▼安田記念2018 スワーヴリチャード東京マイルG1「挑戦」成功確率50%の意味とは

おもしろいことをしてくれると血統を見る甲斐もある

これが秋の天皇賞なら何も言わずに断然人気のスワーヴリチャード(牡4・父ハーツクライ・庄野厩舎)だが、ことマイル戦となれば得意の左回りといえどもスピード馬に足元をすくわれる危険がある。

なにしろ昨秋にはいまや「ステイヤー」のテリトリーに属するAR共和国杯を圧勝し、有馬記念で4着。
本来ならとても翌年の安田記念を制するキャラではない。

また古い話ではあるが「ナリタブライアン高松宮記念(当時は宮杯)参戦」の顛末も知っている方なら、あれほどとは言わなくても、G1馬のチャレンジングな距離短縮作戦がうまくいくのかどうか、非常に興味深いところだろう。

まあ過去には安田記念で連対した後、天皇賞秋を勝ち、引退レースの有馬記念で3着したサクラチトセオーの例もないではないが…。

 

栗毛というこの馬最大のミステリーを探る

 

さてここからSリチャードの血統を詳しく見ていくが、そもそもこの馬の正体を見抜く上で一番のポイントとなるのが「毛色」である。

よく競馬を見ていらっしゃるファンなら、彼の左回りの弾けっぷりから「父方ハーツクライトニービンの血が濃い」と感じているかもしれないが、その父方に「栗毛の馬が出る因子はひとつもない」のが真相だ。

 

ちょっと馬の毛色の話をすると、鹿毛の系統と栗毛の系統は、絶対に分けて考えなければならない。

鹿毛系からは、青鹿毛、黒鹿毛などの仲間をはじめ、実は芦毛も鹿毛から出ることがある。
だから鹿毛の産駒の祖先を特定するにはかなり広範な推理が必要になる。

しかし、栗毛だけは祖先に栗毛の因子がない限り(突然変異でも)絶対に出ることはない。
ある意味、芦毛よりもガンコな毛色なのである。

 

Sリチャードの場合、3代前につけられた母系のGeneral Meeting(父Seattle Slew・1988)が優先祖先になるのだが、それには計算上、2代前のUnbridled’s Song(1993)からもう1世代祖先を遡れる理由がなければならない。

しかし今のところそれが見つからず、仕方なくちょっと毛色に「忖度」していることはお断りしておきたい(アララ)。

種牡馬は、北半球、南半球産の違いや、種付けシーズンの最初と最後においても活性が変化している。
そこは当然プラスアルファ(マイナスも)して考えるが、Sリチャードの場合はそんなに「忖度」が必要かなあ、という悩みがあるということだ。

で、話は戻り、プラスアルファがあったとしてGeneral Meetingが優先祖先になると、そこからは話が早い。
General Meeting自身は鹿毛馬で、芝の重賞も勝っている米国馬だが、この馬は母父の名馬・Alydar(1975・栗毛)の影響が強い。

Sリチャードの真の祖先は、このAlydarではなかろうか。

 

種牡馬Alydarの距離、芝適性について

 

Alydarクラスの名馬になると、距離についてはそれこそ絶対能力でオールマイティに見えてしまうから、現役時に6Fから12Fまでこなしたことは参考程度に考えなければならない。

また自身は不明でも、産駒の芝適性については「配合次第」になる。
日本での代表産駒はリンドシェーバー(1988)だろうが、彼の芝適性は父Alydarではなく、母系のDonut King(1959)から来ている可能性があって、それは彼の毛色が栗毛ではなく鹿毛に出ていることからも推察できる。

栗毛のAlydar産駒で芝を走った馬として代表的なのが、ルドルフが勝った85年JCに来日したアリダーズベスト(4着)という牝馬。
この馬は父Alydarか母父Sea Birdが優先で、どちらにしろ栗毛なのだが、8FのG1を勝ち、12Fの愛オークスでも2着に入っている。

つまり配合次第では、栗毛のAlydar産駒も芝や距離の克服は十分可能であり、それが現在のSリチャードに現れているのではないだろうか。

 

またもうひとつ、彼には米系の血脈影響が強いと思わせるクセがある。
それこそ「無類の左回り巧者」と「右回りでヨレる癖」だ。

体幹もしっかりしてきたし、ヨレる癖はキツい競馬でなければもう現れないかもしれないが、これからも右回りの接戦状態では常に頭に置いておきたい唯一の「ウィークポイント」だ。

 

まとめますとSリチャードの安田記念好走確率は…

 

はい! 確率は、50%です!!

50%の意味は、一番濃厚&最高なのが2着という結果ではないか、ということだ。

確かにここまで開花したSリチャードの実力は、古馬の中でも一枚以上抜けてはいるが、やはり府中マイルはどうみても畑違い。

今年も出るが、あのリアルスティールが毎日王冠では強くて、安田記念でスピード負けした姿を見るにつけ、自分がいつも提唱する「府中マイルは純粋なスピード比べ」という信念からすると、もっと軽いスピード馬に、頭は持っていかれそうな気がする。

 

スピードという単語が出たのでちょっと解説しておくが、母ピラミマの良い発情期は4月15日から6月15日頃で、誕生日からSリチャードは4月10日頃の種付けだとすれば、良い時期をほんの少し外れているように見える。

だが兄弟の中で唯一OPまで出世したバンドワゴン(牡7・父ホワイトマズル)との関係性でいえば、兄は3月18日頃の種付けで、母が奇数歳のよい発情期にピッタリ当たっている。

弟は母が偶数歳の種付けなので、兄とは裏表の関係にあり、やはりよい発情(しかもうんと初期の理想的時期)にギリギリ当たったと見るのが普通だろう。
加えて、活性MAXの母9歳時産駒でもある。スピード資質には文句の付けようがない。

 

血統的にはいろいろ不思議なことが多いこのリチャードを、天下のセレクトセールとはいえ、税抜き1億5千5百万円で買った方の彗眼は見事なものだ。

基礎体力にはやや欠ける(平均以下の47)ので、ここぞというとき以外は脆いところもあろうが、これからもぜひ古馬王道を盛り上げる存在であって欲しい。


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