まずは血統表を見ておもしろいこと請け合いのクラブから
今日になって各共同馬主クラブの2歳馬ラインナップなどを調べ始めたのですが、大手どころはどこもかしこも「ディープやオルフェ、Rカナロアのようなエース種牡馬の産駒が走るか走らないか」に左右されがちなので、血統表を見ていてもつまんないんですね。
また高額募集馬を「走らないですよ」って堂々と言うのも気が引けるし(これからはズケズケ言いますけど)。
そこで2歳馬情報のトップバッターとして、血統表検討のしがいがある「ラフィアンターフマンクラブ」さんにご登場いただくことにしました(準備体操って訳じゃないけど)。
案の定、募集馬は血統のバラエティに富んでいて「こういうクラブから走る馬を選べたらきっと嬉しいんだろうな」と思います。
血統の話もウンとしやすいです。
なお、私はパドックで馬を見るのも好きですが、ここでは馬体の善し悪しについては参考程度にしておき、毛色などの情報を得るだけにしておきます。
あくまで血統表から見たその仔の適性などを語っていきますね。
まずは募集価格から目星を付けてみた
今回お話しする2歳馬は、募集価格もそれなりの
ヴォイスオブジョイ(20万)
マイネルエイブ (38万)
マイネルデーゲン (48万)
の3頭です。
どの馬も仕上がりが進み、デビュー間近で、しかもちょっといい価格で募集されている「期待馬」ばかり。
さっそくご紹介します。
「マイネ」とつけない牝馬には何かある?
▼ヴォイスオブジョイ(牝2・水野貴広厩舎)
父マジシャン
母父サイレントネーム
3月19日生まれ 黒鹿毛 推定体重460キロ
この馬は外国産馬で、カタログによると「ファシグティプトンのターフショーケース」という芝向き馬を集めた珍しいセールで購入されたそうです。
父のマジシャン(2010)は、ガリレオ産駒のマイラーです。
【診断結果】
・優先祖先 母父 サイレントネーム【訂正】
・基礎体力値 38〜63(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 明晰
・総合 ☆☆☆★★
この馬の優先祖先である母父サイレントネームは、北米や仏で芝のマイル重賞を勝ったサンデー産駒。
いわば日本血統の里帰りでもあります。
こういうケースが今後成功するかどうか、興味深い先駆けの例となるでしょう。
サイレントネーム自身は、Haloの母であるCosmah(1953)の隔世遺伝を受けています。
マイル以下でもスピードを発揮でき、活躍の場が多い馬になりそうです。
計算上の体力値は38〜と平凡ですが、その2代母自体が満点か0点かの瀬戸際にいるので、調査次第で平均以上にジャンプアップする可能性も残されています。
母シシーバ(2009)の良い発情期は、普通なら2月2日から4月2日ですが、この馬は逆サイクルらしく、ヴォイスオブジョイはこれに幸い?当てはまらずに良いスピードを継いでいる可能性があります。
また代々の配合血統が、セントサイモン系、ネイティヴダンサー系、サンデー系ときて、最後にノーザンダンサー系ですから、ネアルコなどの同系弊害もありません。
唯一デインヒルのクロスが生じている点が気がかりですが、これも計算上残存するものの(0.56と0.375>0.125)ギリギリに抑えられ、そう悪くありません。
健康で良質な「クラブ向き」ダートのマイラー
▼マイネルエイブ(牡2・西園正都厩舎)
父イントゥミスチーフ
母父ストラヴィンスキー
5月7日生まれ 鹿毛 推定体重490キロ
この馬も外国産で、米国のセール出身馬のようです。
父イントゥミスチーフは、日本でもポツポツ走る仔を出していますが、あまり父の影響が強くない産駒が多いです。
【診断結果】
・優先祖先 3代前父Loose Cannon または 4代前父Gentle Smoke
・基礎体力値 63(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 コンプレックス強め
・総合 ☆☆☆★★
優先祖先はどちらをとったにしろ、ダートのマイラーで間違いありません。
プリプリした丸っこい体型はいかにもパワー型で、体力値も高め。
クラブ馬ならこういう馬に長く走ってほしいものです。
母Springの初仔でもあり、体力的にはプラスアルファが見込めますが、逆に初仔というのは「コンプレックス」には弱い面があります。
加えて代々の配合にノーザンダンサー系が3回使われており、一度競走で序列ができあがってしまうと「下克上」を起こすまでのスピリットには欠けます。
またこの母も逆サイクルの繁殖牝馬と思われ、エイブは良いスピードを継いだ可能性があります。
際立った特徴には欠けますが、こういう馬にコツコツ稼いでもらうのもひとつの馬主ライフです。
私は決して悪い馬とは思いません。
体力の鬼ではあるがスピードいまいち
▼マイネルデーゲン(牡2・田所秀孝厩舎)
父スクリーンヒーロー
母父フサイチコンコルド
2月14日生まれ 黒鹿毛 推定体重470キロ
母イットウリョウダンも現役時51戦を走りきった女傑で、この母系には基礎的な体力はありますが、どうスピードを引き出すかが一番の問題です。
【診断結果】
・優先祖先 母父フサイチコンコルド
・基礎体力値 81(平均50)
・スピード 疑問
・頭脳 普通
・総合 ☆☆☆☆★
優先祖先は母父のフサイチコンコルド。
フサイチ自身も3代前のイングリッシュプリンス(1971)という愛ダービー馬の影響が強いので、スピードさえ整えばクラシックディスタンスでおもしろい存在なのですが…。
母の良い発情期は4月30日から6月30日で、この馬は残念ながら最高の時期を逃しているようです。
こうなるとスピード面での上積みが見込めず、丈夫ではあるものの入着を繰り返す条件馬になってしまわないか、心配です。
4代前のリイフォー(1975)に血統的影響がないので、頭脳面ではさほどコンプレックスに弱いとは思いませんが…。
いかがでしたか。
まあ、こんなデビュー前のオッサン評価はあってないようなもの。
コメントを吹き飛ばすような清々しい走りを見せてほしいものです。
さてこれからはこんな調子で毎回注目2歳馬を血統で見ていきますが、次週はいよいよ有力クラブの「ディープ産駒」から順に評価を掲載していきます。
辛口にはなりますが、プチ馬主ライフ?の参考にしてもらえれば幸いです。
また、もしみなさんの気になる2歳馬がありましたら、ぜひこちらに教えてください。
優先して分析してみようと思います。