今回も良い判定の馬から順にご紹介しています。
動画は判定の後に見ていますので、視聴後の感想は善悪さまざまに分かれています。
またBAD判定馬はあえてコメントなしとしましたので、あしからず。
ノルマンディーOC1歳馬 判定結果
11 ハッピーダイアリーの17(牡・鹿毛)
判定 【ぎりOK7日】
父・ハービンジャー
【優先祖先】 Involvement(1960)
【基礎体力】 41(平均は50)
【適 性】 ダートor芝の中距離
美浦・奥村武厩舎 予定
満口
まずは母の判定がOKで確定すれば、この仔の走る確率もグッと上がります。
母系は古い社台系の中でも比較的地味な印象で、ビューティーメイク(1989・父リアルシヤダイ・ドンカスターS勝ち)、グロリアスウィーク(2003・父スペシャルウィーク・弥生賞、シンザン記念ともに2着)など、渋い活躍馬をポツポツ出す系統です。
中でも母ハッピーダイアリーの競走成績は特徴的で、デビューからダートの短距離ばかりを3連勝。「これは韋駄天娘の誕生か」と期待されながら、なぜかその後は準OPでパッタリ頭打ち。
芝転向も功を奏さず、結局2年間でわずか9戦のキャリアのみで繁殖入りした、何とも「つかみづらい」牝馬でした。
しかし競走に十分なスピードを有していたことは確かで、判定はぎりBADなのですが、今振り返ればこれはOKとしてもいい気がします。
カタログには「鼻筋の通った端正なマスクなどから父の影響を強く感じる」とありますが、残念ながらこの年のハービンジャーは劣性期まっただ中。
ではこの馬の形はどこから来たのかというと、母父アグネスタキオンを介してロイヤルスキー(1974)の母系へと流れています。
タキオンといえばサンデー劣性期の栗毛ダート血統馬。
先行押し切りのレースぶりもどこかアメリカナイズされて、あらゆる点が異質のサンデー産駒でしたが、本馬はその母系を通じ米系でも傍流として名高いインテント系のInvolvement(黒鹿毛)という馬の形を継いでいるようです。
おそらく主たる適性はダートだと思いますが、インテント系はIntentionally(1956)などに代表されるよう芝もこなす産駒が多数いますので、芝ダ兼用の孝行クラブ馬になるかもしれません。
動画の印象は可もなし不可もなしといった感じで、幸いダート馬らしいそぶりはあまり見せていませんね。
NorthernDancerのクロスがたくさんあるのと、基礎体力が低めなので、煮詰まらないように精神的なケアが欠かせないタイプです。
16 キョウエイハツラツの17(牝・芦毛)
判定 【ぎりOK6日】
父・ジャスタウェイ
【優先祖先】 ハーツクライ
【基礎体力】 66(平均は50)
【適 性】 ダートor芝の中距離
美浦・中舘英二厩舎 予定
満口
どこからどこを見てもダート血統のようですが、ひょっこり芝を走ってもおかしくない配合だと思います。
きょうだいにリッカルド(父フサイチリシャール・エルムS勝ち)、近親にワールドクリーク(父マジックミラー!・東京大賞典勝ち)ですから、スタミナ、パワーは豊富。
そしてこの馬も活躍馬同様芦毛に出たとくれば、もうダートデビューは確約されたようなものですが、実は芦毛という毛色はさほど心配のいらない(?)毛色でして、鹿毛などと同様、出るときには何の脈絡もなしに出ます。
日本では芦毛親の仔はどうせ芦毛、のような風潮がありますが、ねちっこいのは栗毛だけで、芦毛はもっと簡単に発現します。
(本ファミリーの芦毛伝説は5代前のシルバーシヤーク(1963)由来と思われる)
よって計算通りこの仔がハーツクライ優先なら、ワンチャン芝だってこなしていいはず、と淡い期待を寄せてしまうのですが…。
母系の中では2代母の父ミシシッピアン(1971)がMAX活性で、その父である凱旋門賞馬・Vaguely Noble(1965)の影響が重厚さとしてファミリー全体に出ている気がします。
ミシシッピアンはスタミナ系種牡馬という声もありますが、実際の現役時は仏のグランクリテリヨムを制した早熟のマイラーで、距離もニエル賞で11ハロンをやっとこなした程度。
逆にVaguely Nobleの方が米国でもダートの長距離馬(12ハロン以上)を出していますのでね。
動画ではトモの運びにいまいち軽快さがなく、やっぱりスピードというよりはスタミナなんだろうなという印象。
ただ落ち着きは十分あり、代々の父の活性値がバラバラなことから頭脳の明晰さも期待できますので、いったいどんなタイプに育つのかわからないところがまた本馬の魅力に感じます。
さて次回はノルマンディーOCさん2018の1歳馬ご紹介最終回です。
どうぞお楽しみに。