らしめた超有名な配合があるので、またの機会にご説明します)
残念ですが、本馬にも再び精神的影響が見られるならば、将来的にはロードカナロアとの配合はあきらめるべきでしょうね。(18年産も父ドゥラメンテなので同様の悪影響ありか)
8 ティアドロップスの17(牝・鹿毛)
【優先祖先】 ロードカナロア
【基礎体力】 69(平均は50)
【適 性】 芝のマイル
安田隆行厩舎 予定
16年不受胎の後に再挑戦したカナロア産駒で、母としては実質ラストに近い良質産駒だろうと思われます。
母系は今まで出てきたどこの系統にも属さない、言ってみれば傍系血脈ですが、スピードサイクルは代々非常にきれいに整っており、走る馬とそうでない馬の判別が簡単にできます。
中でも母ティアドロップスは、3代母ダイワスワツプス、2代母パイナップルスターと連続してMAX活性を継ぐ「隠れた名繁殖」です。
母自身は未出走で早くから繁殖生活に入りましたが、その恩恵を受けた産駒を並べると
▼母ティアドロップス 97年4月6日生 3.20〜5.20
06年 トップクリフォード(父ジャンポケ・すみれS勝ち)
06.2.19生 き×
07年 シルクアーネスト(父グラスワンダー・福島TVオープン勝ち)
07.3.4生 ぐ○
08年 マイネルラクリマ(父チーフベアハート・重賞3勝、8歳まで現役)
08.2.20生 き(×)
であり、次いで地方出身ながらOPまで出世したのが当クラブ所属のロードセレリティでした。
13年 ロードセレリティ(父キンカメ・朱雀S勝ち)
13.4.7生 ぐ○
いかがでしょうか。
こうしてサイクルさえ合致すれば母は3年でも4年でも連続して走る仔を出すことがわかりますし、うまく育てば海外まで連れて行ってもらえるクラブ馬に当たることだってあるのです。
ちょっと勢いは下火になりましたが、本馬も兄たち同様の活躍をする可能性は十分残されています。
ただやはりカナロアの活性が強いので距離的な適性は案外狭く、マイルまでが守備範囲になるでしょう。
もちろん繁殖としての楽しみの方が数倍大きい気がします。
9 パーフェクトトリビュートの17(牝・鹿毛)
【優先祖先】 ロードカナロア
【基礎体力】 44(平均は50)
【適 性】 芝のマイル
友道康夫厩舎 予定
残念ながら本馬は母のゼロ活性馬で、本来ならもっと上を望めた器だったかもしれませんが…。
母は誕生日が1月14日!という早生まれなので、本馬を種付けした予想日5月初旬にはすでに9歳を4か月ほど経過しており、これは残念ながら判定に手心を加える余地もありません。
これまでの産駒があまり走っていませんが、初仔の持ち込み馬以外はBAD判定。
その唯一OK判定馬だったロードフェイム(14年産・父Dansili)も父のDansiliがミニマム期という難しい馬で、優先はSadler’s Wellsの母系に流れていきます。
Sadler’s Wells系が強調されすぎると日本で活躍するのは難しく、案の定兄は芝の未勝利戦2400で3着に入ったり、転出した大井のダートで1勝を挙げたりと、いまいち適性の見えない仔でした。
こういう繁殖には活性が高い年の父馬を持ってくるに限ります。
その点この年のロードカナロアは文句のないお相手で、これでやっと母の実力を測ることができるかもしれません。
基礎体力に欠ける点だけが残念ですが、そこは名門・友道厩舎所属という幸運もありますので、慌てずゆっくり結果を出してほしいですね。
次回はその他のカナロア産駒と人気種牡馬の産駒をまとめてみていきます。