▼サンデーサラブレッドC2018 2歳馬最速診断 ディープ牝馬編(103、106)

今回はすでに活躍牝馬を輩出している母の牝馬ディープ産駒を2頭ご紹介します。
なおタイトルに募集馬リストの馬番号をつけましたので、カタログ等をご覧になる際の参考になれば幸いです。

 

年度による優先祖先の移り変わりがわかる良い例

 

▼ドナブリーニの16(競走名:ドナアトラエンテ) 番号103

牝2・国枝栄厩舎予定
父 ディープインパクト
母父 Bertolini
1月24日生まれ 黒鹿毛

ハッキリ言って、基本的には全姉のドナウブルーです。
あとは精神面でどれほど落ち着きがあるか、という程度の違いです。残念ながらジェンティルドンナではありません。

【診断結果】

・優先祖先 母父 Bertolini

・馬場、距離適性 芝のマイル

・基礎体力値 63(平均50)

・スピード 良好

・頭脳 普通

・総合 ★★★(満点は5つ)

ちょうどいい例なので、優先祖先に的を絞って解説してみましょう。

 

ドナブリーニの初仔であるドナウブルー(2008)と本馬(2016)は、生まれ年からもわかるように8年サイクルを経て再び出会ったほぼ同じ血統背景の姉妹です。

母系に代々種付けされた種牡馬の中で最も活性が高いのは、3代前のリファーズスペシヤル(1980)で、続いて4代前のジュニアス(1976)、母父Bertoliniが並び、またいずれも優性期にあります。

こういう牝馬に劣性期の種牡馬を種付けすると、すぐにリファーズスペシャルが優先祖先となります。

過去に鳴かず飛ばずだった兄弟たち…トパーズ(2010・父ネオユニヴァース)、グレンシーラ(2011・父ゼンノロブロイ)、レゲンテ(2012・父ディープ劣性期)、ベルダム(2014・同)はすべてそれに当てはまります。

リファーズスペシャルが悪い祖先とはいいませんが、日本での繁栄度合いを見れば、厳しいことは確かです。

ところが2015年生まれのヴィルトゥース(牝3・現役)から、種牡馬ディープは優性期に入ります。
母父たちと同レベルまで活性が上がり、祖先をリファーズスペシャルまでさかのぼる必要がなくなります。

本馬ドナアトラエンテもその1頭で、優先祖先は母父のBertolini
Bertolini自身はスプリンターで、もう3代さかのぼった大種牡馬・Never Bend(1960)の影響を強く受けています。

 

そして来年はいよいよジェンティルドンナと同じ年回りのセレクトセール4億円ディープ牝馬が出てくるのですが…いろいろありまして…「私なら指名しない」とだけ申し上げておきます。

 

…オホン、話を戻しまして、本馬ドナアトラエンテは全姉よりNever Bendにそっくりな形となり、良質のマイラーに育ちそう。
母の良い発情期に収まっており、スピードも折り紙付きです。

 

そうそう、前回、年子(としご)はスピードが連続してつきにくい、とお話ししましたが、ドナウブルーとジェンティルドンナの年子姉妹はどうなのでしょうか。

母ドナブリーニの良い発情期は3月11日から5月11日です。
ドナウブルーは3月9日頃(前年の表サイクル)、ジェンティルドンナは3月20日頃(表サイクル)の種付けと読めるので、姉妹は幸運にも「裏表」の関係ではなく、「オモテとオモテ」の喜ばしい関係にあったのです。

そして妹は、より初期の理想的発情に当たったと見えるので、あのような歴史的名牝になりました。

 

この姉妹最大のポイントはやはり精神面になります。
NorthernDancerクロスが父母ともに強いので、悪く出るとイレ込みや折り合い難につながり、スピードがある分余計に操縦しにくい牝馬になりかねません。

基礎体力は旺盛なので、古馬になるまで無理せず成長を促せば、息の長い活躍をすることは姉たちが証明しています。

そういう意味では、本当はPOGに向いているとは言えないファミリーなのかもしれませんね。

 

父が代わっても活性が同じなら同じ祖先が優先される例

 

▼ミスエーニョの16(競走名:ミディオーサ) 番号106

牝2・堀宣行厩舎予定
父 ディープインパクト
母父 Pulpit
4月8日生まれ 鹿毛

キャンペーン後半は暴走が目立ったミスエルテの妹。
ちまたでは「フランケルの気性」が理由ともっぱらの噂ですが…。

【診断結果】

・優先祖先 母母父 ヘネシー

・馬場、距離適性 ダートのマイル

・基礎体力値 59(平均50)

・スピード 良好

・頭脳 やや難

・総合 ★(満点は5つ)

2013年のフランケルと2016年のディープ
ともに種牡馬活性はやや優といった感じで横並び。

こうなると、父に何を持ってきても同じような馬が生まれるわけで、ミスエルテとともに血統表上の優先祖先は、3代前の米国馬ヘネシー(1993)になります。

 

ヘネシーは、あの懐かしい競馬ゲーム「ダービースタリオン」シリーズでも海外種牡馬の1頭として登場しますが、残念なことに気性のパラメータが最低の「C」ランクで、私はついに使うことがありませんでした。

思うに当ファミリーの気性難は、このヘネシーから来ているのではないかと推察します。
ヘネシー自体はさらに4代さかのぼったハイペリオン系の無名種牡馬・Needles(1953)の影響を受けていますが、いずれにしろコテコテのダート適性から逃れることはできません。

となるとこの牝馬も、芝ならダート戦に似たラップを踏む千四あたりが主戦場となり、早いうちに活躍し、その後は気分次第…になる可能性が高いです。

 

幸い姉と1日しか誕生日が違わないので、繁殖サイクルも同じ。
スピードだけは一定レベルまで保証されそうですし、POGのスタートダッシュ要員としてなら心強いかも。
ま、コストは相当悪くなりますが…。

 

フランケルの驚くべき存在意義を考える

 

ちょっと脱線して、ミスエルテの父・フランケルが持つ本当の血統表上の良さは、字面ではわからない「Northern Dancerの呪縛から解放したその手段」にあります。

この非Northern系主流のご時世に、直近2代はともにNorthern Dancer系種牡馬が配合されたわけですが、一方はDanzig17歳時のゼロ活性産駒であるデインヒル(1986)、そしてもう一方のGalileoは10歳時の種付けで活性が半分の半分以下ですから、まさに「こうやって血の呪縛から逃れるんだよ」と教えんばかりの「ゆとり配合」。

しかもそれ以上にすごいのが、3代前のRainbow Questも9歳時に種付けし、ゼロ活性であること!
さらに4代前のSaratoga Sixも10歳時の種付けで活性は極小。

つまりこの生産者は恐ろしいことに、後にも先にも血統表からデインヒル以外の名前を抹殺し「フランケルがデインヒルのスピードだけを継ぐよう」計算ずくで配合を考えたことになります。
もし意図的であったら、これぞ神の領域です。

欧州ではこういう「意図を感じる」配合が昔から頻繁に見られて、たいへん参考になります。

このような配合を「祖先の固定」と呼ぶことがあります。
フランケルを大種牡馬デインヒルの生まれ変わりとして、後世に残す作業とでもいうのでしょうか。
2頭は写真で見てもホント、そっくりです。

いやはや、脱線失礼しました。


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