各クラブから1頭ずつを1回でまとめてドドンと発表!
キンカメ編は、3クラブから1頭ずつの選出となりましたので、まとめて発表しちゃいますね。
種牡馬キャリアもいよいよ後半戦にさしかかるキンカメですが、今年も意外といい馬そろっている印象です。
…ですが、目玉の「ジェンティルドンナの初仔」や「ロードカナロアの全弟」は残念ながらリスト入りしませんでした。
母たちの元値が高いので走ってもなんら驚きませんが、会員さんがどの程度走れば納得するか(またそれに見合うだけのスピード能力を持つと判定できるか)に重点を置くと、ちょっと推せませんでした。
代わりといってはなんですが、あの名牝の仔はリストに入っています。
母はこの馬で勝負気配!距離は意外と保たない可能性あり
▼ブエナビスタの16 (競走名:タンタラス) サンデーTC番号153
牝2・池添学厩舎予定
父 キングカメハメハ
母父 スペシャルウィーク
2月16日生まれ 鹿毛
キンカメ産駒の一番難しいところをこの馬は鋭く突いてきています。
距離適性に関しては、本当に何とも言いがたいです。
【診断結果】
・優先祖先 父の母 マンファス(1991)
・馬場、距離適性 芝のマイル〜
・基礎体力値 47(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 普通
・総合 ★★(満点は5つ)
優先祖先が「○○の母」というのは、人気種牡馬産駒では珍しいケースです。
本馬の場合、4代種牡馬のうち父・キンカメの活性が最も強く、なおかつ他の代の種牡馬活性があまり高くないので、祖先は直父系をたどることになります。
ところが本来なら優先祖先の位置であるはずのKingmambo(1990)がキンカメ種付けの時は「劣性期」であったため、自動的に母が優先となります。
キンカメは父・Kingmamboの影響を全く受けていない馬なのです。
それではとキンカメの母・マンファスを調べると、マンファスの父・ラストタイクーン(1983・スプリンター)、マンファスの母父・Blakeney(1966・英ダービー馬)のどちらかが優先祖先となるのですが、あいにく情報が足りず決定までには至りません。
ラストタイクーン産駒自体も距離はまずまず保ちますので、本馬が中距離をこなしても驚きませんが、本質的にはマイル適性が高いと見ます。
ちなみにBlakeneyはこの年、ゼロかMAX活性かのどちらかです。
実馬の写真を見る限り、馬体に距離不安要素はなさそうですし、白いものが見当たらないキンカメ産駒特有のたたずまいですので、二千までは十分守備範囲とみたいです。
しかし残念ながら、体力的な面では姉たちの方が一枚上になります。
初仔のコロナシオンにいたっては本馬の全姉ですから「この仔も思ったより走らない…?」と心配される方のためにいちおう一般的な見解を述べると、競走でよく走ったG1級の母の仔は、遅い年代の方がよい産駒が出る傾向にあります。
繁殖に使うエネルギーをまだ貯めきれずにいるから、ともいわれます。
来年はもろ裏年にあたる全弟ですので、今年の仔がまずまず走ったら来年はお休み(逆なら来年狙い)。
その次のモーリス産駒にまた注目されてはいかがでしょうか。
余談ですが今年、池添学厩舎には注目の2歳馬がけっこう来ているようですね。
いかにも切れ者!3歳マイル路線の主役はこれか
▼ディアデラノビアの16 (競走名:カウディーリョ) キャロットC番号5
牡2・堀宣行厩舎予定
父 キングカメハメハ
母父 サンデーサイレンス
3月8日生まれ 黒鹿毛
この馬も堀厩舎にきましたか。
いやはや聞きしに勝る今年の2歳ラインナップですな。
【診断結果】
・優先祖先 母父 サンデーサイレンス
・馬場、距離適性 芝のマイル〜
・基礎体力値 53〜78(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 普通
・総合 ★★★★(満点は5つ)
牝系はアルゼンチン産で、それが産駒の細かいところに影響を与えるスパイスとなっています。
まず優先祖先ですが、一見して父キンカメでいいと思ったのですが、3代母Chaldeeがアルゼンチン産であるのに対して、その父Banner Sport(1970)は米国産であることに注意が必要です。
つまり南半球と北半球では繁殖期が半年ズレるので、Banner Sportは7歳になって半年以上経過してChaldeeに種付けしていることになり、その分活性が北半球時の7歳より強まります。
よってキンカメよりもう1代さかのぼり、母父サンデーが優先とみることができます。
もうひとつ。
アルゼンチン産の2代母ポトリザリスの誕生日が95年8月22日(!)と判明しているので、北半球での良い繁殖期は以下のように計算されます。
・南では8月5日から10月5日が良好
→10月5日〜12月5日〜2月5日まで休止期(4か月)
・よって北では2月5日から4月5日が良好
母・ディアデラノビア 02年1月28日生まれ ○
(1月12日から3月12日良好)
・ディアデラマドレ 10年2月22日生まれ ×
・本馬 カウディーリョ 16年3月8日 ×
写真を見ると、ダービーよりはマイルCかなあと思わせるプリプリの馬体が印象的です。
唯一の心配といえば、Raise a Nativeのクロスが異様に濃いことでしょうか。
母もどちらかといえば折り合い苦労型の追い込み馬だっただけに、日頃のケアやレースでの戦術にひと工夫必要になるかもしれませんね。
その点、関東のエース厩舎所属は心強い限りです。
基礎体力が流動的なのは3代母Chaldeeの活性がMAXかゼロか不明なためで、これがもしMAXならG1奪取も夢ではなくなるでしょう。
思わぬ掘り出し物?成長次第で芝馬にもダート馬にも化けるゾ
▼シンメイフジの16 (競走名:ロードグラディオ) ロードHO番号15
牡2・西浦勝一厩舎予定
父 キングカメハメハ
母父 フジキセキ
2月10日生まれ 黒鹿毛
すでに出資されている会員さん方のお見立てでは「ダート馬でもいいから」と殊勝なコメントが多いのですが、案外芝でもやれる気がします。
【診断結果】
・優先祖先 父 キングカメハメハ
・馬場、距離適性 芝orダートのマイル〜
・基礎体力値 63(平均50)
・スピード 良好
・頭脳 普通
・総合 ★★(満点は5つ)
名牝シンコウラヴリイの牝系で、5代までさかのぼって繁殖サイクルを検証できるのもこういう名牝系の良いところです。
今年サンデーRで、同系のハッピーパスの仔(父キンカメ・コディーノやチェッキーノの下)を「不適」とジャッジしましたので、あまり期待していなかったのですが、本馬はいいと思います。
5代母 ロイコン 75年3月4日生まれ
(2月18日から4月18日良好)
・4代母 ハッピートレイルズ 84年5月29日生まれ ○
(5月13日から7月13日良好)
・・3代母 シンコウラヴリイ 89年2月2日生まれ ○
(1月16日から3月16日良好)
・・・2代母 レディミューズ 97年4月24日生まれ (×)
(4月8日から6月8日良好)
・・・・母 シンメイフジ 07年2月12日生まれ ×
(1月26日から3月26日良好)
・・・・・本馬 ロードグラディオ 16年2月10日生まれ ○
サイクルはきれいにつながっており、ごく初期の発情とはいきませんが、母シンメイフジから一定のスピードを受け継いでいます。
加えてその母から9歳時MAX活性を引き継ぎ、体力的な不安がないのも本馬のセールスポイント。
これだけボーナスがあれば、スピード面で芝をクリアできるかもしれません。
母は芝・ダート両方の重賞を勝ったオールラウンダーで、優先祖先はMAX活性の3代前・カーリアン。
つまり3代母シンコウラヴリイは、カーリアン〜ニジンスキーの影響を強く受けた牝馬でした。
瞬発力よりは持続力に長け、洋芝・重馬場にも音を上げないパワーは、ニジンスキー譲りの特徴でもあります。
それが母には芝ダート兼用馬として発現したらしく、繁殖入りしてからも劣性期の種牡馬をつけたのではスピード負けしている様子(14年ロードブレイクの父キングズベストは9歳時ゼロ活性&サイクルずれ)。
やはり父に優性の活性がある方が、ストレートにスピードを出しやすいのでしょう。
そしてひとつ上の現役兄・ロードザナドゥは、父ロードカナロア(優性期)配合はよかったものの、繁殖リズムは真裏にあたり、今もちょっと足踏み状態。
本馬こそ、きょうだいの本当のスピードが問われる1頭になりそうです。
さて次回は各クラブのルーラーシップ産駒を調べながら、いい馬が少ないときは、セレクトセールの準備に入ることにしましょう。